↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】聖女と結婚ですか? どうぞご自由に 〜婚約破棄後の私は魔王の溺愛を受ける〜  作者: 綾雅(りょうが)9月は3冊!
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

205/237

第203話 なんか響きがよくないわね

 潔い謝罪に、国王ノアールへ彼女の助命を嘆願する声が聞こえる。同情する響きや気の毒がる声が届いても、シャルロッテは顔を上げなかった。


 床に付した彼女は、ただ断罪の言葉を待っている。


「顔を上げなさい、シャルロッテ」


 ゾンマーフェルト侯爵令嬢、そう呼ぶのが普通だ。相手の地位と家柄を尊重した呼びかけは、獣人の中で当たり前の行為だった。その慣例を取り去り、個人名を呼び捨てにした王妃ブリュンヒルデ。厳罰を予想して青ざめる貴族達を前に、彼女は壇上から降りる。


 顔を上げたシャルロッテの頬に涙はなかった。覚悟はできている。母親はすでにない。檻に囚われた父は犯罪に手を染めた。卑怯な手段を使わせてしまったのは、期待に応えられない私のせいだ。ならば父の罪を私が背負うのも当然でしょう。


 毅然としたシャルロッテに近づいたブリュンヒルデは、彼女の前で膝をついた。同じように絨毯の敷かれた床に座り、手を差し伸べる。


「私と対等に話ができる貴重な女性を、失う気はなくてよ?」


 うふふ……小さく笑ったブリュンヒルデの差し出した手と、王妃の顔を何度も確認する。往復するシャルロッテの目は見開かれ、信じられないと唇が声なく動いた。


「ほら、立ちなさい。いつまで私を座らせておくおつもり?」


 傲慢な物言いなのに、不思議と顔が綻んだ。シャルロッテは先に立ち上がり、逆にブリュンヒルデの手を握った。カバの獣人は力が強い。ぐいっと王妃を引っ張って立ち上がらせ、自分より小柄なブリュンヒルデを胸に抱き寄せた。


「本当に! この大きな胸も、細い腰も卑怯です」


 悪態をついた王妃を離したシャルロッテは、無礼を取り繕うように王妃にカーテシーを披露した。


「王妃殿下のお慈悲に感謝申し上げます」


「そんなのはいいから、さっさと結婚なさい」


「でも相手がおりませんもの」


「後ろで自害しそうな顔で待ってるわよ」


 ブリュンヒルデに乱暴に突き飛ばされ、よろめいたシャルロッテを執事が受け止める。幼馴染みであり、ずっと一緒にいてくれた彼――大柄なシャルロッテを抱き寄せ、その場で深く頭を下げた。


「王妃殿下、発言をお許しください」


「だめよ、反対なんて聞けないもの。あなたはこのシャルロッテを妻にして、ゾンマーフェルト侯爵家……ああ、なんか響きがよくないわね。別の家名を新しく与えましょう。とにかく彼女と結婚して侯爵家を建て直しなさい」


 ぼろくそ言いながら、照れて赤くなる似合いの2人を後押しする。ブリュンヒルデの粋な計らいは、獣人貴族好みだった。罪を憎んで人を憎まず――人間より獣人が率先して広めてきた教えだ。


「そ、そんなの許さんぞっ!」


 叫んだゾンマーフェルト侯爵だが、メフィストが人差し指を唇の前に立てた。黙るよう指示する仕草の直後、彼の声は聞こえなくなる。にっこり笑った悪魔は、両手を体の前で擦り合わせて楽しそうに待つ部下へ頷いた。


「持ち帰って構いません」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ☆ 新刊 ☆  2026年9月は3冊!!
 icon_new04_new05.gif2026/9/02・・・契約婚ですが可愛い継子を溺愛します (2) (一迅社/一迅社ノベルス) 
 icon_new04_new05.gif2026/9/07・・・要らない悪役令嬢、我が国で引き取りますわ 優秀なご令嬢方を追放だなんて愚かな真似、国を滅ぼしましてよ? (5) (竹書房/バンブーコミックス 異世界BC)
 icon_new04_new05.gif2026/9/10・・・魔王様、溺愛しすぎです!@COMIC (2) (TOブックス/コロナ・コミックス) ※電子のみ

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。