ギルド スノープリンセス2星猫編 黒幕①
「まだ星猫は手に入らないの?」
凛とした顔立ちにインテリ眼鏡。冷たい目線が玉座に座るハエ人間に向けられた。
「ボクたち、もう待ちきれないよ」
ボクっ娘は、やや小太りの小柄な娘。
2人は過去に『女神』として下界の守護をしていた『リリス』と『ギルバ』。
だが、世界を浄化し再生させるアイテム『聖杯と起源の水』を知り、天界、下界、魔界を我が物にしようと企み、アイテムのある『カモミール』を襲うが『勇者ケイン』達に阻まれ、現在は天界指名手配犯として逃走中。
「ベルゼブブ大公、何のためにあなた達に高度な科学力を提供したと思ってるのですか?」
リリスの冷たい目線がベルゼブブ大公に突き刺さる。
「い、いや、思いもよらぬ魔法を使う連中がおりまして」
大公の地位は最高位。だが、リリスに対しベルゼブブ大公は冷や汗をかきながら言う。
「まったくさ、だからハエ共じゃだめだって言ったんだよ。ボクは最初から頭のいい『ハツカネズミ族』にしようって言ったよね」
ギルバは嫌気がさしたような顔をする。
「いまさら言っても始まらない。で?どんな相手なの?」
「は、はい」
リリスの問いにベルゼブブ大公は合図をした。
兵の1人がリリスに資料を渡した。
「・・・・アブソリュートスノー?って。あのアブソリュート?」
リリスが資料を読み驚きの表情になる。
「え?部長?アブソリュートって、まさか?」
ギルバにとってリリスは元上司。上司でもあったリリスを女神時代の最終役職『部長』と呼んでいる。
「ああ、あのアブソリュートのようだ。これは厄介だな」
「使い手が居たんだ。まさかグレートアトラクターの中になんて…ああ!なんてついてないの!私たちいつも運が無い!」
ギルバが嘆く。
「だが、使い手は小娘だ。小娘1人ならどうにでもなりそうだな」
リリスがいやらしく笑う。
「この世界の詳しい情報!それと、この魔法の使い手の情報を探らせて!」
リリスの言葉に『いけるかも』と感じたギルバがベルゼブブ大公に命じた。
「ぎょ、御意。すぐに調査隊を派遣します」
大公は部下に指示を出す。部下は慌ただしく動き出す。
「見ているがいいケイン。今度こそ聖杯と起源の水は私たちが頂く。お前に邪魔されない方法でな」
リリスが言う。
「そうそう、世界を滅ぼし再生させる方法は他にもあるからね。再生させた世界では私たちが唯一神だよ。女神共も私に従わせてやる」
ギルバも笑いながら言う。
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「世話になったなっーか、騒ぎにしちまって済まなかったな」
「まだ騒ぎは収まってないけど、時間なの。ごめんなさいね」
「科学班が研究してるから、また来れると思うよ」
今日はパルムさんたちが帰る日だ。
昆虫域に時間でゲートが開くように装置がセットしてあるという。
私と飛鳥さん、本店のメンバーで見送りだ。
「この辺で良いかな?」
ゲートから出てきた私を見たカマキリ族が逃げ出した。
「うん!ジャストだよ!これがゲート装置」
アリッサさんが装置を拾い上げる。
「俺たちが戻ったら直ぐにティナをよこすから、時間はないが話し合ってくれ」
大変だった。ミサキさんに星猫の処遇を説明し、納得させるのがすごく大変だった・・・。
結局のところ、頑として納得しないミサキさんは、ティナさんが連れて帰ると言い出したら『拉致しましょう』と言うことで納得してくれた。
しかもこの案、セシルさんからの提案だった。
「大丈夫よ。うちの科学班は優秀。ティナがこっちに居るとなると、早急になんとかしてくれるから」
だそうだ。
「その方が良いね。ティナなら大した戦力が無いから拉致は楽勝だよ」
と、アリッサさん。
「まぁ女神1人いなくても困らないからな。迎えに来るまでに説得すればいいさ」
と、パルムさん。
『女神拉致』・・流石は勇者チームの面々だ。考え方が柔軟でとても付いて行けそうにないと思った。
「そろそろ時間だ。ギルマス、みんな!楽しかった。またな!」
「連日の歓迎宴会、楽しかったわ」
「また来るね!今度はパパと来るからね!」
ゲート解放の時間となり、私と飛鳥さんは3人と代わる代わる握手をし、みんなは手を振った。
が・・・・
ゲートが開かない。
「おかしいくないか?もう時間だよな?」
「正確なはずよ」
「壊れたのかな?ウンともスンとも言わないよ」
箱ぐらいの装置は、動いている気配がない。
「あの・・その箱からはゲートを開くだけのエネルギー反応が感知できないのですが」
リアちゃんが、ゲートが開かない答えを言う。
壊れたんだ!
「おいおい、まずいな」
「私達じゃ直せないわよ」
「機械に詳しい人っていない?」
機械ならルルちゃんだけど・・2人は?
「ルルとララは滅んだ文明がある6階層で廃墟探検中です」
マリアが言うが、2人は銀姫さんたちとは関係が無かったようだ。
「呼び戻せるかな?」
マリリンさんの所にも、ポポさんと言う機械技師はいるが、事が事なので、うちで処理したい。
「連絡は付くので、すぐにルナさんにお願いして連れ戻します」
じゃ一旦ギルドに戻って‥って!ギム何してるんの!?
「機械なら任せろ。いつもマリアの腹の中を見ている」
まじか!?見せてるんだ?
「違います!セルフメンテの時に傍に居て貰うだけです!」
仲がいいな!!でもギムじゃ流石に・・・
振ったぁぁぁ!揺すったぁぁぁ!!叩いたぁぁぁ!!!
精密機器にやったらダメなやつ!!
「ポンコツか?マリアならこれで動くぞ」
動くんかい!?
「動かないフリをすると、構って貰えるんです」
おのろけかよ!?
って、装置から煙が出てきた!!
「きぇぇぇぇぇぇ!!」
なんで光速剣!?
「俺の勝ちだ」
未だにこいつの行動はよくわからん!
「まぁいいさ。動かなけりゃ真っ二つでも変わらんからな」
「そうね。向こうも分かるでしょうから、すぐ対応してくれるわ」
「もう少しお世話になるね」
・・・太い。帰れなくなっても全然気にしていない。
「ここの監視をしておくであります。監視カメラを設置しておけば、ギルドからでも変化に気が付くであります」
ナイス飛鳥さん。
「じゃ私は一筆書いておくね」
私は紙を取り出し・・・
『触るな。壊したら凍らせる。雪姫』
これをカメラに張り付けておけば、カマキリ族は手を出さない。
「じゃ、戻って酒でも飲むか」
「いいわね。ここのお酒っておいしいのよね」
「お土産用に貰ったの、飲んじゃおう!」
帰れない不安など、微塵も感じさせない3人だった。




