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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第6章 お城
32/50

32.虜囚

 佑衣さん・・・

あんた、魔来子さんから骨の髄まで、自立をたたき込まれたんだろうねえ・・・

強い。

でも、そんな強い子が、ラバには、ふと素顔を見せるんだよねえ・・

かわいい。書いてて楽しい娘です。佑衣は・・・

 ”皆さんを助けることが出来ない。”

 魔来子さんのその発言に、みんなは押し黙った。

あまりに意外な発言だったのだ。

・・・魔法少女であるにもかかわらず、我々の救世主でない・・・?


「どうして・・・・助けに来てくれたのではないのですか?」

「本当に、魔法少女なのですか?あなた達は!?」


 みんなは口々に叫ぶ。

僕は両手をあげて、みんなに黙ってもらった。


「彼女たちは本当に魔法少女です。それはこの僕が保証します。でも、いくら魔法少女でも、その力にはもちろん限界があるのです。それをこれから説明します」


 魔来子さんが説明を始める。

「私たちは、あちらの世界から、カガクという魔法を持ってこちらへ参りました。それは恐るべき力で、東の国の”竜”空中軍を壊滅させました。また、”獅子”地上軍一個中隊も撃破しました。魔法少女の力を、東の国の兵士達は骨の髄にまで、とことん思い知らされたのです」

 みんなはおおっと歓声を上げる。


「しかし、この魔法もそれで尽きてしまいました。今、私たちが持っている魔法は、残りほんのわずかでしかありません。皆さんとあまり大差がない状態なのです」


 みんなは下を向いた。

ようやく、僕たちの状況が分かってきたのだ。


「でも、でも、何か希望はないのですか?」

 母さまの発言・・・


「あります!」

 僕は断言した。みんなの目が一斉に僕を見る。


「目に見えるような力はもうないかも知れません。でも、彼女たちは魔法少女です。希望はあります。奇跡を起こす力があるはずなのです。皆さんの協力があれば、きっと奇跡が起きます。起こせます!」


 ☆      ☆      ☆      ☆     


 ここが一番大切なところということで、三人の意見は一致した。

 昨日の夜、クロエが寝入った後で、僕たちは相談をした。


「どうやって、村の人たちを説得しましょうか?」

 魔来子さんの悩みは切実な物だった。


 武器も弾薬もなくした僕たちは、もはや何もないのと同じだった。

あるのは護身用の多少の武器と、僕と魔来子さんの魔法ぐらい。

それすら、お城に行けば取り上げられるだろうし、

僕や魔来子さんの魔法はオネクターブより強いかどうかわからない。

 そんな僕たちがいくら、魔法少女と声たかだかに言ってみたところで、信用されるだろうか。

どうやって、村人の信頼を得て、彼らの脱出に結びつけるのか。


「ウソやハッタリでは、すぐにばれてしまいます。そうなったら、絶対に信頼を得ることはできません」

 僕たちは肯いた。

「正直に現状を説明し、尚かつ希望を持たせる。皆さんのお力をお借りして、全員で脱出する。これしかありません。この希望を持たせることが出来るのは、村の人の仲間である、ラバ様だけです。よそ者の私たちではできません。ですから、ラバ様、皆様の説得をお願いします」


 ☆      ☆      ☆      ☆     


 みんなは僕の話を聞いても、不安そうに囁きあっている。


 魔来子さんが話し始める。

「これから私たちはこの城の秘密を暴きに行って参ります。私の直感は、この城には、何か、秘密があると言っております。

 どういう訳か、伯爵は私たちに興味をお持ちのようです。これを利用できれば、この城の謎を解明することができると思います。その秘密や相手の隙をつくことが出来れば、ヤーコブ様の言う奇跡を起こすことが出来ると考えております。

 どうか、皆さんのお力をお貸しください。一人一人が相手の隙をつく、なにかしら武器を用意する、そして時には闘う。そういう努力をして、みんなで力を合わせて脱出する、これしかありません。私たちの努力に皆さんのお力を、どうぞ、お貸し下さい。お願いします」


 魔来子さんの発言を聞いても、みんなは押し黙っている。

仕方がないか、信頼を得るには時間がかかるものなのか・・・・・そう思った時だった。

今まで黙っていた佑衣さんが、すくっと立ち上がった。


「やるの、やらないの?」

 単純な質問に、みんなが佑衣さんを見る。


「ここでこのまま死ぬの?それとも頑張って村に帰るの?」

 みんなは顔を見合わせている。


「あたし、こういう他力本願な人たちって大嫌い。自分のしたいことは自分が努力して得るものじゃないの?あんた達、助けてっていうだけで、何か努力してる?神様が助けてくれるのは、精一杯努力した後でしかないのよ。

 ラバ、こんな連中、助けたって、何にもなりゃしない。さっさとあっちの世界に帰った方がいいみたいだわ!」


「なんて事を!」

「やるしかないじゃないか」

「そうだ、こんな娘っ子にバカにされて黙ってられるか!」

 みんなは口々に言い始めた。


 クロエの父さまが出てくる。

「みんなの気持ちは決まった。脱出できるよう俺たちも頑張る。あんた達も頑張ってくれ。これでいいか、佑衣・・・魔法少女、佑衣」

 佑衣さんはニコッと笑うと、父さまと握手、そして僕にウインクした。


 佑衣さん、あんた、ハッタリと駆け引きは天才的じゃないか?

魔来子さんがどうやって、教え込んだのか、聞きたいよ。

もう、僕は諦めかけていたんだから・・・・



さて、次回の予告。


 一度でいい、こんな豪勢な食事をしてみたい!そう思うのは作者だけか?

 次回: 第6章 城 第33話 晩餐 

 刮目して待てっ!

 (サブタイトルは変更の可能性があります。ご了承下さい)


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