13. 砂漠鉄道
13. 砂漠鉄道
私はサリア様の話を聞き、唯一の家族のアリア様を助けるためにソルファス王国の王都へ一緒に向かうことに決め、まずは砂漠を越えていくため砂漠鉄道に乗ることに決めたのです。サリア様の分の資金は一応あったので心配はいらないのです。
砂漠鉄道は一度乗ってみたかったしちょうど良かったのです!次の日になり朝早くに宿を出た私たちはサリア様と合流してそのままラインストーンの砂漠鉄道の駅に向かっています。
「あの。ご迷惑をおかけします」
「気にしないでサリア様!あたしたちも王都へ行くつもりだったし、困っている人を助ける旅だから!」
「なんでミルディが言うのですか?それは聖女の私のセリフなのです!」
まだ朝の時間帯のためほとんど人はいないけどこれからどんどん増えると思うと楽しみなのです!そんなことを考えているうちに私たちが乗ることになる列車の駅に到着したみたいなのです。
そこには大きな蒸気機関車が止まっているのです。中には魔法船と同じく魔法石を使った機関車があるようなのです。速度も速くて快適らしいのでそれに乗りたいのです!
そう思ったのですが、今回は普通の列車なのです。それでも十分凄そうな気がするのです……まぁそれはいいとして今は切符を買うのです。とりあえず窓口に行ってみると既に結構並んでいたのです。するとミルディが近くの駅員さんに確認してくれる。
「すみません……この列車はもういっぱいですか?王都まで行きたいんですけど?」
「いや大丈夫だよ。王都か。長旅だから準備をしっかりしたほうがいいですよ。何かあった時のために」
「大丈夫なのです!準備は完璧なのです!」
そして列車に乗り込み走り出すのです!私とフィオナは並んで窓側の席に陣取り、ビュンビュンと流れゆく砂漠の景色に釘付けになっていました。
「うわぁ、速い、速い!すごいねアリーゼ様!」
「はいなのです!鉄の塊がこんな猛スピードで砂漠を走るなんて、感動なのです!」
窓にへばりついて目をキラキラさせる私たちに、向かいの席からジト目が向けられます。
「……お主ら、子供のようにはしゃぐでない。他の乗客の迷惑じゃろ」
引率の保護者のような顔をしたロゼッタ様に、ピシャリと叱られてしまったのです。むぅ……でも確かに周りを見ると、他の乗客はみんな黙々と座っているのです。聖女たるもの、少し自重すべきかもしれないのです……。
しばらく経って列車が大きな駅に止まる。王都までは……ちょうど半分くらいなのですかね?今のうちにお昼ご飯を食べておくことにするのです!
「ねぇせっかくだし外で食べない?次の出発の時間までまだ時間あるし。せっかく観光もできるんだから」
「それいいかも!ボクは賛成!」
「そうなのです。こういう時は美味しいものを食べるに限るのです!」
ということで外に出ると一面見渡す限り広大な砂漠が広がっていたのです。遠くには山脈なども見えるほど広大だったのです。その景色を見ながら食事をするなんて、贅沢なのです!
近くのお店に入り注文をする。料理も美味しいのです!しかし、ふと隣を見ると、サリア様は俯いたまま運ばれた料理に一口も手をつけていません。
「サリア様~?」
私が声をかけても反応がなく、ミルディが心配そうに肩を叩くと、ビクッと肩を震わせてこちらを見ました。その表情はひどく青ざめ、暗く沈んでいたのです。妹のアリア様の安否が気がかりで、喉を通らないのですね……。
「サリア様。辛くても、ご飯はしっかり食べるのです! サリア様が倒れてしまったら、アリア様を助け出す体力がなくなってしまうのですよ?腹が減っては戦はできぬ、と本にも書いてあったのです!」
「確かに聖女アリーゼ様の言う通りですよね。はい……」
無理やり納得させるように食べ物を詰め込んでいき無理矢理食べた感じになっていましたがこれで少しでも気分が良くなってくれたらいいなと思ったのです。それにしてもやっぱり姉妹愛というのは尊いものだと思うです。
そして昼食をとったあと再び席につき次の駅に向かうことにするのです。しかし、しばらく待っていたのですが列車が出発の時間になっても動かないので、何事かなと思っているとアナウンスが流れてきたのです。何でも近くで砂嵐が発生したらしく復旧するのに時間がかかりそうとのことだったのです。
「砂嵐か……ついてないね?」
「自然災害はどうにもならんじゃろ。大人しく待つしかないぞ」
……数時間経ちました。それでも一向に回復する気配はなく、ただ時間だけが過ぎていくばかりでだんだん苛立ちを覚える人たちが増えていってしまったのです。
「いつになったら動くんだよ!」
……1人の男性の一言により次々と不満が爆発してしまったのです。
「俺たちだって忙しかったんだ!それをお前らは!」
「足止めを食らうなんてふざけるなよ!」
「金返せぇーーーッ!」
「そうだぜゴラァ!さっきよりひどくなっただろうが!」
………これはちょっとマズイことになったかもしれないですね。このままでは暴動が起きかねない事態になってしまう。暴動が一触即発のパニックに発展しそうになったその時――列車内に鼓膜を劈くような一発の銃声が鳴り響きました。
「静まれ愚民共!我々はソルファス王国騎士団である。大人しく席につけ。次に騒いだ者は、反逆とみなしその場で銃殺刑に処す!」
悲鳴が凍りつき、車両が水を打ったように静まり返ります。ハッと入り口を見れば、隣の車両へと続く扉が乱暴に蹴り破られ、銀色の重厚な鎧に身を包んだ兵士たちが、続々とこちらの車両に乗り込んできたのです。
ただの警備兵とは違う、本物の軍人が放つ冷酷な威圧感。彼らは乗客たちへ一斉に銃剣を向けながら、車両中に響き渡る声で宣告しました。
「我々はある特命を帯びてこの列車を封鎖した。皆に問う――この中に、小国ジルベールからの逃亡者がいるな?命が惜しくば、大人しく姿を現せ!」
兵士の1人がそういうと全員一斉に銃剣を抜き放ち辺りは一触即発の雰囲気に包まれてしまう。
ここで騒ぎを起こしたら確実に殺されるであろうという恐怖心に支配され、動けなくなってしまった人がほとんどなのですが、この状況は非常にまずすぎる状態なのです。
外は砂嵐、逃げ場は完全に断たれています。ここで見つかれば、サリア様は確実に殺されてしまうでしょうし、私たちも無事では済まないはずなのです。
この閉ざされた列車の中で、銃を構えた騎士団からどうやってサリア様を守り抜けばいいのでしょう。
――ソルファス王国の闇に立ち向かう、私たちの本当の戦いが今、始まろうとしていたのです。




