✒ 噂のカマイタチ事件 3
春麗の張った結界の中を容赦なく縦横無尽に暴れまわる怪異を取り込んだ怨霊の化け物──。
その化け物の姿は巨大な百足に似た形相ををしているが、生えている全ての足は蟷螂の鎌の如く切れ味が良さそうに鋭くなっている。
宙を飛んで移動が出来るのは蜻蛉の羽に似ている巨大な羽が背中に何本も生えている。
巨大百足に似た化け物の下には、襲われた被害者達の170個もの生首が逆さまの状態でへばり付いていおり、両目からは血の涙を流している。
化け物に腹からポタポタと滴り落ちていたのは、生首が流してい血だったのだ。
春麗の助手をしているマオが使っている刀は、実体の無い不可思議な妖魔すらも斬れる特殊な魔具刀だ。
此方の島国に存在している実体の有る怪異の類も問題なく使える特殊な魔具刀だったが、この百足に似た化け物を斬る事が出来ない。
体を覆っている殻が硬過ぎて、特殊な魔具刀の刃を通さないのだ。
下手をすれば特殊な魔具刀が真っ二つに折れてしまう程に殻の硬度が高い化け物なのだ。
マオは手首は相棒のセロフィートから貰ったアミュレットを付けている。
〈 ノマ 〉で魔法を使えないマオの為に相棒のセロフィートが用意した〈 ノマ 〉でも元素魔法を使う事が出来る特殊なアミュレットだ。
アミュレットに付いている様々な色の宝石は魔鉱石と呼ばれる特殊な鉱石で、中には様々な元素魔法を使う事が出来る。
実体の無かった妖魔に元素魔法を使っても効きはしなかったが、実体のある百足の化け物に一か八かで元素魔法を使ってみたマオだったが、百足の化け物にも元素魔法は効かなかった。
放った元素魔法が百足の化け物の体から透けてしまい、攻撃が当たらずダメージを負わせられないのだ。
元素魔法が効いてダメージを与える事さえ出来れば、百足の化け物を弱らせる事が出来るのだが、それも出来ない状況だった。
魔具刀でダメージを与えられないマオは、結界の中では完全に役立たずで足手まといでしかなかった。
一方の陰陽師である春麗もとい春舂霄囹は、羽目を外し過ぎても “ 悪さが出来ないように ” とセロフィートの古代魔法に依って、本来の力を封じられていた。
その為、本来の10分の1も出せていない状態だった。
本来の力が封じられていても、春舂霄囹は陰陽師としては強い方である。
然し、運の悪い事に今回の百足の化け物に対しては、力をしている事が仇となり完全に力不足だった。
鯔のつまり役立たずである。
万事休す,四面楚歌,絶体絶命に近いピンチにマオ共々陥り、役立たずの2人は結界の中で百足の化け物に翻弄され、追い詰められていた。
「 ──此方の攻撃は効かないのに、彼方の攻撃は食らうって理不尽だよな!
何とかならないのかよ? 」
「 マオは不老不死だから、どんな攻撃を受けても死なないんだろ。
僕の盾になって、全力で僕を衛れよ! 」
「 酷っ!
不老不死ではあるけど、怪我すると人並みに痛いんだよ!
シュンシュンだって不老不死みたいなもんだろ 」
「 僕は不老だが不死じゃないんだよ!
本来の力を封じられたまま死ねるかよ!!
僕が怪我しない様に囮になれよ! 」
「 何で何っ時もオレばっかり損な役回りなんだよ!! 」
「 不老不死なんだから当然だろ!
また来たぞ!!
マオ、何とかしろ! 」
「 シュンシュンこそ陰陽術を使って何とかしろよぉ!! 」
マオと春麗は口喧嘩をしながら、百足の化け物が繰り出して来る攻撃から命懸けで逃げる逃げる。
振り下ろされる鎌の風圧で、マオと春麗は怪我を負う。
「 ──シュンシュン!
大丈夫か? 」
「 マオ…………。
これが大丈夫に見えるのかよ……っ!! 」
「 傷を癒す回復魔法を使うよ。
オレは回復魔法は苦手なんだけどな 」
「 使えるなら初めから使えよ… 」
「 苦手だって言ったろ!
──ヒール! 」
マオが回復魔法を使うと春麗の傷を一瞬で癒す。
傷口も痕が残らず綺麗に消える。
「 …………凄いな、回復魔法ってのは!
傷口も消えたぞ! 」
「 回復魔法ってさ、攻撃魔法と違うから加減が難しいんだよな…。
痛みを和らげたり、傷を癒したり出来る陰陽術って無いのか? 」
「 そんな便利な陰陽術が有るかよ!
そんな陰陽術が有ったら、陰陽師なんてしてないぞ。
治癒師としてボロ儲けして回ってるよ! 」
「 ははは~~……シュンシュンならやりそうだな~~ 」
「 何だよ、マオ。
お前、戦闘以外でも役に立つじゃないかよ!
こんな凄い魔法が使えるならもっと早く言えよ!
こいつぁ、怪奇グッズを販売するよりガッポリ出来るぞ! 」
「 だから黙ってたんだけどなぁ~~ 」
「 宝の持ち腐れをするな!
ガンガン使ってバンバン儲けるんだよ!!
儲ける為に使わなくて何の為の魔法だ! 」
「 魔法が金儲けする為の力じゃないってのは間違いないよ 」
「 マオは頭が固過ぎるんだよ。
もっと柔軟になれ!
良いか、大した事ない怪我で病院へ行って見てもらう馬鹿が多いだろ。
その馬鹿達を此方に流すんだよ。
僕達は多額の治療費を得られてハッピーだし、患者も怪我や傷が治ってハッピーだろ。
Win‐Winってヤツだ!
病院で働く医師も本当に病院での治療を必要としている重症患者の治療に専念する事が出来る様になるんだぞ。
医師の負担が減れば、治療の質も向上するし、助かる患者数も増える。
これは “ 人助け ” になるんだ。
病院内にポスターを貼らせてもらい、医師が見る必要のない軽症患者を回してもらうんだ。
病院と協力関係を結べば “ 病院側も認めた ” って事で信頼を得られるから、患者からガッポリ出来る!
セロフィートが後ろ楯になってくれるだろしうし、〈 セロッタ商会 〉がバックに居れば、病院側も無理な要求をして来やしないさ!
どうだよ、回復魔法とやらを使って僕とガッポリ稼がないか? 」
「 ………………何をするにも先ずはセロに相談しないとだからな。
セロが回復魔法を使ってガッポリしない理由が有るかも知れないし 」
「 それもそうだな。
あの金にがめついセロフィートが回復魔法を使ってガッポリしないのは確かに妙だな…… 」
「 言っとくけど、セロは金にはがめつくないからな!
暇潰しでガッポリしてるだけだからな!
態々仕事をして稼がなくたって、お金なんか幾らでも〈 テフ
「 暇潰しで金
〈 テ
全
「 セロは1人で世界中を無双する事が出来る “ なんちゃって吟遊大詩人 ” だからな~~ 」
「 ふぅん……。
良
よし、それも頂くとしよう! 」
「 うん?
頂くって何
「 小説を書くんだよ! 」
「 は?
小説ぅ??
小説なんか書いてガッポリ出来るのかよ? 」
「 馬鹿が。
“ ペンは剣より強し ” って言葉を知らないのか?
〈 セロッタ商会 〉がネットで始めた素人でも気軽に執筆した物語を作品として投稿が出来る【 小説家になろっ! 】ってサイトがあるんだよ。
其
「 えぇ~~……。
誰が書くんだよ…。
オレは小説なんか書けないからな! 」
「 誰がマオに “ 書け ” なんて言うかよ。
執筆するのはキノコンにさせれば良
「 キノコンに丸投げして他力本願かよ… 」
「 主人公は “ なんちゃって吟遊大詩人 ” を名のって世界中を放浪旅しているセロフィートだ。
〈 テ
弱気を助けてはガッポリし、強気を挫
セロフィートは手品もするんだったよな? 」
「 そだな。
古代
「 タイトルは──【 なんちゃって吟遊大詩人時
「 タイトルが長過ぎやしないか?
もっと短くても良
「 今はタイトルが無駄に長いのが流行りなんだよ。
敢えて流行りに便乗するのも大事だぞ 」
「 本
「 世界観やキャラクターの設定なんかは、実際の世界観とセロフィートの立場をそ
変にアレンジすると訳が分からなくなるからな。
セロフィートのや
「 シュンシュン、言い方ぁ~~ 」
「 マオがセロフィートの悪行をネタとしてキノコンに話せば、上
「 ………………先ずはセロに相談してからだからな? 」
「 分かってるよ。
全
「 報連相は大事だろ?
セロを主人公にした物語を投稿するなら、セロに許可を貰わないと安心して書けないじゃん 」
「 まぁ、好きにしろよ。
作品が文庫化したりコミカライズ化したら、印税は半
アニメ化して、劇場版化して、実写映画化したら印税でガッポリ出来る!
グッズもバンバン売れたりしてさ~~ 」
「 シュンシュン……夢を見過ぎだって。
キノコンの文章力だって分からないのにさ。
そんな事より、今は百足
未来に夢を馳
「 そうだったな。
回復魔法を見て少し興奮し過ぎたよ 」
「 少し処
どうしたら良
結界を消したらオレ達は逃げれるから助かるけど、周囲に甚大な被害が出るし、大勢の被害者も出るだろうな 」
「 そうだな。
だが、今の役立たずな僕等
どうする、マオ。
結界の中でマオと心中するなんて僕は後免だぞ 」
「 オレだって嫌
あっ──、シュンシュン、スマホ
スマホ
マオキノかセノコンに来
彼奴
「 残念だが、スマホ
「 ん?
使えないって何
「 逃げ回ってる途中で壊れたからだよ 」
「 えっ??
じゃあ、助けは? 」
「 呼べるわけ無いだろ 」
「 …………………………………………えぇぇぇぇぇぇぇッッッ!?
助けを呼べない!?
えっ……じゃあ、どうするんだよぉ!! 」
「 マオはど
「 どうって……。
………………オレだってど
マオと春




