おうちのかたへ
業務効率の悪循環をいさめるために、「木こりのジレンマ」は多くのビジネス書が紹介しているとおりです。
このお話ではジレンマを擬人化して登場人物としました。
木を切るのが忙しくて、オノを研ぐひまがない。
社会では、常にシステムのメンテナンスと改良を求められます。
ですが同時にノルマを達成し続けることも要求されます。
1日に割り当てられた作業時間が限られる以上、改善のためだけに時間を費やせない事情もあります。
このお話に登場するキツネは、ジレンマが抱える事情をなにひとつ理解していませんでした。
キツネにとってジレンマの態度は、改善努力をしたくないための口実にしか聞こえなかったかもしれません。
問題の根底は、キツネに独創力のかけらもなかったことでした。
キツネは自分が賢いと錯覚し、ジレンマが気づいていないであろう改善策を教えてあげたつもりです。
しかし、ひとつひとつキツネの提案を振りかえれば、誰でも思いつくアイディアばかりでした。
ジレンマもその例外ではないはずですが、キツネはそのことに気づいてすらいませんでした。
「なぜジレンマは、わざわざ非効率な方法で作業しているのか」
ひいては、そうせざるを得ない理由があるのではないか。
実際のところ木こりは、なにひとつジレンマを抱えていませんでした。
整合性のある理由から、非効率な方法を取らざるを得なかっただけなのです。
結局キツネは、自分の浅慮を露呈しただけで終ってしまいました。
ジレンマがオノを研ぐためにはどうすればよいのか、よい方法があれば教えてあげてほしいと思います。
たぶんジレンマはこう言うでしょう。
「ダメなんだ、なぜなら……」