33.晩餐
ちょっといろいろあって・・・・落ち込み気味ですが、なんとか第33話あげました。辛いことがあっても、頑張って書く。これしかないんです。他に方法はないんです。ごめんなさい。って言っても通じないかも知れませんが、きっとこれでいいんですよね?(遠い目)
僕たちは夕餉を呼びに来た召使いと一緒に牢屋を後にした。
もうその頃では、部屋のあちこちでこっそりと作戦が練られていた。
脱出方法、武器の入手方法、人数の確認、誰が指揮をとるのか・・・
そんな様子を見て、僕は安堵した。
絶望にうちひしがれているのではなく、運命に前向きに闘うこと。
村の人たちがその姿勢を取り戻すこと。
端的に言えば、これがやってきた目的だったからだ。
後はほんの少しの手助けときっかけさえあれば・・・・・
暗くなり、照明の行き届かない城内は薄暗い。
クロエは僕のそばにくっついている。
「ヤーコブ様、なんだか怖いです・・」
ろうそくの揺れ動く明かりは、自分の影すら怪物のように蠢かす。
「クロエは恐がりなのね・・・・」
佑衣さん、ちょっと意地悪モード。
「ラバはビビリだけど、怖くないの?」
矛先をこっちに向けましたか。
「自分の影にはビビリませんが、これからどうなるかはちょっと怖いです」
大広間の扉をくぐると、そこは別世界だった。
こうこうと煌めくガスランプの明かり。
白い布を多用した室内は反射で明るく照らされている。
大テーブルの上には、ご馳走の山。
花や装飾品が食卓を飾り、食器やグラスが煌びやか。
僕たち一人一人に給仕やサービス係が付いてくる。
「オネクターブがいない・・・んですか?」
「そちたちと余だけの夕餉にしろと命じた」
普通なら乾杯で賑やかに宴が始まるところだけど、
伯爵のグラスが静かに持ち上げられることでスタート。
僕も佑衣さんもクロエもむさぼり食った。飲んだ。
品がないけど、洞窟で最後の食料を食べて以来、何も口にしていなかったのだから。
次々と運ばれる料理は、豪華で美味。
でも、そんな料理を前にしても、伯爵は静かにグラスを傾けているだけ。
(食べないのだろうか・・・・いや、それより、オネクターブがいない、今、
ここで伯爵に襲いかかって、人質にすれば、村の人の解放も、復讐も
一気に片が付くチャンスじゃないか・・・)
グラスを片手に、口いっぱい料理をほおばった佑衣さんが僕に抱きついてくる。
「ラバぁ、なんておいしい料理だろうねえ・・・食べてる?」
赤い顔の佑衣さん、酔っぱらいだあ。また飲み過ぎてる。
「ラバ、あんた、変なこと考えてるでしょ」
しがみついた佑衣さんが小声で囁く。
「気がついてないの?ここのみんな、服の下に武器を隠してるの」
僕は慌てて周りを見た。
スカートの膨らみ、上着から覗く剣、ズボンの横の膨らみ。
にこやかな表情とは裏腹に、その視線は鋭い。
「柱の影とか壁の向こうにも隠れている雰囲気、ありありよ。ちょっとでも変な動きがあれば、串刺しになること間違いなし。今は・・・」
そういうと、佑衣さんは大声で叫ぶ。
「こんなおいしい料理、こっちの世界に来て初めてなんだから思いっきり食べなきゃ!オネクターブがあんな肥満体になるのが、理解できたわあ!」
騒ぐ僕たちには目もくれず、伯爵はグラスを傾ける。
いや、伯爵の目は魔来子さんに注視している。
魔来子さんはその視線に耐えながら、黙々と食べている。
時折、伯爵の様子をうかがうように視線をあげている。
「・・・・本当に似ているな・・・・」
伯爵の独り言。
「伯爵様、前にもそのようなことを。私はどなたに似ているとおっしゃりたいのでしょう」
食べ終えた魔来子さんがグラスを持って問いかける。
「・・・昔のこと。我が心にとまった少女がいた。その少女は消えてしまった。
しかし我が心には永遠に残っている。その少女に似ているというのだ・・・・」
魔来子さんは笑う。
「いくらなんでも、少女と呼ばれる歳ではございませんわ。私ごときでは、
その心の少女にもご迷惑な話でございましょう。他人のそら似というものでございます」
「・・・そのとおりだ。髪の色も、瞳の色も違う。だが、あのときの少女が成長していれば、きっとそなたのような美しい女性になっておるのだろうかと・・・
いや、余迷い事だ。忘れてくれ・・・・食事には満足されたか・・・では、そろそろお開きということに・・・・」
◇ ◇ ◇
さらに僕たちを驚かせたもの。
食堂の後、案内されたのが、立派な客間の見事なベッド。
どう考えたって、捕虜と言うよりはお客様扱いじゃないか。
「クロエ・・・・クロエ、ヤーコブ様と一緒に寝たいけど・・・・・それ以上に、父さま、母さまと久しぶりに一緒に寝たい・・・・ヤーコブ様、ごめんなさい・・・・・」
ううん、それが当然だと僕も思うよ。
召使いに案内されて、クロエは部屋を出ていった。
久しぶりにベッドじゃないか・・・・
ぐっすりと眠ることが出来そうだ。
あ・・・ベッドが二つ?
で、でも、僕と佑衣さんと魔来子さんの三人だよね・・?
つまり、誰かは二人一緒に寝ることになるんだよね?
普通、佑衣さんと魔来子さんが一緒だよね・・・・
「申し訳ありませんが、今夜は私一人で眠らせていただけませんか?そちらのベッドで佑衣様、ラバ様でお休みいただくと言うことで。ごめんなさい。今夜は無理を言って申し訳ありません」
珍しく、魔来子さんがそう主張する。
え、僕はかまいませんが、ゆ、佑衣さんと同じベッドで眠る・・・?そう想像した瞬間!
佑衣さんの蹴りが股間に・・・・・・・ジゴク!な、なんて事を・・・!!
「バカラバは、発情期の犬みたいに腰振ってんじゃないわよ。犬は床で寝ればいいの、床で!」
さて、次回の予告。
久しぶりに佑衣さんの蹴りが炸裂!でも、イタイよ、これは・・・
次回: 第6章 城 第34話 幽霊
刮目して待てっ!
(サブタイトルは変更の可能性があります。ご了承下さい)