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☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道の鳥居 】
33/36

✒ 白い鳥居 7


「 シュンシュン、はなしってなんだ?

  どうしたんだよ? 」


「 逮捕された奴だが、獄中で自殺していた 」


「 じ……自殺?!

  なんでだよ! 」


「 僕が知るか。

  さいわい看守に見つかる前だったから、しきれいに運ばせた。

  火葬して骨壺にれて持って帰ってたぞ 」


「 ……………コレで生きて帰れるのはやくちゅうだけか…。

  でもさ、なんで5人ちゅう3人が死んじゃうんだよ?

  いくなんでもしくないか? 」


「 そうだな。

  妙ではある。

  此方こっちに残る事を選んだ5人目はピンピンしてるんだがな 」


「 …………シュンシュン、白い鳥居をとおって此方こっちた人は、帰れないようになってるのかな?

  偶然としてかたけるにはいささか── 」


「 調べてみる必要が有りそうだが──、今のところ調べようが無い…… 」


「 オレ達は大丈夫なのかな? 」 


「 はぁ?

  問題ないだろ。

  僕達は人間じゃないし、異形の存在に分類される立場だ。

  マオは不老不死だろ。

  多分、大丈夫だ 」


「 そうだといんだけどな…… 」


「 別世界へつうじる白い鳥居が出現する原因もさぐりたいところだが、僕だけではむずかしいかもな 」


「 だけどさ、“ 帰り道 ” に出現するって事は分かってるんだし、なんとか調べられないのか? 」


「 戻ってからだな。

  セロフィートに泣き付けば手伝ってくれるんじゃないか?

  僕は白い鳥居が出現する謎や原因の解明が出来なくても気にしないぞ! 」


「 えぇ~~~~。

  セロに白い鳥居の謎を解明する事が “ 面白い ” なら手伝ってくれそうな気はするんだけどな… 」


「 直談判してみるんだな。

  僕の事は巻き込むなよ! 」











「 シュンシュン、いよ(いよ)だな!

  ようやく元の世界へ戻れるんだよな? 」


「 そうだ。

  事務所を引き払う手続きは済ませたし、喫茶店にも世話になった礼を済ませた。

  トンネルの前に転移するぞ 」


「 おう! 」


 全骨している骨壺とボストンバッグはしきれい達が管理している。

 此方こっちの世界に残る事を選んだ5人目から預かった手紙も忘れずに持っている。

 やくちゅうでラリってる奴には、逃げれない──じゃなくて、はぐれないように縄で縛って連行する形になった。


 シュンシュンの転移陣でトンネルの前に到着する。

 昼間なのにトンネルの中は不気味だ。

 霊的存在でも出てそうだ……。


「 シュンシュン…… 」


「 そんな不安そうな顔するな。

  向こうと此方こっちを繋ぐ媒体は有る。

  心配しなくても戻れる。

  最強陰陽師である僕を信じろ! 」


「 シュンシュン! 」


みちしるべの式神よ、僕に姿を見せよ! 」


 シュンシュンがいんを切ると見えなかった式神が姿をあらわす。

 3メートル間隔で式神が続いている。


「 行くぞ 」


 シュンシュンはやくちゅうを縛っている縄を引っ張って歩き出す。

 オレはシュンシュンみぎどなりを歩く。


 トンネルの中はしている。

 奥に向かって進むほど、トンネルの中の温度が下がっている気がする。


「 シュンシュン……、温度が下がっててないか? 」


「 あぁ、れいどうの中を歩いてるからな 」


れいどうの中だって?!

  なんれいどうの中を歩いてるんだよ!? 」


「 僕が知るか。

  どうやら、このトンネルはれいどうと重なっているらしい。

  みちしるべの式神を辿って歩けば問題ない。

  霊視眼鏡を掛ければ面白いのが見れるぞ 」


「 絶対に見ない! 」


 長いトンネルの中を歩く。

 白い鳥居は出てない。

 行けども行けどもはざざむいトンネルが続くだけだ。


「 シュンシュン……。

  ちっとも白い鳥居が出てないけどさ、これってほんに大丈夫なんだよな?

  元の世界へ続いてるんだよな?? 」


「 マオ、情けない声を出すなよ。

  “ 僕を信じろ ” って言ったろ。

  セロフィートの事は信じられても僕の事は信じられないって言うのか? 」


「 そんな事は── 」


「 ほら、僕のスマホ(スマートフォン)を見てみろよ。

  真っ黒だった画面が元に持ってるだろ。

  だ圏外だが、元の世界へちかいてる証拠だ。

  どうだ、少しは安心したか? 」


ほんだ!

  スマホ(スマートフォン)が使えるようになっててるな! 」


 こうやって目に見える現象が有れば、分かり易いし安心も出来る。

 早くシュンシュンのスマホ(スマートフォン)が使えるようになってほしい!











「 あっ、はだざむさがやわらいでた? 」


「 式神の色が変わったな。

  残り半分だ。

  キリキリ歩けよ! 」


「 えぇ~~。

  だ歩くのかよぉ~~。

  あと半分とかキツいな…… 」


「 男が女みたいに弱音をくな!

  背筋を伸ばしてどう(どう)と歩け!

  情けない事を言うんじゃない。

  女に指を差されて笑われるぞ 」


「 心をえぐる言い方ぁ~~。

  男だって女みたいに弱音をきたいときは有るよ。

  別にいじゃん。

  弱音をいたぐらいで死にやしないって! 」


まったく──、男としてのプライドは無いのか?

  彼方あっちの世界に落としてたか? 」


「 女の姿のシュンシュンには言われたくないな~~ 」


「 心はれっきとした男だぞ! 」


 シュンシュンと雑談しながら歩いてると、疲れも忘れちゃうな。

 歩き続けていると、トンネルの出口が見えてた!


「 シュンシュン、明かりだ!

  明かりが見える!

  やったな、シュンシュン!

  元の世界へ戻ってれたんだ!! 」


「 マオ、はしゃぐなよ。

  糠喜びにはなりたくはないだろ。

  慎重に進むぞ 」


「 シュンシュン……。

  分かったよ、油断しない 」


 シュンシュンは少しだけ慎重過ぎるんじゃないかと思う。

 だけど、ほんに出口なのか分からないもんな。

 用心に越した事はないか。

◎ 訂正しました。

  可笑しい ─→ 可怪しい

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