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聖女アリーゼの不思議な旅  ~聖魔法?そんなの知らないのです!~  作者: 夕姫
第3章 聖女。魔法と鉱山に挑むのです!

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17. 笑顔 ~ミルディ視点~

17. 笑顔 ~ミルディ視点~




 アリーゼがアルスメルタの街で倒れてから1週間がたった。ロゼッタ様から原因を聞いて正直あたしには理解出来なかったけど、聖女の聖魔法の干渉を受けて血を流して倒れたということはわかった。


 あれから、アリーゼには何回か会いに行っているけど、いつも「笑顔」であたしに接してくれている。でもあたしには分かる。それが作られた「笑顔」だと言うことも。


 だってアリーゼはいつも強がっているから。本当は不安でいっぱいのはずなのに……私たちを不安にさせないように、心配させないように。


 それがアリーゼの「聖女」としての在り方なのだとしたら否定するつもりもない。ただ……仲間として、親友としてそんな姿を見てると何も出来ない自分が情けなくなる……


 そんなある日のことだった。いつものように部屋を訪れて扉を開けようとした時だった。部屋の真ん中で呆然と立っているアリーゼがいた。


 そして……


 ──ぽろっ……ぽろぽろぽろ…………


 ──と涙を流していた。今まで涙を流す姿なんて一度も見たことないのに……


 あたしは、アリーゼに気づかれないようにそっと扉を閉めた。今ここで声をかけたら、あの子はまた無理をして笑ってしまうから。


 ならあたしが出来ることは1つしかない。あたしはアリーゼの不安を取り除く魔法防具を作る。


 それは「魔法」を無効化できるものならいいんだけど……残念ながらあたしにはそんな技量がない。だから少しでも魔法の魔力を軽減できるもの。


 まぁこれでそもそものアリーゼの聖魔法の魔力を軽減出来るかはわからないけど、今のアリーゼに必要な魔法防具を作りたい。あたしは魔法鍛冶屋だから。それがあたしの出来ることだから。


「あー!もう!」


 工房の中に木槌の音が大きく響く。色々考えてしまって思うように作業が進まない。こんなことしてても時間だけが過ぎていくだけだ。よし。気合い入れ直さないと!


「アリーゼのために一肌脱ぎますか!」


 その日も夜遅くまで、あたしはアリーゼのために魔法防具を作っていた。そんな時あたしの部屋の扉が開く。そこにはロゼッタ様とフィオナがいた。


「ミルディさん!」


「え?2人ともどうしたのこんな時間に……」


「休憩しよ!師匠が夜食作ってくれたんだ!」


「よっ余計な事を言うでないフィオナ」


「あははっありがとうロゼッタ様、フィオナ」


 顔を赤くしているロゼッタ様。あたしはロゼッタ様が作ってくれたサンドイッチを食べることにする。うん。美味しい!ロゼッタ様って料理できるんだ……意外……


「なんじゃその顔は?」


「別に何でもないよ?」


「ところで作業はどうなのじゃミルディ?」


「うん……難しくて全然。素材取り出しも、付与も。アリーゼのためになんとか作ってあげたいんだけどね……」


「ねぇボクもお手伝いしちゃダメ?少しくらいなら役に立つと思うし!」


 そう言ってくれるフィオナ。嬉しい申し出だけどこれはあたしの仕事だし……それに手伝ってもらうとしても魔力を使うから……あたしはチラッと2人を見る。


「……魔力なら貸せる。ワシとフィオナを頼れミルディ。そのくらいなら手伝えるのじゃ」


「そうだよミルディさん!」


「うん!ありがとうロゼッタ様、フィオナ!」


 次の日から3人で魔法防具作りに励むことにした。ロゼッタ様が炎の魔力で炉の温度を極限まで保ち、フィオナが剣に纏わせる魔力を応用して素材を叩き上げていく。


 正直、こうやって一緒に作業をしていると、あたしも仲間なんだと改めて認識できる。普段のあたしは戦闘とかできないしね……


 こうして3人で作業すること数日……ようやく魔法防具が完成した。これならば少しは役に立てるかも!と胸を張って言えるほどの自信はある。早速これをアリーゼに届けよう!


 魔法防具を作り終わる頃にはもう朝になっていた。さすがに徹夜明けで行くのは無理があったかなぁ……


 そしてアリーゼの部屋の扉をノックする。喜んでくれるかな?喜んでくれたらいいな。そんなことを考えながら待っていると扉が開く。


「はいなのです。あれミルディ?どうしたんですこんなに朝早くから?」


「アリーゼ!その……これ!」


 あたしは手に持っていたそれを両手で渡す。受け取ってアリーゼは驚きの声を上げる。


「えぇ!?これって……ローブなのです!?私になのですか?」


「ごめんね朝早くから。出来上がったからすぐ持ってきたんだ。ほら……アリーゼのローブさ血で汚れちゃったでしょ?」


「はいです……あの時はごめんなさいなのです……。それでこんな素敵なものを作ってくれたのですね!ありがとうなのです!本当に嬉しいのです!!」


 満面の笑みを浮かべるその姿を見ると思わず抱きしめたい衝動に駆られるけど我慢する。いや変な意味じゃないからね?


「喜んでくれて良かったよ!それさロゼッタ様とフィオナも一緒に作ってくれたんだ。一応……「魔法」を軽減できる付与をしたんだけどさ……」


「魔法軽減……もしかして……」


「あたしはまだ未熟な魔法鍛冶屋だから、どれだけ効果があるか分からないんだけどね。それに聖魔法をちゃんと防げるかどうかも未知数だし……。でも、これで少しでも、アリーゼの不安を軽くしてあげられたらって……そう思って作ったんだ」


 すると急に抱きつかれた。あたしは何が起きたのか一瞬理解できなかった。目の前にはアリーゼの顔があり心臓が爆発しそうなほどドキドキしていた。顔真っ赤だよ絶対……恥ずかしいし……でも温かい。


 そしてアリーゼがあたしから離れる。寂しさを感じると同時にちょっとホッとする。そんなことを思っているとアリーゼが口を開く。その言葉を聞いて嬉しかった。


「みんなの優しさで不安が消えたのですよ。だってこれでこれからまた一緒に冒険が出来るのです!」


 そうアリーゼは笑顔で答えてくれる。あたしには分かる。この「笑顔」は嘘じゃない。そう言ってもらえると作ったかいがあったよ。


 あたしは今一度、アリーゼと一緒に冒険が出来ることが幸せだと感じるのだった。

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