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ベアード砦攻防戦4

「出る」

「え?」

「出る」

「いや」

「出る」

「……」


 ナタリー・ダークネスの突然の言葉に俺は思わず固まる。いや、確かに倒してくれるのはありがいたけどまさかここまで乗り気なんてな。正直驚いたよ。


「そ、それじゃぁ。任せるよ」

「ん、任せて」


 そう言うとナタリー・ダークネスは壁を飛び降りた。……ここ、それなりの高さがあるんだけどなぁ。下を見れば何事も無いように着地する姿が見えた。ナタリー・ダークネスは軽くストレッチをすると散歩するかの如き軽さでオーガに向けて歩く。


「……あ?なんだ小娘。俺とやり合おうってのか?」


 オーガも気づいたようで先ほどの様な豪快さは消えただ警戒せずにナタリー・ダークネスを見ている。流石に先ほどの魔法を使った相手には警戒は怠らないか。


「ん、死んで」

「……ふん、死ぬのはお前の方だ!おらぁっ!」


 オーガは右腕によるパンチを放つ。豪!という空気を切り裂く音が特徴的な当たればヤバい一撃だ。


「ん、私は死なない」


 そんな一撃をナタリー・ダークネスは特に怖気づく様子もなくひらりと躱す。避けられたオーガは続く第二撃を左腕から放つ。右腕となんら変わらない強大なパンチだ。しかしナタリー・ダークネスはこれすらも避ける。


「ちっ!ひらひらと!」

「……そんなんじゃ当たらない」


 ナタリー・ダークネスの言う通りオーガの攻撃はかすりもしない。まるで宙を漂う綿毛を力任せに掴もうとしているようだ。とは言えナタリー・ダークネスにも体力の限界はあるしオーガが後方のゴブリンと一緒に攻めればどうなるかは分からない。そろそろ攻撃に転じないとただジリ貧になるだけだな。

 ナタリー・ダークネスもそう言う思惑だったのか分からないが攻撃に転じる。


「ん!」

「くっ!」


 魔力を腕に纏いナタリー・ダークネスは突きを放つ。一撃でも掠ればそこから激痛が走る。絶対にあたってはいけない攻撃だ。しかし、流石はオーガというべきなのか体格からは想像もできない俊敏な動きで躱し更にはカウンターすら行っている。尤も、そのカウンターで繰り出された右腕に手刀で傷をつける事で激痛を与えているが。


「……成程。これが貴様の攻撃か」

「……効いてない?我慢しているだけ?」

「確かに痛みはあるが我らオーガに与えるには力不足だ」

「……なら、もっと、込める。だけ」


 ナタリー・ダークネスはそう言うと両手の魔力が濃くなる。恐らく濃度を高めたのだろうな。それと同時に先ほどよりも俊敏な動きでオーガに接近する。


「なっ!?」

「別に、本気。出せば、敵。じゃない」


 オーガの脇をすり抜け後方に立つナタリー・ダークネス。一方のオーガはすり抜けた脇を中心に幾つもの傷が出来ている。


「ぐっ!ごぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

「これで止め」


 そう言ってナタリー・ダークネスは痛みで呻くオーガの後ろから体を貫いた。


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