表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告白作戦っ!  作者: 黒原乃柚
49/58

第49話 沙耶ちゃんヵらの宿題

 練習終了後、私たちはグランドを後にして校門へと向かった。

 いよいよ放課後デートの時間だ。ちょっと余分なのがいるけど。

 駅前の方向に行くかなぁ?

 もし行ったら最近できたサルウゼィでサンドイッチ食べたいな?

 草壁君と一緒の物を頼むの。

 そしたら草壁君が『僕たち気が合うね』って言ってくれたりして。

 もう最高!


「柚衣、妄想に耽ってないで早く乗りなよ」

 沙耶ちゃん、今なんて言った?

 私の前には黒いロールスロイスが止まっていた。

 え? まさかこれで帰らないよね?

「柚衣ちゃんの家なら10分で着くよ」

 草壁君が容赦のない言葉を発している。


 嘘だよね? 長い時間かけて楽しいお話をして帰るんだよね?

 サルウゼィのサンドイッチ食べるんだよね?

「早く乗らないと運転手さんに悪いよ」

 沙耶ちゃんに急かされ渋々車に乗った。


 それはこんな高級車に乗るのは嬉しいよ。初めてだし。

 一生乗れない人が殆どだもんね。

 でもでも。これは放課後デートじゃないよー!

 ああ、私の夢と希望を返して!


「着いたよ柚衣ちゃん」

「えー! 早すぎるよー」

「別にスピード違反はしてないと思うけど」

 草壁君が笑いながら言った。

 それはそうだよね?

 こんな高級車だもん。

すぐ着いちゃうよね。(スピードが同じならどの車でも変わりません(笑))

 あ! 車の中で草壁君と話をしてないよ。

 これは痛恨のミス! 私は53万のダメージを受けた。


「でも〜草壁君が〜そんな趣味があるなんて〜思わなかっよ〜」

 何? 何の話をしてるの?

 まさか私が落ち込んでる間にみんなで盛り上がってたの?

「恥ずかしいから誰にも言わないでね。野乃葉ちゃん」

「わかったの〜。でも私と同じ趣味で〜嬉しかったの〜」


 どういうこと? 何の話をしてたの?

 草壁君の趣味って何よ?

 めちゃくちゃ気になるんだけど。

 聞いても大丈夫かな?

「く」

「それじゃ、明日の朝8時にまた迎えにくるね」

 聞けなかった。

 草壁君を乗せたロールスロイスが行っちゃったよ。


「じゃあ、また明日の朝ここにくるね」

 と言って帰ろうとする沙耶ちゃんの手をガシッと掴んで聞いた。

「草壁君の趣味って何?」

「聞いてなかったの? そう言えばなぜか固まってたもんね」

「いいから教えてよ」

「どうしよっかなー」

 沙耶ちゃんらしい焦らし方だ。


 私は野乃葉ちゃんを見た。

 すると、なぜか野乃葉ちゃんは慌てて沙耶ちゃんの後ろに隠れてしまった。

 私そんなに怖い顔で見たのかな?

「趣味が何なのかは明日までの宿題ね。想像しといて」

「何で? 教えてよ。気になるじゃない」

「明日の朝、草壁君より早く来て教えてあげるよ。朝寝坊したら聞けないぞ」


 何で教えてくれないのよ!

 私だけ知らないなんて嫌なんだけど。

 そして私はふと大切なことを思い出した。

「どうして朝も沙耶ちゃんが一緒なのよ!」

「楽して学校に行けるからに決まってるじゃん」

 そういう人だったわ。忘れてた。

 でも、こういう時くらい気を使いなさいよね。

「そうだ、見事に当てたら明日の帰りは2人にしてあげるよ」

「本当! 私頑張る!」

 実に単純な私である。

 このチャンス絶対ものにして見せるわ!


 その夜、私は一生懸命考えた。草壁君の隠された趣味か?

 野乃葉ちゃんと同じ趣味なんだよね?

 野乃葉ちゃんの趣味は、編み物でしょ、手芸でしょ、料理でしょ、お菓子作りもだ。

 あれ? 女の子っぽいものしか出てこないぞ。

 どうしても草壁君が編み物をしている姿が想像できない。

 でも当てなきゃ私の夢は叶わないんだよね?


 そうだ! 草壁君と友達の琉生なら知ってるんじゃない?

 私は椅子から立ち上がると消しゴムを持って窓へと向かった。

 そして琉生の部屋の窓へと消しゴムを投げようとして踏みとどまる。

 もったいないよね?

 私は昨日使い終えたボールペン(100均)を持つとそれを勢いよく琉生の部屋の窓へと投げつけた。


 当然のようにすぐ窓が開けられた。

「ガラスが割れたらどうするんだよ!」

「ちょっと聞きたいんだけど」

「俺の話を聞いてるか? まあいいや。何を聞きたいんだ?」

「草壁君の隠れた趣味って何?」

「なんだそれ? そんなの聞いてどうするんだよ?」

「もし当てると草壁君と放課後デー‥‥」

 と言いかけて、私は慌てて口を押える。

 本当のこと言ったらきっと教えてくれないよね?


「沙耶ちゃんからのクイズなの」

「ふうん」

 琉生は暫く考え込んでから話し始めた。

「俺もよくわからないけど、最近アニメにはまってるらしいぞ。プリクワとかいう美少女戦士アニメらしい」

 嘘でしょ? それって小学校の女の子の間で流行ってるやつじゃない?

「何でもかなりのグッズを揃えてるらしいぜ」

「本当?」

「俺が嘘ついたことあるか?」

「結構ある」

「嘘だと思うんなら本人に聞いてみな」

 そう言うと琉生は窓を閉めた。


 本当かなあ? そう言えば野乃葉ちゃんもアニメ好きだよね?

 でも美少女戦士って‥‥。

 

 次の朝。私は早起きをして沙耶ちゃんを待った。

「おはよう。わかった?」

 沙耶ちゃんが嬉しそうに聞いてくる。

「アニメ美少女戦士プリクワにはまってるんでしょ?」

「よくわかったね? 答え合わせは直接本人に聞いてみて」

 草壁君の車に乗ると私は満面の笑顔で質問の答えを言った。

「草壁君って、最近アニメにはまってるんだよね? 美少女戦士プリクワとか」

「‥‥‥‥」

 え? 何この空気?

「僕の最近の趣味はクッキー作りだよ。作り方をシェフに教えてもらったのさ」

 ガーン。

 ようやく琉生と沙耶ちゃんに騙されたことに気付いた私は葬式に行った時のように暗い一日を過ごすのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ