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「コーラルさん、どうされました?」
無視されてるのが我慢できなくなった令嬢が口元をヒクつかせながら話しかけてくる。
「あー。
失礼しました。
貴女の声がよく聞こえませんでしたので、勇者さまにお聞きしてたんです。」
あくまでもアンタに媚びないからね。
の空気が少しでも感じ取ってもらえるように、と念じながら言う。
「おい!お前!
その態度は失礼じゃないのか?
仮にも唯一の光属性をお持ちの令嬢だぞ!」
もうナンバリングするのも面倒になってきた多分イケメン。
令嬢を背に隠しながら、態度を改めろと私に大声を出す。
その時点でマイナスポイント付与。
どんな相手であろうともか弱いオトメに向かってその言い草はない。
「その言い草はナイんじゃないですかねー。
センパイ。
か弱いかどうかは別として仮にも女子相手ですよ。」
こっちはこっちで私を背に庇って先輩らしい多分イケメンに対峙する勇者さま。
なんだ、そのヒトの思考を読みきったセリフは。
ほんの少し顔が赤くなったのに気づいた時。
後ろから「きゃー」という黄色い声が聞こえた。
勇者さまステキだの、カッコイイだのあまつさえ抱いてーだのいろいろ聞こえる。
あれ?
勇者さまの名前聞こえた気がしたんだけど、勇者さまって聞こえる。
私が名前を認識する前に勇者さまという音に脳みそで変換されたイメージ。
中々難しいシステムのようだわ。
「その呼び名はコーラルだけの特別製だぜ。」
顔だけこちらに傾けながら私にだけ聞こえる音量で話す勇者さま。
あ、あれ。
なんかさっきからドキドキが止まらないんですが。
「勇者よ、近すぎだ。」
グイと私の肩を掴む右手。
それは魔王のモノで、、、。
「きゃー!
魔王さまー!」
これまた黄色い声がする。
そして、魔王という呼び名も変換されているようだ。
ついでに私への批判も聞こえる。
何、この2人ってそんなキャラなの?
「勇者さまに、魔王さま。
先日お二方に招待状をお渡ししましたのに、お返事頂いておりませんわ。
来ていただけるという事でよろしいでしょうか。
本日お迎えに参りますわね。」
こちらはこちらで私の事は完全スルー。
まぁ、いいけど。
なんて思ってたけど、
「コーラルが行くならオレも行くけどな。」
「勇者と同意見は納得できないが、私も同じだ。」
私を盾か弾除けにしたいらしい2人はそんな事をおっしゃる。
止めてほしい。
「わ、分かりましたわ。
コーラルさんと仰いましたかしら。
今夜開催される我が家の夜会へお越しくださいませ。
ですが、大丈夫ですか?
一応パーティですから、それなりの装いでいらしてくださいね。」
口元はニッコリ。
目元は全く笑ってないという器用な顔をさせてる令嬢。
アンタなんかお呼びじゃないのよ。
と言わんばかりだけど、それを差っ引いても2人を呼びたいのだろう。
そんな令嬢、私の返事を一切聞く事なく多分イケメン達と去って行く。
ところで、それなりの装いって何?




