美貌を誇る勇者・2
「あああぁぁぁぁぁぁああ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っっ!!!!!!」
少年に触れられた顔から再び煙が出始める。それと同時にフルーラの悲鳴は絶叫へと変わり少年から離れようともがき始めた。後方に下がり、少年を蹴り、腕を掴んで引きはがそうとする。しかし、それらは尽く何かに弾かれるようにして失敗に終わる。
「君って学ばない人なんだね~?僕にそんな事しても意味ないのにさ」
「ああ、ああああぁぁぁぁぁ……」
「っと、そろそろ限界かな」
反応が薄くなって来た事を確認した少年は腕を離す。フルーラは既に体を起こす力を失っていた様で地面に仰向けに倒れる。彼女の顔からは黄色い液体が流れ地面に落ち、顔は皮膚が無くなり肉が浮き彫りとなっていた。小刻みに体を震わせながら気絶しているフルーラを見て少年は笑顔を向ける。
「うん!良い感じになったね!」
少年はそう言うと踵を返しヴァーゴ王国とは反対方向に向かって歩き出した。自分たちの国の勇者であるフルーラがただ少年に一方的に嬲っているのを見ている事しか出来なかった。
というのも彼らヴァーゴ王国軍は三万の兵がいたがここにいる百人を除き全滅していた。それもこの少年を含む二人に。そして生き残った百人の兵士たちも皆ボロボロで立ち上がる力さえ残っていなかったのだ。その結果、最後まで戦ったフルーラが少年に嬲られる事となったのである。
「畜生……!」
両足を失った一人の兵士がそう呟く。その言葉はこの場に誰もが思った事だった。何も出来ずに壊滅しフルーラという国の宝がいい様にやられてしまった。そんな彼女の姿を見ている事しか出来ない自身に。
結局、数名の兵士が何とか歩ける程度に回復するまでフルーラはそのまま放置されてしまった。ヴァーゴ王国の衛星国のロココ候国に入ったところで治療が施されたがフルーラの美貌は失われてしまった。
この事実はヴァーゴ王国の民を悲しみと怒りで包み込み元凶である西方魔族連合に対する懲罰戦争を望むようになっていくのだった。
「あははは!三万の兵を失い切り札の勇者が手も足も出なかったのに僕たちに勝てる気でいるの?本当におめでたい連中だね」
「いいよ。君たちの望み通り僕たちが相手してあげるよ。今度は二人じゃなくて全力でね」
「先手は君たちに譲るから何時でもかかってきなよ。その時が君たちの最後だからさ」




