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オヤジ2  作者: 矢島大佐
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第1章4

 半年前のゾンビ騒動で、九州や沖縄に避難した関西や四国の奴等は、大陸からのゾンビ難民も、際限なく受入れちまったモンで、終いにゃ領土を乗っ取られて、向こうの傀儡政権になっちまった。

 今じゃ「日本人民国」って名前で、一端(いっぱし)の独立国を気取ってやがるが、九州、沖縄、台湾と周りの小島だけなんだから、幾らも領土は有りゃしねぇ。

 そんなところに、C国から逃げてきた奴等も合わせて、一億近い人間が住んでるんだから、どんな暮らしだか判るだろう。

 普通なら、こんなバカなことは、許されるはずは無ぇんだが、アメリカやヨーロッパ、それに北半球のほとんどの国が、ごっそりゾンビ症候群にやられちまったから、国連だって死んだも同然よ。

 オレ達がどんなに批難したって、誰も取り合っちゃくれねぇ。

 そうこうするうち、南の奴等はC国から持ち出した兵器で武装を始めやがったから、こっちも簡単には手が出せねぇ。

 一回だけ、向こうの船と、こっちの護衛艦がミサイルの撃ち合いをしたらしいが、報道規制の壁の向こうで、どうなったんだか判らねぇ。

 風の噂じゃ、相討ちで、すごすご引き上げて来たって話だぜ。

 横田の基地に置きっぱなしの(ぶつ)には、「南の国」の奴等も、ちっとは興味があるらしい。

 「そいつが何か、今は教えられねぇ」って言う、「黒づくめ野郎」だが、今回の作戦は、奴が仕切るらしいのよ。

 冷たい目をしたその野郎は、そこらに座ってる奴の名前を、一人一人呼び上げて、大雑把な役割を説明し始めた。

 殆どの野郎は護衛班、オレは車両運転役で、中島と城戸崎ってノッポ野郎がオレの助手に付くらしい。

 それからオレ達は、伊東に案内されて、射撃訓練場の方に移動したのよ。

 サルベージの報酬目当てで集まってきた奴らは、自衛隊崩れが多いらしいが、オレみてぇな素人もいるから、武器の扱いを一通り教えてくれるらしいぜ。

 オレ達に与えられた武器は、アメちゃんが使ってるM16って奴だった。

 中島の野郎は、「セレクターがスリーポイントバーストだからA2だな」って、ガッカリしながら言ってたから、どうやらフルオート射撃は出来ねぇみてぇだ。

 何人かの奴は、説明もそこそこに射撃訓練を開始したけど、職業軍人じゃねぇオレは、どうして良いんだか判らねぇ。

 ZDF(ゾンビ防衛部隊)の若い野郎からチャージングハンドルやら、ボルトフォワード何たらって言う、レバーの説明を受けたんだが、こういうのは専門職に任せた方が良いみてぇだ。

 オレは、説明してくれてるに兄ちゃんに向かって「散弾銃をよこせ」って言ったのよ。

 ダチの散弾銃みてぇな、上下二連かと思ったら、出てきたのはアメリカの警察映画に出てくるポンプアクションの散弾銃だぜ。

 レミントン870って言うらしいが、タマの詰め方と安全装置さえ判れば、こいつなら何とかなるだろう。

 軍や警察用の散弾銃だから、チューブマガジンの装弾数は八発だ。ゾンビ相手にゃ心強い限りだぜ。

 散弾銃の銃床を肩づけすると、試しに何発かぶっ離してから、ショルダーベルトの寸法を調整した。

 …自衛隊崩れの一人は、マシンガンを持たされてフルオートで撃ってたが、中島の奴は「ミニミが有るんなら、オレに使わせろ」って毒づいてる。

 その向こうじゃ、単発式の中折れ銃の説明を受けてる奴も居たが、武器を知らねぇオレにノッポ野郎が「あれは40ミリのグレネードランチャーだぜ」って教えてくれた。

 拳銃の方は、みんな同じのベレッタ九ミリってやつを渡された。オレなんかが撃ったって、当たりゃしねぇから、そいつは飾りみてぇなモンよ。

 ついでに手榴弾の説明も受けたんだが、パイナップルみてぇな外見を見たとき武藤の旦那を思い出した。

 生きてりゃ、いい飲み友達になれたんだろうがな…。

 各自に渡された、バックパックの装備品を確認しながら、無線の使い方を習って、一通りの説明が終わった頃にゃ、日が暮れちまって真っ暗よ。

 最後にZDFの指導教官が「何か質問は有るか」って言いやがったから、オレは「日本刀は無ぇのか?」って聞いたよの。

 奴等、顔を見合わせてたが、「どうしても必要なら用意する」って言ったから、きっちり頼んでおいたぜ。

 それからオレ達は、案内された食堂で飯を食ったあと、支給された迷彩服に着替えたのよ。ゾンビ化した左腕を見られねぇように着替えるのは苦労したっけ…。

 ついでに、学者先生にくっ付けて貰った小指の様子を確認したんだが、ホントに付いちまったみてぇで、意識を集中すると動きやがる。

 …呆れ返って、開いた口が塞がらなかったぜ。

 呼び出しを受けて、重てぇ装備を担ぎながら外に出ると、FDZのトラックが待ってやがった。


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