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聖女アリーゼの不思議な旅  ~聖魔法?そんなの知らないのです!~  作者: 夕姫
第1章 聖魔法?そんなの知らないのです!

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30. 証明しますわ ~マルセナside~

30. 証明しますわ ~マルセナside~




 ライアン=ランバート王子の資金援助により、私たちカトリーナ教会は首の皮一枚で経営難を脱した。表向きには『第一聖女である私、マルセナの素晴らしいもてなしが実を結んだ』と称賛されている。


 けれど、私自身は少しも納得できていなかった。あれは間違いなく、彼からのお情けによる援助だ。その屈辱的な事実を知るのは、ライアン王子と私だけである。


 いつものように昼の祈りを終え、自室の扉を閉めた瞬間だった。


「……やはり納得できませんわ!私がアリーゼより劣っているだなんて、絶対に認めませんわ!」


 自慢の金髪を指に巻き付けながら、私は誰もいない自室で一人声を荒らげた。


 その言葉に答えてくれる者はなく、ただ虚しく部屋に響くだけだ。それでも、私は自分の考えを改めるつもりはなかった。単なるプライドの高さからではない。


 私は誰よりも『聖女』としての努力を重ねてきたという自負がある。


 アリーゼが教会を去ってからは特に、自分を高めるために必死だった。毎日欠かさず行う礼拝や布教活動はもちろん、他教会との合同行事にも積極的に参加し、教会内の掃除や孤児たちの世話だって率先して行ってきた。


 孤児たちに読み書きを教える時は、彼らの未来が少しでも明るくなるようにと心から願い、一人一人と真剣に向き合ってきた。泥で汚れた礼拝堂の床を磨く時も、神への祈りを込めて自分の手で拭き上げた。


 決して誰かに褒められたくてやっていたわけではない。それが聖女としての私の誇りであり、信じる正しさだったからだ。


 それだけではない。様々な知識を身につけるため、分厚い神学書や難解な歴史書、果ては高度な魔導書まで、睡眠時間を削って読み漁っている。


 これほどまでに身を粉にして努力してきた結果が「アリーゼより劣っている」という評価だなんて。それがどうしても許せなかったのだ。


「私はアリーゼと何が違いますの……」


 生まれてから今日まで、誰かと比べられてあそこまで屈辱的な言葉を投げかけられた経験はなかった。


 ライアン=ランバート……あの男だけは許せませんわ……!


 心の中でそう呟くものの、今はこれ以上考えても仕方がない。私は気分転換のため、日当たりがよく風通しのいいテラスに出ることにした。


 そしていつも通りお茶を用意しようとした時、ふいに後ろから声をかけられた。


 振り向くと、そこには白髪の老人が立っていた。この教会の責任者であり、私やアリーゼにとっても祖父のように良くしてくれている恩人、ルスター様だ。


「おお、マルセナよここにいたのか?」


「あら、ルスター様?どうかなさいましたか?」


「うむ、少し話があるのだが今いいかね?」


 そう言って、私たちは向かい合うように席に着いた。


「それで、お話とはなんですの?」


「ああ、実はな。お前さんに新しい仕事を任せようと思ってのう」


 正直なところ、今の私には新しい仕事など抱え込む余裕はないのだけれど……。


 そして、ルスター様はひどく真面目な顔つきになった。その表情を見た瞬間、私も自然と姿勢を正す。目の前の恩人がこういう顔をする時は、決まって教会のための最善を考えている時だからだ。


 これは断るわけにはいかない。もし断れば、聖女としての責任を放棄することになるし、アリーゼよりも劣っていると自分から認めるようなものだ。それに何より、私をここまで育ててくれた彼への恩がある。


「私に任せたい仕事とはなんなのでしょうか?」


 意を決して問い直すと、ルスター様は相変わらず険しい表情のまま口を開いた。


「お前には今日からこのカトリーナ教会を出てもらい、とある方の元へ奉公に出てもらうことになった」


「……えっ?」


 優雅に傾けようとしていたティーカップが、手元でカチャリと間の抜けた音を立てる。一瞬、ルスター様の言葉の意味がまったく理解できず、私は完璧な聖女らしからぬ間抜けな声を漏らして固まってしまった。


「どうした?聞こえなかったのか?だから、お前はこの教会から出て行き、これからあるお方の所で住み込みで働くことになったんじゃよ」


「そ、そんな!お待ちくださいルスター様!!教会の第一聖女である私がどうして急にそのようなことを!」


 あまりの内容に、私はひどく慌ててしまった。だが、ルスター様はそんな私を気にせず言葉を続ける。


「それはだな。お前も知っての通り、最近ここの教会の評判が落ちてきておる。このままではいずれ潰れてしまうじゃろう。聖女であるお前にしか、この教会は救えんのじゃ」


「そんな!それにあの人って一体……」


「お前も知っておるだろう。ライアン=ランバート様じゃ」


 嘘でしょう!?と叫びそうになるのを必死に堪える。


 なぜ、よりによってあの男の元へ……?ただの嫌がらせかとも疑ったが、ルスター様の苦渋に満ちた表情を見れば、これが『資金援助の交換条件』であることは明白だった。ならば、第一聖女として逃げるわけにはいかない。


(あれは、本気だったということですか……)


 この前の一件で、私はあの男に気に入られたのだろうか。あの言葉は冗談ではなかったのか。頭を抱えそうになったが、私はすぐに思い直した。


 ……面白いですわ。いいでしょう。そこまでして私を傍に置きたいというのなら、受けて立ちますわ!ライアン=ランバート。待っていなさい、私がアリーゼより優れていることを、あなたの目の前で完璧に証明して差し上げますわ!


 胸の内で荒れ狂う動揺をひた隠しにし、私はあくまでも誇り高き聖女として、強気な笑みを浮かべてみせたのだった。

『面白い!』

『続きが気になるな』


そう思ったら広告の下の⭐に評価をお願いします。面白くなければ⭐1つ、普通なら⭐3つ、面白ければ⭐5つ、正直な気持ちでいいのでご協力お願いします。


あとブックマークもよろしければお願いします(。・_・。)ノ


こちらでキャラクターのイメージ画像とイメージSONGがあります。興味があるかたは1度観に来てくださいo(^-^o)(o^-^)o

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