✒ 手紙 3
「 ──よし、準備は整ったな。
これから手紙の差出人── “ サミィちゃん ” とやらを強制的に呼び出すぞ! 」
「 強制召喚ってヤツだな!
ワクワクするなぁ~~! 」
「 マオ、霊視眼鏡を掛けて、魔具刀を構えてろよ 」
「 えぇ~~?
霊視眼鏡、掛けないと駄目なのか? 」
「 当たり前だろ!
僕の式神と一緒に痛め付けて瀕死状態にするんだ!
言霊で縛って式隷にしてやるんだ! 」
「 エゲつい事するなぁ…。
さっさと除霊して、輪廻の流れへ還してやれば良いじゃんか 」
「 駄目だね!
新しい怪奇グッズを開発する為に必要だからな!
怪奇グッズ【 リアル不幸の手紙 】を思い付いたんだ。
コイツを完成させるには、サミィちゃんなるふざけた妖かしが必要なんだよ! 」
「 シュンシュンに利用される妖かしが不憫過ぎるぅ~~ 」
「 煩い!
始めるぞ。
空き地には結界を張ってある。
思う存分痛め付けてやれ! 」
「 分かったよ…… 」
春麗は数枚の御札を取り出すと呪文を唱え始める。
御札に法力を込め、陰陽術を発動させた。
地面に描かれた特殊な陰陽陣が不気味に光り出す。
空き地内の空気が重くなり、冷気が漂い始める。
「 さっむぅ~~~~。
この寒さ、何とかならないのかよ… 」
「 強制召喚だからな、我慢しろ。
サミィちゃんとやらがおでましだぞ! 」
陰陽陣が消えると現れたサミィちゃんは、マオや春麗が想像していた姿とは天と地ほどに違っていた。
「 ……………………これが……サミィちゃん??
あの手紙を書いて落とした犯人?? 」
「 どうやら、そうらしいな 」
「 ………………きっもぃ!!
体の中に取り込まれてるのって──、行方不明になってる子かな? 」
「 そうだろうな。
どうやら手紙の被害者は1人や2人じゃないらしい。
他にも大勢居た訳だ 」
「 つまりさ、【 手紙のサミィちゃん 】って怪談は都市伝説じゃなくて、ガチもんだった──って事かよ? 」
「 行方不明事件ってのは、“ 神隠し ” って事にされて捜索を打ち切られる場合もある。
コイツに取り込まれてる人間の中には、捜索願いを出されてる奴も居るかも知れないな 」
「 シュンシュン、取り込まれてる人間を助け出す事は出来ないかな? 」
「 はぁ?
もう生きてないと思うぞ 」
「 そうかも知れないけどさ、待ってる家族が居るなら帰してあけだいじゃん!
死んでるかも知れないけど、ずっと帰りを待ってる家族が居るなら、帰らせてあげたいじゃんか 」
「 全く……御人好しだねぇ。
それじゃあ、式神で集団リンチも出来やしないだろが! 」
「 集団リンチから離れろよ……。
リンチなんてしなくてもシュンシュンになら余裕だろ? 」
「 ……………………まぁな。
動きは止めてやるから、マオが攻撃して弱らせろ!
僕が式神に命令して取り込まれてる人間を引き抜いてやるよ 」
「 有り難な、シュンシュン! 」
「 チッ!
この貸しは大きいからなぁ!! 」
「 分かったよ 」
春麗は数枚の御札を取り出し、法力を込めると陰陽術を発動させて、丈夫な長い鎖を作る。
長い鎖は妖かしの体に容赦なく食い込み、妖かしの動きを止める。
妖かしの周辺には春麗が召喚した式神達が、取り込まれてる人間を引き抜く為に待機している。
マオは魔具刀を振り上げ、素早く妖かしを斬り付け、ダメージを負わせていく。
「 ──これで最後だぁ!! 」
マオがトドメの一撃を妖かしに食らわせる。
妖かしは取り込んでいた人間を1人残らず引き抜かれて、抵抗が出来ない程に弱まり瀕死状態に陥っていた。
「 でかしたぞ、マオ!
──邪な妖かしよ、僕に下れ!
生涯、僕の式隷として、僕に絶対服従するんだぁ!! 」
「 シュンシュン……完全に悪役の顔してるなぁ。
生き生きしてるし、ノリノリじゃんな 」
「 フフン!
これで1体、式隷が増えたぞ 」
「 良かったな? 」
「 何で疑問系なんだよ?
それより、問題なのは救出した人間の方だな 」
「 そ、そだな……。
これは……あまりにも酷い有り様だよ。
こんな惨たらしい状態のまま家族には帰せないよな…… 」
妖かしに取り込まれていた人間達を引き抜けたものの、モザイクで隠さないといけない程に酷い状態だった。
一般人には見せられないよっ!!
「 シュンシュン……、死体を修復する陰陽術ってないのか? 」
「 嫌だね!
高価な御札を死体なんかに使えるかよ!
面倒だし、このままで良いだろ。
帝呀に連絡するから、警察に任せるぞ 」
「 ………………セロに来てもらおうか?
セロなら死体を綺麗に修復する事が出来るしさ! 」
「 こんな所に呼ぶなよ!
お前はセロフィートに依存し過ぎなんだ!
セロフィートの居ない不自由さに慣れろ! 」
「 だってさ── 」
「 だってもヘチマもあるか!
──帝呀を呼んだ。
簡潔に事情も話したし、仲間を引き連れて来るだろう 」
「 うん…… 」
「 そんな顔するなよ。
後の事は此方の知ったこっちゃないんだ。
警察が適当に誤魔化して処理するだろうよ 」
「 ……………………うん…。
そうだな…… 」
マオは浮かない表情で春麗を見る。
「 何だよ?
不服か?
僕はセロフィートみたいに知らない死体にまで情けを掛けれる程、優しくないんだよ 」
「 ……………………………… 」
「 何だよ。
僕に何を期待してるんだ?
僕はセロフィートじゃないんだぞ。
帝呀が来たら帰るんだ。
良いな! 」
「 ………………シュンシュン……どうしても駄目なのか? 」
「 おい!
雨の中、捨てられてる犬猫みたいな目で僕を見るな! 」
「 シュンシュン… 」
「 そんな目で僕を見たって、僕には通用しないんだからな!
僕はセロフィートじゃないんだ! 」
「 …………………… 」
暫くすると数台のパトカーが到着した。
停止したパトカーの中から刑事達が続々と降りて来る。
「 ──春麗さん!
マオさん!
『 妖怪に取り込まれていた人間を助けたから来い 』って一体、何があったんスか? 」
「 良く来た、帝呀。
今回だけはバックレた事を不問にしてやるから有り難く思え 」
「 春麗さん、10年も前の事じゃないッスか。
幾らなんでも引き摺り過ぎやしませんか? 」
「 僕は根に持つタイプなんだよ!
覚えとけ!
忠誠心の欠けてる奴隷の “ 手柄にしてやろう ” って言う、御主人様の優しさに深く感謝しろ 」
「 有り難う御座いまッス。
春麗さん…… 」
「 帝呀、お前も怪談や都市伝説の類いには詳しかったよな? 」
「 そッスね。
従兄がオカルト雑誌の編集部でオカルトライターの助手をしてるんで、その関係で割りと詳しいッス 」
「 お前
「 手紙ッスか?
聞いた事な──いや、あるッスね。
可愛い封筒が空
でも、名前が書かれている本人には便箋に文章が書かれているらしく、読めるらしいッスけど?
【 サミィちゃんの手紙 】って言われてる比較的に新しい都市伝説ッスね 」
「 帝
「 情報では “ 帰り道 ” らしいッス。
だから “ 帰り道の怪談 ” とか “ 帰り道のサミィちゃん ” とか “ 黄昏
「 その現象は今後、起きないぞ。
犯人の妖
その妖
「 春
マジで妖怪を祓
「 あぁ゛!?
帝
「 い、いぇ──滅相もないッスよ!
勿論、凄い陰陽師だって思ってまッス!」
「 フン!
まぁいい。
兎に角だ、鑑定士に身元を調べさせて家族の元へ帰してやってくれ。
捜索願いが出てる奴も居
「 分かりました。
必ず被害者全員の身元を調べて家族の元へ帰すと約束しますよ 」
「 頼んだぞ。
僕とマオは帰るから、後
「 了解ッス、春
お疲れ様ッス 」
刑事になった帝




