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下校時の校門前。
私はジェンマ・クラウディオに言いがかりをつけた。
ふっ、裏社会のドンの息子だから言いがかりなんて初めてなのだろう、信じられない顔をしている。
「聞こえなかったのかしら?もう一度言うわよ?」
私はトレードマークの扇子を閉じてビシッとジェンマ・クラウディオを指す。
パチン! ビシッ!
「あなたが歩いていたせいで、跳ねた土が私の靴につきましたわ。極刑にはしないでさしあげるから土下座して謝りなさい!」
信じられないといった感じでポカンとしているジェンマ・クラウディオ。
「お前、気は確かか?」
「あなたこそ気は確かなの?下位貴族でしょ、早くしないと不敬罪で極刑にするしか無くなるかもよ?」
鋭い眼光で睨んでくる。
「お前今日中に死ぬぞ!」
「私は長生きするから大丈夫よ。土下座するのしないのどっちよ!」
「するわけねえだろうくそあま!」
ジェンマが殴りかかってくる。
あら?ガイア様との手合わせを見てなかったのかしら?少しは私の強さを見せてしまった筈なのに。
仕方なく殴りかかってきた
ジェンマの拳を軽く避けて鳩尾にグー!下がってきた顔に往復ビンタ!
「うぐっ!はぶっ!ぶへっ!ぐはっ!」
ピタッと顎先をつま先で受け止めて、足首だけでちょんと蹴り上げる。
ポーンと吹き飛んだジェンマが地面に落ちる。
ドシャッ!
あっ!手加減したけど勢いでドンドンド~ンってやっちゃった………お願い起きて。
「うっ………くそっ、ぺっ!」
おお!悪役令嬢の願いを聞き届けてくれてありがとう神様!
「手加減してやりゃあいい気になりやがって!ぶっ殺してやる!」
手加減してたの?どおりで弱すぎると思ったのよ。って言うか、か弱い女の子相手にナイフを出すかなぁ。まぁこれでイベントが確定したんだけどね。
そしてここでルドヴィカ姐さんが間に入る予定なんだけど、まだ木の裏に隠れてジッと見てて動かないんだけど。
ルドヴィカ姐さん喧嘩大好きだからこのまま見てるつもりか?
私と目が合ったからかルドヴィカ姐さんが猛ダッシュで来てくれた。
そしてジェンマのナイフを叩き落とす。
「女相手に武器出すとは情けねぇな!素手でやりな!」
素手でやりなじゃなくて、喧嘩を止めてくださいねルドヴィカ姐さん。
「ふざけんな!言いがかりをつけてきたのはそっちだぞ!」
言い分は合ってます。
バアァァン!
ルドヴィカ姐さんのビンタが炸裂。
ジェンマがポカンとルドヴィカ姐さんを見る。
「男がごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ!女相手にナイフ出した時点でお前の負けなんだよ!頭を冷やせったく」
ルドヴィカ姐さんがポカンとしているジェンマの頭を撫でている。
「落ち着いたら家帰って飯食って寝な」
ジェンマはルドヴィカ姐さんを見つめたまま動かない。
「後はオリビアだ。話しがあるから着いてきな」
上手いこと二人はその場を去る事が出来た。
体育館裏。
「一瞬間に入るのが遅れてすまなかった!」
ルドヴィカ姐さんが潔く謝ってきた。
「いえいえ、頭を上げて下さい」
「ついオリビアの拳と蹴りに見とれちまってな。じゃあ今度はあたいとやろうぜ!」
「やりませんよ!それよりジェンマさんをどう思いました?」
「どおって、情けない奴だとしか………」
「頭を撫でてあげてたじゃないですか」
「ちっ、恥ずかしいとこ見られちまったな」
「ええ、目の前でしたから。でなにか思うところがあったんじゃないですか?」
「なんか真っ直ぐて可愛い奴だなぁと思ったよ。どうしていいか分からなくて暴力に走っちまうんだろうなぁって分かったんだ」
よっしゃ~!!
私は心の中で叫んだ。
実はこのイベントは二人のどちらを操作しても発生するイベントで、それぞれの好感度が上がるのだ。
ジェンマはビンタされて見とれるのが相手に惚れた証拠で、ルドヴィカ姐さんは真っ直ぐで可愛い奴だなぁのセリフを引き出せれば確定だ。
相性がいいから後は放っておいても大丈夫なのだ。
* * * * *
私は豪邸に帰ってきて二階のベランダで寛いでいる。
木々のざわめきとそよ風が心地いい。
ふむ、後はたまに悪役令嬢としてサポートしてあげれば5組のカップルは大丈夫ね。
すでに好感度マックスなのも居るし、卒業式には全キャラのハッピーエンドデータが揃うのは間違いないわ。
修道院かぁ、修道女だけなのは大変そうだけどいい人たちだといいなぁ。
オリビアは満天の星空を見ながら、未来の楽しい生活を想い描いていた。




