17. 変装劇
17. 変装劇
何とかソルファス王国騎士団から逃げ出し、廃墟になってしまっていたラストンという街にたどり着いた私たち。
幸いにもこの街は無人のようです。誰かに見つかる前に急いで行動する必要があるのです。私達はそのまま街の奥にある建物に入っていく。建物の中に入るとそこは広い空間があり、中にはたくさんの棚や箱が置かれている。
ロゼッタ様はすぐに顔を上げてみんなに声をかける。そしてこれからの行動について話し始める。
「まずは服を調達するのじゃ。この格好ではすぐに見つかる」
「そうだね。この街がいつ廃墟になったかだけど、着れる服を探そう!」
「ローブ!ローブ探すのです!私は聖女なのです。聖女はローブなのです!」
ミルディは近くに置いてある木箱を開け始める。木箱には『防湿と防虫のルーン』が刻まれていたのです!さすがはロゼッタ様の昔の拠点、これなら長い時間が経っても服がボロボロにならないのですね!
そして数分後…… ミルディが持ってきたのは黒いフード付きのマントと白いワンピース。私はそれを着るととても動きやすかったのでこれで正解なのです!
「良かったアリーゼとロゼッタ様に合う服が残ってて」
「どういう意味なのです?ロゼッタ様は分かるのですけど?」
「アリーゼは……その……胸の辺りの前が閉まらないじゃん。けっこう大きいから。ロゼッタ様は子供みたいに小さいしさ?」
「だーっ!人を子供扱いするでないミルディ!」
ブンッ! とロゼッタ様が振るった怒りの杖を、ミルディはヒョイッと軽やかにかわしました。
……解せません。なぜ私がいつも百発百中で叩かれているあの理不尽な杖を、ああも軽々と避けられるのですか?
それと、私の豊満なお胸の事なのですね。確かに聖女のローブはゆったりしていますが……普通の服の前が閉まらないほど大きいとは、自分では思っていなかったのですけど……。
まぁとりあえずこれで一安心。そのあとは食料の確保をし、ここで一晩過ごすことにしたのです。そうなのです!野営なのです!本を読んで憧れていたのです!
一応、廃墟の中なので完全な野営と呼んでいいものかは分かりませんがとても楽しみなのです!そして夕食をみんなで作るのです!簡単なスープでしたけどとても美味しかったのです!そして食べて休んでいるところにロゼッタ様が話しかけてくる。
「ああ……アリーゼは見張りを頼むのじゃ。何かあっても対処できるのは、ワシかお主しかおらんじゃろ?」
「えぇー!?私もみんなと寝床でわいわいお泊まり会気分を味わいたかったのです!」
「ええじゃない。ほれ、行くのじゃ。時間が来たら交代する」
「はいなのです……」
結局、私は入り口付近で一人寂しく見張りをする羽目になってしまったのです。……それにしても、みんな大いなる勘違いをしているのです。私は人々を癒す『聖女』なのです! 物理で敵を殴り倒す『戦闘職』じゃないのですよ!……合ってますよね?
――結局、一晩中目を凝らしていましたが、追っ手が来ることもなく、無事に朝を迎えたのです。
次の日の朝になりました。 ちなみに今いる場所は街の中央広場。ここに来るまでに廃墟の街を探索しましたが特に何も見つからなかったのです。
「さて、あとはどうやって王都に潜入するかじゃな」
ソルファス王国の王都に入るには検問所を通る必要がある。しかし今の私達の姿は服だけは違うのですが身分証はそのままなのです。つまりこのまま王都に入れば間違いなく捕まるのです。
何か方法はないのか考えているとフィオナが手を上げる。
「何かに潜り込めないのかな?例えば荷物とか。よく本の物語に書いてあるよね?」
確かに物語の中には商人の馬車などに忍び込んで目的地までたどり着くという話があるのです。私もそれに賛成したのですがロゼッタ様は首を横に振る。どうやら現実的ではないらしいのです。それなら他に方法はないかと考えていると、ミルディが口を開く。
「あのさロゼッタ様の魔法とかで変装する魔法とかないの?」
「ワシは使えん。あるならそうしておる」
ロゼッタ様が呆れたようにため息をつきました。
凶悪な騎士団からは何とか逃げ延びたものの、次は厳重な検問を抜けて王都へ潜入する方法を自力で模索しなければなりません。絶体絶命、まさに八方塞がりなのです。
――ああ、こんなにも困難とスリルが続くなんて、まるで本で読んだ冒険物語の主人公にでもなった気分なのです!
もちろん、不安そうな顔をしているサリア様たちには絶対に内緒なのですが……こんな大ピンチの状況下でも、心の底からワクワクと楽しんでしまっている自分がいたのです。




