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告白作戦っ!  作者: 黒原乃柚
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第44話 最高の優勝賞品

 波乱万丈のパーティーも終わり、私たちは草壁君専用の応接室でくつろいでいた。

「柚衣よかったね?」

 沙耶ちゃんが突然突拍子もないことを言い出す。説明不足の会話は沙耶ちゃんのいつものパターンだ。

「何が?」

 疲れ切っている私はだらっとした声で答えた。ここには草壁君はいないからね。


「草壁君に愛してるって言ってもらえたじゃん」

「本気で言ったわけじゃないから」

 まあ、嘘でも嬉しいんだけど。

「これって~嘘じゃないかもしれないよ~」

 野乃葉ちゃんがゆっくりと話す。


 確かにもしかして心の中では本気の部分もあったかもしれない。0.00001%くらいだろうけど。だって頼むんだったら沙耶ちゃんでも野乃葉ちゃんでもよかったよね? 

でも私を選んだわけだから少しは希望があるよね?


 その時、草壁君と琉生が部屋に入って来た。

「お待たせしてごめんね」

 私が慌てて姿勢を正すのを見て琉生が笑っている。こいついつか殺す。


「もうすぐしたら柚衣ちゃんに優勝賞品が来るからもう少し待っててね」

「え? そんなもの貰えるんですか?」

 目の前が急に明るくなっていく。

 草壁君の家って日本一の大企業だよね? もしかして物凄く豪勢な物?


「柚衣、仲良くしようね」

 沙耶ちゃんが私の肩を抱く。ちゃっかりしてるよね?

「残念ながら優勝賞品は形のないものなんだ」

「な~んだ」

 沙耶ちゃんがあからさまにがっかりしている。草壁君に失礼だよ。


「じゃあ、何なのよ」

 沙耶ちゃんがふてくされた声で聞いた。

「ふふふ何だと思う?」

「地球の空気100年分」

 空気は商品でもらわなくても手に入るよ。もしそれが優勝賞品だったら詐欺だよね?


 その時、執事さんが部屋に入って来た。

「裕哉様。目録にございます」

「ありがとう」

 草壁君は目録を受け取るとそれを私に渡して言った。

「これが優勝賞品だよ。開けてご覧」

 私は言われるままに封を開ける。

「レストラン草壁の食事券?」

「豪華な賞品じゃなくてごめんね。優勝賞品は僕とデートする権利なんだ」

 嘘! これって最高の賞品じゃん!!!


「手抜きじゃないの?」

 沙耶ちゃんは容赦ない。

「一応、草壁商事が経営する最高の高級レストランを貸し切って国賓レベルのコース料理を食べることになっている」

「やったー!」

 沙耶ちゃんが両手を上げて喜んでいる。

「招待するのは柚衣ちゃんだけだよ」

「何でよー」

 当然だと思うよ沙耶ちゃん。


 でもでもこれで草壁君と二人きりのデートができるんだ。神様ありがとうございます。

「私も招待してよー」

 沙耶ちゃん粘るね。

「俺も高級料理食べたいな」

 琉生まで何言い出すのよ。

「わかったよ。だったら後2人追加して‥‥」

「ダメー!」

 私は隣の家に聞こえそうな大声で叫んだ。草壁君の家の大きさを考えたら隣の家に声が届くのは無理か?


「これは私と草壁君のデートなの! 他の人は参加しちゃダメ」

「だって高級フルコースが」

「そんなにデートしたけりゃ沙耶ちゃんと琉生でデートすればいいじゃん。ね、ね、そうだよね? 草壁君」

 草壁君は笑いながら、

「その通りだよ」

と言ってくれた。


「わかったわよ。じゃあ、柚衣たちがデートする日に合わせて他の三ツ星レストランでデートするわよ。いいわね中園君。食事代は中園君が出してよね」

「なんで俺がお前とデートせにゃならんのだ!」

 この二人結構仲いいかも。


 それにしても今日は何ていい日なんだろう。草壁君との仲が着実に縮まってる気がする。

「それじゃあ柚衣ちゃん。デートの日にちと時間なんだけど、レストランの都合上こちらが勝手に決めてもいいかな?」

「勿論いつでもいいです」

 その時、新たな不安の種が芽生えてきた。

もしかして高級レストランに着ていくが服がないのでは? この服でもいいかな? ここへ来たとき執事さんに『お着替えはこちらで』って言われちゃったし。


「この服‥‥‥」

「その服がどうしたの?」

 草壁君が笑顔で聞いてくれる。私の顔色で不安なのが分かったのかな?

「この服、似合ってますか?」

「とってもよく似合ってるよ」

 たとえお世辞でも嬉しいよ。

「その高級レストランて‥‥‥この服で行っても‥‥‥」

「大丈夫だよ」

 私が言い終える前に答えてくれた。

「貸し切りだからね。学校のジャージでもいいよ」

 さすがにそこまでの度胸はないけど。

 私が困ってるのわかって言ってくれたんだ。本当に気が利く人だよね? 素敵すぎるよ。

「私の記憶ではレストランゴージャスって店がミシュランの三ツ星を取ってるわ。ここに決定ね」

「だからお前とデートするつもりはないって言ってるだろう!」


 盛り上がりを見せた草壁君の応接間の隅で、一人で涙をこらえる野乃葉ちゃんなのだった。


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