3. 賢者と魔女
3. 賢者と魔女
私たちは鉱山の魔物を何とかするために色々話し合ったのですが結局いい方法が見つからず、ロゼッタ様の話の通りにマジカリア城に向かうことにするのです!もしかしてロゼッタ様のお知り合いの方って王族関係の方なのです?それなら納得なのです。
そして私たちは今馬車に揺られてマジカリア城に向かっているのです!この前のソルファス王国では潜入方法を考えていたのが懐かしいのです。今回は聖女リスティ様からもらったカードがあるので門前払いもないので安心なのです!
そんなことを考えていると、隣に座っていたフィオナが私の肩をちょんちょんと突ついてきたのです。私はどうしたのかと思ってフィオナの方を向くと、フィオナは私に小声で話しかけてきたのです。
「あのさ……アリーゼ様ちょっと聞きたいんだけど……」
「どうしたのです?」
「その……どうしても気になって。聖魔法ってどんな感じに使えるのかなって。普通の魔法なら詠唱をしたり、魔法陣を刻むんだけど……?」
「あぁ~、それはですね……『想いを紡ぐ』のですよ。大気中の魔力を練る普通の魔法とは違い、純粋な祈りと願いの力で、悪しきものを討ち滅ぼし、傷ついた人々を癒やし救う……それが聖魔法なのです!」
私は胸を張り、フィオナに自慢げに微笑みながら答えました。
……それは、神に選ばれし証である「聖痕」を持つ聖女のみが使える、優しくて温かい奇跡の力。だからこそ、聖痕を失ってしまった今の私には使うことができない魔法なのですけどね。
しばらく馬車を走らせると目の前に大きなお城が見えてくる。ここがマジカリア城……今まで見たどの建物よりも大きく荘厳な作りだったので思わず圧倒されてしまうのですね……
私たちは城門の前に行くと衛兵さんたちが敬礼をして出迎えてくれる。私たちが馬車を降りると一人の男性がこちらに近づいてくる。
白髪交じりの緑髪に、翡翠色の瞳を持つ男性……一目見てわかったのです。あの方がきっと……ロゼッタ様のお知り合い。すると男性は深々と頭を下げた後に話し始めた。
「懐かしい魔力を感じましたので、まさかと思い来てみれば……やはり、あなた様でしたか。お久しぶりでございます。ロゼッタ様」
「おお。久しぶりじゃのギル坊。元気そうで何よりじゃ」
ギル坊?ずいぶん慣れ親しいのです。やっぱりこの方がロゼッタ様のお知り合いの方なのですね。一体誰なのかと思っているとフィオナは驚いた表情で私にこっそり耳打ちしてきたのです。
「アリーゼ様。あの方、賢者様だよ。胸に紋章をつけてる」
そう言われて私は改めて男性を見る。確かに彼の胸元には青色に輝く聖杖の紋章があったのです。この世界では賢者という存在はとても尊いものです。だからその人が付けている紋章もとても立派だったのです。するとロゼッタ様が私達に男性の事を紹介してくれたのです。
「あ。すまぬ。この方の名前はギルフォード=エルヴァンド=マジカリア……マジカリア王国の国王にして賢王と呼ばれている人物じゃ」
「ははは。まさかロゼッタ様にこの方と言われるとは。光栄の極みです」
「なんじゃ?何かおかしいのか!」
「いえ。あまり反抗すると、また昔のように私に得意のアイアンクローでもお見舞いするおつもりですか?」
「む。懐かしいのぉ!そんなこともあったのじゃな!」
仲良さそうに2人が話しているのです。あんなに楽しそうなロゼッタ様を見るのは初めてなのですね。
「さぁ、立ち話も何ですから中へどうぞ。積る話もありますし」
それから私たちはギルフォード様に案内されて謁見の間へと通されるのです。そこは豪華絢爛という言葉が似合うような豪華な部屋でした。
「うわぁ……あたしお城とか初めてだから緊張するよ……」
「ボクも……」
「そうなのですか?別にどんな場所でも変わらないのです。私もさすがにお城の中に入るのは初めてなのです!」
「いい度胸してるよねアリーゼって。いつもポジティブでうらやましいよ」
そんな会話をしながら私たちは玉座の前で膝をつく。そしてギルフォード様が口を開く。
「楽にして結構。ロゼッタ様のお仲間とあれば気を遣う必要はない。それで私に何の用かな?」
「ワシたちは鉱山で「ミスリル」を掘りたいのじゃが、鉱山には魔物が多数いると聞いてな。力を貸してはくれんか?」
「やはりその事ですか……それなら少し私の話を聞いて貰いたい」
その内容はこれからのマジカリア王国についてのことだったのです。最近鉱山だけではなく、マジカリア王国周辺の魔物の動きが活発になっているらしく、このまま放置すればいずれマジカリア王国にも被害が出る可能性があるとのことなのです。
「魔物の活発化の原因はわかっておるのかギル坊?」
ロゼッタ様の言葉にギルフォード様は首を横に振る。原因は不明……ただ何か大きな力が動いているかもしれないということだけしかわかっていないらしいのです。
「そこでお願いがあるのだ。もしロゼッタ様たちが協力してくれるならば私は全力を持ってロゼッタ様たちの安全を確保することを約束します。もちろん、報酬は弾むつもりですよ。どうですか?」
「ふむ……」
ロゼッタ様は小さく唸り、腕を組んで考え込んでしまいました。
私はチラリとフィオナの方を見ます。彼女は不安そうに、ロゼッタ様の横顔を見つめていました。無理もありません、いざ依頼を受ければ、無数の魔物と最前線で直接戦うのはロゼッタ様とフィオナなのです。
しかも、ロゼッタ様はガウェインさんの石板から魔力を取り戻したとはいえ、全盛期の大魔女の力にはまだまだ程遠い状態のはずなのです。ロゼッタ様は果たして、どんな決断を下すのでしょうか?




