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そう、気づいた。
逆ハーするなら、まず顔と名前が判別しないと何もできない事を。
ハーって言うくらいだから親密にならなきゃいけないよね。
これじゃ親密どころの話しじゃない!
焦った私はワタワタと辺りを見回してみると、ニヤリと笑う光の令嬢と目が合った。
!!
こういう事か!
靄の意味も名前が聞こえない意味も分かった!
卑怯なり!
光の令嬢!
「コーラル、コイツ誰?」
私の耳元に唇を寄せ小さな声で問う勇者さま。
「よくは知りませんが、この世界で唯一の光属性の持ち主の方だそうですよ。」
「え?光?
この世界にも属性ってあるのか?
ってオレも多分光属性持ち。」
「えー!
、、、だって、、、」
唯一って聞いていたのにまさかこんな身近にもう1人いたなんて。
ってそうか、仮にも勇者さまと呼ばれるこのお方、光以外の属性じゃやっぱり違和感あるものねー。
と、1人納得した。
そうすると令嬢の意味がなくなる気がするんだけど。
多分光っていえば、癒しメインだよね?
「僧侶ほどじゃないけど大多数の人、一回でどうにかできるよ。」
勇者って剣扱ったりがメインじゃないの?
「剣も勿論扱うけど、僧侶や魔術師のMPが切れたら代わりやるし。」
どっちつかずってそういう意味だったの?
「そそ、得意なスキル決められないんだよねー。
よく言えばマルチ、悪く言えば器用貧乏。」
き、器用貧乏のレベルが違う気がするんですが。
さすが、救国を担うお方。
ってあれ?
救国、、、?
「もしかして?」
「よく分かったなー。
オレ、あの伝説に出てくる英雄の子孫。」
「えー!」
まさか!まさか!!
あの壮大かつ抽象的すぎる伝説に出てくる英雄の子孫!?
と、いう事は、、、。
「じゃぁ、アノ令嬢とこの国の王様になるんですか?」
後ろをチラ見しながら問うてみた。
「は?
なんでそんな話しになるの?
そんなつもりないし、そもそも趣味じゃないよ。」
ハッキリ断言する勇者さま。
だってアイツ腹黒だよな?
や、
悪役令嬢ってアイツがやった方がしっくりくるんじゃないの?
など正に歯に衣着せぬ事をポンポンと宣う。
どうせならもう少し性格のいいヤツがいいし。その前に別に王様なんてモンには興味ない。
こっちをヒタ、と見つめながらキッパリ言い切る勇者さま。
その瞳にちょっとドキっとしたのはヒミツだ。
「あー、でも結局どっちに転んでもハー路線には変わりないのか?
んー。気持ちは分からないでもないけど、なぁ、、、。
でもなぁ。
オレの気持ちは?」
ぶちぶち何かを言ってる勇者さま。
勇者さまの気持ちってなんだろう?