第10話 病んでも好き
乙女崎デレラ。恋に落ちた。
少女マンガばかり夢見ていた女の娘が、現実の男の子を好きになった。
雪堂メグミ。眼鏡の美男子。
本当に優しい心を持つ人。
二人は、出会った瞬間から、両想いだった。
手を取り合い、見つめ合った。
“ヤンデレ”
なんだと思う。
好きになった人にこだわりすぎてしまう。
一方的な好意を持っていたら、エスカレートした感情。
でも、双方に好意を持っていた。
幸せになる女の娘。
幸せになる男の子。
恋ってヤツは、気まぐれだ
上手く行く二人に祝福を。
第10話 病んでも好き
乙女市立デキアイ高等学校。
「今日は、僕が作ったお弁当を食べて欲しいです」
メグミくんは、乙女崎大豪邸の台所を借りて、お弁当を二人分、用意して来ていた。
「うれしいですの」
「コロッケ好きなんですよね。手作りですけど、上手く作れているか心配です」
コロッケは、二人を出会わせてくれた魔法の食べ物。
肉屋のコロッケを買いに行く途中で、二人は出会った。
不思議だ。
出会ってから、すぐに伝説のヤンデレになったばかり。
もう、二人は、見つめ合っている。
「コロッケをいただきますの」
サクッ。
コロッケのサクサク感が、あった。
美味しい。
甘いジャガイモコロッケだ。
「美味しいですの。メグミくん」
「そうですか?うれしいです」
二人で、お弁当を食べる。
幸せな時間。
乙女崎大豪邸。
自家用車で帰宅した二人。
メグミくんの部屋となった客室には、雪堂兄弟がそろっていた。
「どうしたんですか?」
「デートしようよ」
「ゲームやろうや」
「ダンスを踊らないかい」
サクくん、ムカヒくん、ダンくん。
デレラに詰め寄った。
メグミくんとは、くっつけたまま。
兄弟たちは、デレラへの気持ちが我慢できなくなったらしい。さわってきたり、抱きついてくる。
「めっちゃ好きやね〜ん」
男。ムカヒくん。
「大好きだよ〜」
男。サクくん。
「好きさ」
男。ダンくん。
男。男。男。デレラを取り巻く兄弟たち。
「デレラちゃんは、僕のものです」
断固として、兄弟を遠ざける。
メグミくんは、デレラを独り占めする。
「メグミくんは、ワタクシのどこが好きなんですの」
デレラは、考える。
自分に、メグミくんを好きにさせる魅力などあるのか。
メグミくんは、優しくて、カッコいい美男子。
夢も童謡の歌い手と、しっかりしている。
デレラは、家がお金持ちなだけで、特技も自慢するところも何もない。
夢も特にない。
少女マンガが好きなことくらい。
どうして、好きになってもらえるのだろう。
「キミの純粋な、素直なところが好きです」
「…」
「僕を、伝説のヤンデレになるほど、好きになってくれたのは、デレラちゃんだけです」
カッコいい、メグミくん。
自分こそ、魅力がないと思っている。
ヤンデレにさせる程の魅力があるだろうか。
デレフォンというエスパーに、つきまとわれたのも、理由がわからないという。
「メグミくんは、カッコいいんですの」
つきまとわれて当然。
幼なじみなら、絶対に好きになる。
「ヤンデレと呼ばれても、好きですの」
もっと、もっと好き。
「僕も、ヤンデレくらい好きです」
「ワタクシも、病んでも好きですの」
デレラとメグミくん。
見つめ合って、手を取り合って、感じる。
好き同士って、良いな。
乙女市。
恋する乙女の住む場所。恋が実るのは努力次第。
ヤンデレ乙女と優しい美男子が出会った。
4人兄弟の次男だった男の子は、兄弟全員でヤンデレ乙女を好きになった。
出会った瞬間、恋に落ちた。幸せなヤンデレラのお話。




