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エピローグ 生還

≪ 登場人物 ≫

◇エイジ・ミツギ 16歳 男性

OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属


◇ユイン・ユノス  18歳 男性

OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属


◇ブラントリー・フォクスター 25歳 男性

OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属

エイジとユインの部隊長

 アルトリウスが進んでいる。

 どこへ。

 何のために。


「……戻るんだ」

 自分の声が聞こえた。

 だから、たぶん、基地に帰っているんだ。

 そう思った。


 Cellの中が暗い。

 モニターが灯っている。警告表示も出ている。赤い文字が何度も走り、音声アラートが鳴っている。

 読もうとすると、文字が炎に変わる。

 白煙。

 黒い装甲。

 閉まるハッチ。

 小さな手。

 俺を突き飛ばした、あの手。

 あの子の瞳。

 俺を見ていた。


 驚いたように。

 何かに気づいたように。

 それなのに、何もできなかった。


「……必ず...帰るんだ」

 アルトリウスに言ったのか。

 自分に言ったのか。

 それとも、もう炎の中に消えたあの子に言ったのか。

 分からなかった。


『入口開放シーケンスに移行』

 基地無線が、遠く聞こえる。

 水の底から聞こえる声みたいだった。


『アルトリウス、速度を維持、進入方位、そのまま』

 そうだ。

 呼吸を整えろ。

 なのに、胸の奥に熱が詰まっている。

 あの炎を吸い込んでしまったみたいに、肺が重い。


 女の子がいたんだ。

 バン、という音が、まだ耳の奥に残っている。


 あそこには、人がいた。

 あの子がいた。

 俺と目が合った。

 俺の腕を掴んだ。

 俺を突き飛ばした。

 そして、ハッチが閉まった。


 Cellが大きく揺れた。

 衝撃。

 機体が何かに接触したのだと、遅れて理解する。


 グリップを握りしめる。

 操縦している感覚は薄い。


 遠くでカウントダウンが聞こえる。


 アルトリウスが帰ろうとしている。

 自分ではなく、機体の方が、帰る場所を覚えているみたいだった。


 アルトリウスの脚部が滑る。

 姿勢制御が悲鳴を上げる。

 警告音が重なる。


『緊急着床。脚部保持不可能』


 もう一度、衝撃。

 今度は大きい。


 金属が擦れる音。

 地面を削る音。

 遠くで誰かが叫ぶ声。


 アルトリウスが停止した。

 揺れが消えたから、そう思った。

 まだグリップを握っていた。

 指が離れない。

 力を入れているつもりはないのに、離れない。


『パイロット反応低下』

『バイタル異常』

『強制開放要求』

 白い光が、モニターの端に滲む。


 Cellの外で、何かが動いている。


 叩く音。

 こじ開ける音。

 圧力が抜ける音がした。

 Cellのハッチが開く。

 外の光が刺さった。


 まぶしい。

 熱い。

 いや、熱くはない。

 光だ。

 炎じゃない。


 そう分かっているのに、目の前が橙色に染まる。

 また炎が見える。

 黒い機体が熔けていく。

 あの子のいた場所が崩れていく。


 手を伸ばしたのかもしれない。

 でも、届かなかった。


 腕を、誰かが掴んだ。

 強い力だった。

 身体がCellから引き剥がされる。

 肩の固定具が外される。

 腰のロックが解除される。

 脚が動かない。

 自分の身体が、ひどく重い。

 誰かに支えられている。


 白い天井。

 赤い警告灯。

 走る足音。

 救護クルーの声。

 全部がぼやけていた。


『息をしろ』

 ユインの声がした。

 近い。

 今度は、確かに近い。

『今は基地だ。もう戻ってきてる』

 そうか、戻ってきた。

 戻ってきた。


 でも。

 あの子は。

 あの子は、どこに戻ったんんだ。


『何があった』

 隊長の声も聞こえる。

 いつもの荒い声。

 隊長の声がここに引き戻そうとしている。

 

 分かっている。

 分かっているのに、自分がいるのは、あの残骸の前だ。


 白煙が上がっている。

 炎が立っている。

 ハッチが閉まる。

 中に、あの子がいる。


 言わなきゃ。

 誰かに言わなきゃ。


 敵じゃなくて。

 標的じゃなくて。

 撃墜記録でもなくて。

 そこに、女の子がいた事を。


「女の子が……」

 声が出た。

 自分の声とは思えなかった。

 ひどく遠くて、掠れていた。


「いたんだ……」

 誰かが息を呑んだ気配がした。


「でも……」

 喉が震える。

「どうして……」


 どうして、あんなところに。

 どうして、機体の中に。

 どうして、突き飛ばした。

 どうして、戻った。

 どうして、ハッチを閉めた。


 どうして、あの子を助けられなかった。


 視界が暗くなっていく。

 白い天井が遠ざかる。

 警告灯の赤が滲む。


 あの子が見ている。

 炎の中で、少女の瞳だけが消えない。


 あの子を置いて。

 俺は帰ってきた。


 エイジ・ミツギは、搬送中の担架の上で意識を失った。

≪ あとがき ≫

これにて第1章、終わりです。

拙いながら、小説を書く大変さが身に染みています。

それでも、読んでいただける方がいる事が、何より励みになります。

本当にありがとうございます。


読み返すと所々、矛盾してたり助長な部分があったりと、粗が目立ちますので、折を見て修正します。


そして書きながら、この”小説家になろう”のサイトの事、ライトノベルと呼ばれているジャンルについてイロイロ調べたのですが、そもそもSFロボット作品はライトノベルではほとんど扱われないのですね。

小説で書くにも、分かりにくいからなのでしょう。


辺りを見渡すと、ここだけタイトル古臭いし。

異世界転生もない、俺TUEEEもない、追放もされない、ご当地はエクアドルや月だし。

あ、でも強いおっさんはこれから出てきます。

そんな「超鋼機士レヴェリオン」ですが、今後も月水金を目標に頑張って更新します。


次回更新から、第2章となります。

引き続き、読んでいただけると幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

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