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炎が、熱かった。
目の前で燃え盛る炎。
寄ると、熱かった。
堪らなかった。
声が、耳に付いた。
絶叫。
嫌だった。
聞きたくなかった。
なのに、飛び込んできた。
耳の奥でこだまし、炎の熱さと共に心にこびりついた。
癒えない傷。
消去されない記憶。
自分の心を蝕んでいく。
忘れ去れないのなら乗り越えればいい。
そんな思いを二度としたくないなら。
乗り越えてしまえばいい。
それが、結論。
劣等感なんか、忘れてしまえば。
それ以上のものを、得てしまえば。
「……乗り越えればいい……」
新たな力を、手中に納めてしまえば。