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Terminus Of Wonderland  作者: 工藤流優空
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心の闇

GWストック最後です。明日からまた頑張って執筆します!

  フィアたちは、丘の上へとやってきていた。丘の頂上には、1つの石碑が立っている。石碑には、こう書かれていた。


『心の闇と向き合えし者のみ、ここにて剣を手に入れる』


白の女王が言った。


「この儀式には、ハートの女王、白の女王などの王族の立ち合いが必要なのです。ハートの女王様、立ち合いをお願いしてもよろしいかしら」

「こういう面倒なときだけいいように、女王様女王様と……」


 文句を言いながらも、ハートの女王は石碑の前に立つ。そして声高らかに宣言する。


「われは、ハートの女王。作者より生み出されしオリジンである。本日ここで、ヴォーパル・ソードを欲する物語修正師候補生のため、儀式を執り行う」


 そしてフィアとティアシオンに石碑の前にある、小さな水晶のようなものに触れるよう言う。フィアとティアシオンが同時に触れると、2人は水晶の中に吸い込まれた。


♢♦♢♦♢


「何が起きるのか大体分かるぞ。また嫌な思い出の映像だろ」


 ティアシオンが嫌そうに言う。フィアは頷いた。するとまるで図ったかのように、彼らの目の前で映像が流れる。


 幼いころから母が怖くて、意見できなかった自分。自分を押し殺して生きていた自分。そしてこれからもそうやって生きていくのかという自問自答する自分。進みたい道を捨ててまで、母の思うように生きるべきなのか悩む自分。


 フィアはその映像を見て、ぐっと拳を握りしめた。すると、傍らで声がした。


「大丈夫だ、頼りにはならないかもしれねぇけど、オレが傍にいてやる。だから今度は、自分の思う通りにやってみろよ」


 それを聞いて、フィアは映像に向かって話し始める。


「わたしは怖かったんです。母親に逆らえば、母親に嫌われてしまうんじゃないか、もう二度と話してもらえなくなるんじゃないか。世界の全てに見放されてしまうんじゃないかって。でも、そうじゃないってここに来て分かりました。母親に自分の意見を伝えなければ、いつまでもこのままだって。だから」


 ここで言葉を切り、強い口調でフィアは告げる。


「この世界を出られたら、きちんと母親に伝えます。わたしがどうしたいかを。母にはお世話になったけど、でもわたしの人生だから。一度しかない人生だから。大事なことは、自分で決める。そう伝えます。それでもだめなら、自分自身で生きていけるようやってみます」


 それを聞き、ティアシオンは言った。


「物語が修復されたら。その時はお前について、そっちの世界に行ってもいいか? お前がどんな選択をして、どう生きていくのか見守っていきたいんだ」


「もちろん。……でも、そんなこと可能なの?」

「ああ。……物語修正師、および修正師候補生は契約した物語の住人を自分の世界に連れて帰ることができる。あ、オリジンの住人は無理だけどな。物語が進まなくなっちまうから」


「それじゃあ。……一緒に帰ろう、わたしの家に」


 それを聞いて、ティアシオンは安心したように笑った。そして、映像に向かって今度はティアシオンが言った。


「オレも、過去は乗り越えた。体の大きさを調整できる薬を作る街に生まれながら、薬を作る才能が低かったオレ。親友だったトゥルーを信じてやれなかったオレ。どちらも、今のオレという人物を作り上げるのに必要だった過去だ。だから反省はしても、後悔はしない。フィアや、オリジン・アリスに言われて自信がついた。オレはオレのモノづくりをする。それでいいんだって」


 すると、映像に少しずつひびが入っていく。ことあるごとに現れた心の闇の課題。それを2人が乗り越えた瞬間だった。映像を映し出していた鏡のようなものがひびで映像を映せなくなり、粉々に砕け散る。砕け散った瞬間2人を淡い光が包み込んだ。


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