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お待たせしました…、まだ本調子ではありませんが頑張ります。
スランプ気味ですが、外に出られないこの状況を利用するしかないと思い切りました!
あの日、あの時、あの場所であなたと彼女は初めて会いましたね。
その日が苦痛の始まりで、今でも少し胸がチクリと痛みを訴えるの。
「英雄祭、ですか」
「そうだ、次の春には王家と三大公爵家が主役の祭りが開催されるだろう?今日はその事で話があってな」
英雄祭。この国を救った英雄たちを称える伝統ある祭りである。彼らが初めて出会った春に開催され、その時の年齢である十歳から王家と公爵家の子供たちの参加が暗黙の了解とされている、なかなか凝った祝祭だ。
アベリィたちの年齢は今年十歳。つまり次の春が初めての大舞台であり、もちろん不参加というのはありえない。
(そういえば、英雄祭で毎回彼女に会うのよね)
本格的にシリス家の娘となった彼女と会うのは学園に入ってからだが、その前にリアンとハンナは一度会っている。
王子たちの会話から逃げるように、アベリィは微かに目を伏せる。
今でも思い出せる。一度目の人生、彼が彼女に出会ったときの青の煌めき。
あの時はまだ、アベリィは恋をしていた。だからわかってしまった。
リアンがハンナに恋をしていることに。
見たくなかった、知りたくなかった。でも目の前にある事実はアベリィを痛めつけるだけで。
王宮の一流の料理人が作ったクッキーが、皿に添えられている。アベリィはそっと一枚手に取り、少し口に含めた。
サクリとした食感、プレーンとチョコの甘い味のするはずのそれは彼女のなかで何も感じなくて。
そう、その日から味がわからなくなった。




