45話 第二王子の願い
誤字報告ありがとうございます。
何日も前にいただいていたのに、やっと気付きまして・・・訂正いたしました。
これから気を付けて誤字報告確認いたします!
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
「アシュリー、魔術大会のことごめんなさいね。無理矢理出場させたみたいになったって聞いたわ」
「いえ、元々は私の我がままで2学年も飛ばして編入をさせていただきましたので、これは私が責任をもって解決する案件なのです」
「そうかしら、学園ももっと柔軟になるべきだわ。アシュリーのおかげで、これから優秀な生徒に便宜を測ることができる様になると思うの。魔術大会は皆楽しみしてるわ!」
ここでも期待を背負うアシュリーであった。だが、期待に応えてみせよう!
「お任せください」
「頼もしいわね!」
「母上。アシュリーは本当は剣術大会に出場したかったのです。ただ、他の生徒の為に我慢したんだね?」
「ええ、まあ・・・」
「まあ、そうだったの?他の生徒の為って・・・ああ、アシュリーが優勝するのが分かってるからかしら」
「そういう事です」
「確かにそうね・・・将来有望な少年の夢を壊すのも可哀想ね」
夢を壊す・・・そこまで?
無理矢理出なくて良かった!
「アシュリーがこんなに可愛くなければ、まだ救いはあるのかも知れないけどねぇ・・・こんな可愛い子に打ちのめされたら立ち直れないわね・・・」
・・・・・・。
ちびっ子は辛い!
「ああっ!アシュリー!小さい事じゃないのよ?貴方のその容姿の美しさの事よ?」
「姉上。アシュリーは、自分の容姿の美しさに自覚はないのです」
「まあ!そんなに可愛いのに!?」
多分、褒められているのだろう。こういう時はどう反応したら良いのか・・・ロバート先生をちらっと見ると、今にも吹き出しそうである!
この…っ
何とかフォローしてくれ!
「皆さん、アシュリーが困ってますよ。アシュリーは容姿に興味が無いので、褒められてどう反応していいか分からないのです」
「・・・興味がない?」
「・・・もったいない」
「・・・そんな美しく生まれておいて」
いや、そう言われてもだな、
人間の美醜など、面の皮一枚のことだ。
剥がせばみんな骸骨だ・・・なんて言えないな。
一応気を付けていることはあるのだ。
クラリッサがうるさいから。
「あの、美容?に関して一応それなりに気を付けている事はあるのです、よ?」
「あら、例えば何を?」
「えーと、マメは勝手に無理矢理潰さない様にするとか」
「え?マメ?」
ブフォッ!
ブフォッ!!
何か、第三と第五の騎士団長2人が吹き出したぞ?
他の人も肩が震えてる?
変な事を言っただろうか。
もしかして、マメは無理矢理潰すものだったのか?
「えーと、他には?」
ナタリア様も声が震えてる?
「ヘクター…私の従者と体術の訓練をする時は、必ず防具を着けるとか?
あの、青あざを作るとクラリッサに怒られますので」
ブフッ…
ぶふ?
第三騎士団長はまた吹き出した。
「アシュリーはヘクターとも訓練しているのか?」
「はい。家に帰って刺繍の訓練の無い日は付き合ってくれます。時々、刺繍を頑張った日も模擬戦してくれます!」
「そうか・・・ヘクターはアシュリーと模擬戦が出来るほど強いのか?」
「そうですね…長剣は全くですが、短剣と体術はヘクターの方が一枚上手かと思われます。
しかし、ヘクターは体力がありませんので私にはまだ勝てた事がありません」
「そ、そうか・・・」
「せめてジェイムズお兄様くらいには速く走れる様にと助言しましたから、最近は走る訓練もしています。今は少し体力も上がってきていると思います」
「ジェイムズは、うちで一番速いんだがな・・・」
第二騎士団長が何か言っている。
「アシュリーは訓練の事になるとたくさん喋ってくれるのね」
「はぁ・・・申し訳ありません」
「いいのよ?好きな事は皆それぞれだから。今日は貴方の事が知りたいから、たくさん話してくれるなら訓練のお話も聞きたいわ!」
そうなのか。
でも、まだ美容の話だったよな?
他にクラリッサに怒られることあったな・・・。
「訓練の後に身を清めないとクラリッサに怒られます。砂埃に塗れたままでいると肌が荒れるらしくて。髪も傷むとか・・・まあ、私は座っているだけなので、クラリッサが全て世話してくれます」
「まあ!その美しい髪と肌は、クラリッサの努力の賜物なのね」
「はい!そうです!クラリッサはすごいのです!鬼気迫る勢いです」
「そ、そうなの・・・」
「あ、でも・・・この髪は一度光魔法の影響を受けて元気になってから、以前より輝く様になりました!」
「「「なんですって!?」」」
え?
皆さん目が怖い!
「ははっ!あれか・・・確かにすごいツヤツヤだったな」
「ロバート!どういうこと?」
マグダレーン様まで、鬼気迫る・・・。
「アシュリーが酷い頭痛を自分で治したら、髪や肌まで元気になっただけだ。
アシュリー。皆にも光魔法を披露して差し上げたらどうだ?以前ならさせられないが、今のお前なら大丈夫だろう」
「良いのですか?・・・皆さん試されますか?」
「「「ええ!是非!!」」」
女性陣は食い付きが良いな。
うーん、一人ずつ光魔法かけるの面倒だな。
一度に出来ないかな?
イメージは出来そうだ。
魔力は少し多めで、一人一人には加減。
血行を良くし、炎症のあるところは治し、元気にさせる。髪や肌が綺麗になりますように。
手に魔力を集中。
今日は頭痛じゃないから、オーソドックスにいこう。
『元気になあれ』
私の手から金色の光のオーラが出始め、周囲の人たちを包み込む。
あれ?全身包んじゃった。
そういえば、頭限定にしてなかったか!
まあ、いいか。
しばらくすると光は収まり、ぼーっとしていた人達が我に返る。
「何!?気持ちいい!」
「とても気持ちが良かったわ!」
確かに光魔法に包まれると気持ちいいよな。
「クラウディア様!お肌も髪もツヤツヤです!」
「マグダレーン!貴方もよ!」
「まあ!手までツヤツヤですわ!」
「身体も何か元気になったみたいよ!」
「お母様!私の髪もキラキラです!」
「母上・・・・・・」
「ギルフォー・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
何故か皆無言になったんだが、どうしたのだろうか。ロバート先生を見ると、また笑ってる?
おかしいな。皆、ちゃんとツヤツヤになってると思うんだが。
「あーもう駄目だ!あはははははっ!」
大笑いである。
ロバート先生壊れた。
「アシュリー、何故皆一緒に?」
「一人ずつですと時間もかかりますし、魔力の加減も違ったりするといけないと思って・・・一度に皆さん出来ればいいかな…と。駄目でしたか?」
「いや、全然駄目じゃないよ。大成功だ!良くやった!」
褒められた♪
でも何で笑ってるのだ?
「えーと、アシュリー様?私達までツヤツヤにしていただきありがとうございます・・・」
第二騎士団長があまり嬉しそうではない雰囲気である。
「ロバート!いつまで笑ってるんだよ!全く!笑うな!」
ああ、そうか!騎士団長達までツヤツヤにする必要はなかったのか。そりゃすまん!
確かに・・・ダドリー伯爵の所の人は第四騎士団長だったかな?厳ついオヤジがツヤツヤしてるのが笑えるというのは事実である。
さすがに、私まで笑わないけどな。
「アシュリー様!ありがとうございます!
素晴らしい魔法です!」
うんうん、ちびっ子達のキラキラした眼は魔法の所為だけではないだろう。尊敬の眼差しというものだろうか、何だかくすぐったい。
「アシュリー様は魔法も、剣術も、体術も優れているのですね!羨ましいです。僕ももっと強かったら・・・。
アシュリー様のそのお力でずっと、ずっと・・・」
第二王子の様子が変だ。
どうしたのだろう。
「オースティン?どうしたの?」
うーん、側妃も心配しているから、理由は分からんという事だ。
「ずっと、お兄様をまもってください!」
「「「・・・!!」」」
「オースティン!何を言ってるの?」
側妃が慌てて止めようとしているが、私は掌でそれを制す。話を聞こうじゃないか。
「私なら護れると?」
「はい!お兄様が何度も暗殺されそうになったのを、アシュリー様が護ってくださったのでしょう?
これからもずっと…学園でだけでもずっとお兄様を・・・」
泣き出したよ・・・
泣くちびっ子には勝てないのだ!
「ええ、私がお護りしてみせましょう!」
「ありがとう!」
「「「アシュリー!?」」」
驚く人達には、大きく頷く。
「・・・お兄様が狙われるのは僕の所為なのです」
「違うわ!オースティン!」
「違いません!お兄様を狙うのは、きっと僕を王太子にする為に違いありません。
賢いお兄様ではなく、僕をかいかいにするつもりなのかも知れません」
かいかいではなく傀儡だな・・・。
クッ…可愛い!
「でも、もしかしたら・・・」
「もしかしたら?」
「お爺様が僕の為に・・・お母様がそう仰っていました」
「オースティン!何という事を!」
「お母様が仰ったのではないですか!」
これは・・・どうしたものか。
「お爺様はとても優しい人なんです!お母様や僕にはとても優しいお爺様なんです!でもお兄様を・・・グスッグスっ・・・」
あーー。これは、まずは純真なちびっ子の心を護ってやらねば!
「オースティン殿下。殿下のお優しいお爺様はその様な事は致しませんよ」
「「「・・・・・・!」」」
こら!反応した奴!
嘘だとバレるだろうが!
「本当ですか・・・?」
「ええ、私が保証いたしましょう。そして、私がお護りする限りギー…ギルフォード殿下が学園で暗殺されるような事は起こりえません!」
一瞬、王子の名前が思い出せなかったが、セーフだろうか・・・そういう事にしておこう。
皆が呆気に取られているうちに、私は席を立ち、オースティン殿下の元へ行く。跪き手を握り、心が安らかになる様祈りながら光魔法で癒す。
『ご安心くださいませ』
言いたいセリフをそのまま詠唱にすると、ほやんと金色の光に包まれたオースティン殿下は、とても嬉しそうに笑った。
元気が出たようで、私も嬉しいぞ!
「オースティン。私も護られるばかりではないぞ!アシュリーや騎士達に鍛えられているからな!」
ドヤ顔の王子だが、まだそこまで強くなってはいないと思う。ヘクターの方がまだいける。
まあ、今はそんな突っ込みはしないが。
「そうなのですか?」
オースティン殿下は、可愛く目をクリクリさせて私を見る。やはり、これには勝てない
「はい。ギルフォード殿下は随分と強くなられましたよ」
私はスっと立ち上がり、ドヤ顔王子の方を見て続ける。
「それでも、ギルフォード殿下はまだ鍛錬は続けていらっしゃいます。きっと、もっと強くなられる事でしょう!」
「あ、ああ・・・もちろんだ」
少し頼りない返しであるが良しとしよう。
もっと鍛錬しろ!
「お兄様、頼もしいです!」
可愛い弟の期待に応えてみせろ。
しばらく鍛錬の話で場は持ち直し、和やかに話は盛り上がった。何より、鍛錬の話ならば私はたくさん喋れるのだ!
さて、茶会の雰囲気も良くなった所で、私はそろそろ退出したい。
そして・・・
「我々は大会準備もありますので、本日はそろそろ失礼させていただいてもよろしいか?」
やはり、ロバート先生とはツーカーの仲だ!
「え?そうなの?もう少しお喋りしたかったのだけど・・・」
「皆様の期待に応える魔術発表にする為には、中途半端な事は出来ませんから」
「ふふっ…本当に楽しみだわ」
「宰相様、発表に関して伺いたいことがございますので、少しお時間いただけますでしょうか」
私は、すかさず宰相を捕まえにかかる。
「はい、ご一緒いたしましょう」
そうして、私とロバート先生は宰相を連れて退出し、しばらく歩いた所で立ち止まる。
「宰相様。オンブロー家についてご存知の事を全て教えてください」
「全て・・・ですか?」
「はい、今回の計画に必要ですので」
宰相は少し考えた後、別室へと案内してくれた。
私が聞きたかったことも宰相は分かっているのだろう、出来る人間はやっぱり違う!
王様がオンブロー伯爵の両親は良い人だったと言っていた。それなのに、オンブロー伯爵は反国王派ではないかと思われている。
それには何か切っ掛けとなる事があったはずである。
宰相との話により、やはり切っ掛けはあったのだと判明した。




