表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/249

美貌を誇る勇者・1

 ヴァーゴ王国に仕える勇者、フルーラ・ヒソナタ。誰もが彼女の名を聞いて最初に思い浮かぶのは『容姿』と言う程度には彼女の美貌は広まっていた。

 20歳という寿命約60年の人類の中で三分の一を過ぎた彼女であるがその美貌は衰えるどころか増しておりヴァーゴ王国の王族を見な惚れこませたという噂まで上がる程だった。

 そんな彼女であるが勇者と呼ばれるだけの事はあり実力は高く、特に彼女の特異な水魔法を用いた戦闘は美しくも苛烈と言わせるほどだった。15歳の時に勇者となり7大国と呼ばれる国々が存在する東方諸国と中小国家が争いあう西方諸国の間にあるヴァーゴ王国を5年に渡り守ってきていた。特に2年前に起きたエルフのみの単一民族国家であるアルヴブルグ王国との戦争ではエルフが得意とする森林で、しかもたった一人でアルヴブルグの精鋭1000人を返り討ちにしていた。

 ヴァーゴ王国に取って彼女は国を支える実力を持ち、同性すら虜にする美貌を持つ”国の宝”と呼ぶにふさわしい存在だった。


















 それ故に、ヴァーゴ王国の兵士は目の前で起きている事が信じられなかった。


「あ”、あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っっ!!!!????」


 兵士たちの前で蹲る女性、フルーラは自身の顔を必死に抑えながら絶叫を上げる。彼女の手の隙間より肉の焼ける音と共に煙が出ておりそのシーンだけを見た者でも彼女の身に何が起きているのかが分かるだろう。それほどの分かりやすくも悲惨な光景だった。


「う、うぅっ……!」

「あれれ~?もう終わり~?」


 顔を地面に押し付けながら顔を抑える彼女の前より声がした。何処か幼くも聞く者の心を苛立たせるような気分にさせる声は足音と共に少しづつフルーラに近づいていく。


「勇者っていうから期待したんだけどな~。意外と弱いんだね?それとも~?僕が強いだけかな?」


 その声の主、羽根つきのシルクハットを被り何処か高貴さを思わせる衣装に身を包んだ少年はその顔を大きく歪ませながらフルーラに問いかける。煙もおさまり痛みが引き始めたフルーラは未だ顔を抑えつつも指の間から少年を睨みつける。


「あははは!とっても面白い顔(・・・・)になったね!僕はこっちの顔の方が好きだよ」

「……っ!」


 フルーラは声にならない絶叫を上げながら右手を顔から離し水魔法を発動する。しかし、手に集まった水は少年が手を叩くと霧散し地面に落下した。


「さっきまでの戦闘で学ばなかったの?僕に魔法は効かないよ。それじゃ、お仕置きだね」

「ひっ!?」


 少年は楽し気に笑いながらフルーラに近づく。それに恐怖するフルーラは後ろへと下がるが体はほとんど動かずに呆気なく少年に追いつかれ仰向けで上半身を起こした状態のフルーラの上に立つ。そして、恐怖で涙を流すフルーラの顔に右手を近づけるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ