表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/99

-10- 雨が降る

 今日は天気がいいから、車のタイヤえは、まあ昼過ぎでもいいか…と元岡は思った。すると妙なもので、時間ができたせいか急に余裕めいた気分がき、別に今日しなくてもいいような雑用を済まそうという気分になった。思いついたことをしよう! と考えるのは誰でもよくあることである。その日の元岡がそうで、積もった落ち葉をいつの間にかほうきいていた。掃き終わるまでには、さほど時間がかからなかった。昼にはまだ時間がたっぷりとある。元岡は、このままにしておけば、また風が吹いて飛び散るから燃やしてしまおうと思った。

 幸いにも落ち葉は乾燥していたから、容易に火をつけることができた。当然、防火用の水バケツは準備してからの点火である。燃焼の三要素は、点火源、酸素供給源、可燃物である。こんな危険物取扱試験の基本的な知識をつまらなく考えながら火をつけると、落ち葉は勢いよく燃え始めた。腕を見れば11時過ぎだった。終われば、ちょうど昼のいい頃合いになるぞ…と元岡が誰もいないのにニヤリと北叟笑ほくそえむと、急に空に雲が広がり始めた。とはいえ、それはまだ全天をおおうものではなく、降り出すような天候ではなかったから、元岡はまだそう気にしていなかった。元岡が予想したとおり、12時前にはすべて燃やし尽くし、水バケツで消火すると家へ入った。レトルトの冷凍ピラフをチン! して食べていると、いつの間にか雲が全天を覆っているのに元岡は気づいた。これは…と急にあわただしく食べ終えた元岡は、キッチンで食器を洗うのをあとに回し、車のタイヤを変え始めた。すると、それに呼応するかのように雨が降り出した。雨が降るのか…と元岡は後悔こうかいした。これなら、午前中に済ませておけばよかったのだ。まあ、こういうこともよくある…と自分を慰めたが、いや、余りないぞ…と思えた。あとの後悔、先に立たず・・日本にはいい名言があるな…と元岡はうらめしそうに、また思った。


                    完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ