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せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊7/1発売:商業ノベル&漫画化進行中


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終わり

 ぎゅっと抱きしめてもらった後、私はちゃんと「波野さんのこと大好きです! 一生推します!」と伝えることができた。


 言葉だけではなく、抱きしめられたことで、推しだった波野さんが私を好きだと実感できたからだ。


 それでも夢みたいなので、思わず「雑草みたいな私が、神である波野さんとお付き合いしていいのでしょうか?」と、誰に聞いているの!?とつっこみたくなる独り言を口にすると……。


「白石さんが雑草!? しかも俺が神!? まさか! 俺、煩悩まみれで、神とは程遠いですよ。今も白石さんにキスしたくて、たまらない状態ですから!」


 なんて言ってくれるのだ!


「どうして私なんかを好きに……」

「うん、その天然なところですかね。ずっと長師海岸で告白して以降、いかに白石さんが好きか語っていましたが……。あれ全部、白石さんのことですからね? とはいえビックリし過ぎて、キャパオーバーだったのかな、と思いますが」

「す、すみません! まさにその通りです!」


 素直に謝ると波野さんは「そういうところも可愛くてたまらないです」と言う。さらに……。


「白石さんをなぜ好きか――いくらでも語れます。それに決定打は、ちゃんと白石さんが俺を好きだと言ってくれてから、伝えるつもりでした」


 届いた料理を食べながら、波野さんは優しく語り続ける。


「俺が移住した理由を話したら、白石さん、『波野さんは波野さんの人生を生きればいいんですよ!』って言ってくれましたよね。俺の選択を受け止めた上で、自分の考えを押し付けるわけでもなく、ただ寄り添ってくれた。尊敬していると言った上で、俺らしく生きていけばいいって言ってくれたこと……あの後ホテルの部屋で、白石さんの言葉を思い出して胸が熱くなって……。強く再認識しました。やっぱり白石さんが好きだと。俺だけを見て欲しいって」


 そんな熱い想いを吐露されたら、私は動揺しまくり。スツールから落ちそうになるわ、グラスを倒しそうになるわで大変! だが波野さんは引き締まった腕で私を支え、倒れそうになるグラスを押さえてくれた。


「俺のこと推しだと、うっかり口にした時も、かなり動揺しましたよね。そうやってあわあわする白石さんが、愛しくてたまらないです。すごく可愛くて、抱きしめたい衝動を抑えるのが大変過ぎます! しかも全部不意打ちだから……。何度もやられました。やっぱり沼です、白石さんは! 一度ハマったら底なし。そして俺、これ以上語ったら、今晩白石さんを友坂家へ帰せなくなります……!」


 そう言って再び私を抱きしめてくれて……。


 ◇


 東京では苦い恋の終わりを迎えた。

 その苦さを忘れたいと、心の傷を癒したいと思い、中島へと向かったのだ。


(でもまさかその中島で、こんな素敵な恋と出会えるなんて!)


 中島へ至るまでの瀬戸内の一人旅。

 波野さんと二人で巡った瀬戸内の旅。


 一人でも二人でも、瀬戸内の海と穏やかな気候は、癒しを求める私を優しく迎えてくれたと思う。


 偶然見かけた一枚の写真。

 そこから始まる私の新しい人生。


 きっかけなんて、どこに転がっているかわからない。


 編集部から頼まれている新しい恋愛コラム。

 その第一回のテーマは『恋と旅』になりそうだ。


(コラムに添える写真は……瀬戸内の旅では、沢山の写真を撮った。それを使おう!)


 瀬戸内旅から中島に戻った翌日。

 私は友坂家の客間でノートパソコンを起動し、編集部に提出するコラムのテーマを作成していた。


「あずさちゃん、波野くんが来たわよ!」


 友坂夫人の声に、私はパソコンをパタンと閉じる。


 波野さんと私が旅から戻ると、友坂夫妻は一時的にゾーンから戻って来てくれた。そして今日はみんなでお昼を食べることになっている。そこでお土産を渡し、旅の思い出を語り、そして波野さんと付き合うことになったと報告するのだ!


 部屋を出る前に、開けていた窓を閉じる。


 その窓からは、向かいの家と家の間から、キラキラと輝く瀬戸内の碧い海が見えていた。



最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

傷ついたあずさが波野さんと出会い、笑顔を取り戻すまでの軌跡を最後まで見守ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。

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