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英雄復活――そして、再び露天風呂で敗北。


 ………………。

 …………。

 ……。


「……うっ……あ……?」


 死後の世界に旅立ったかと思ったのだが――どうやら、俺は生きているらしい。


「あ、センセー! 起きた!」

「ああ、よかったです、ご主人様!」

「……本当にびっくりしましたわ。あと少し回復魔法が遅れていたら、危なかったと思います」


 俺のことを覗きこむ三人。

 先ほどと違うのは、おっぱいが露わになっていないところだ。みんな、ちゃんと服を着ている


「……すまん、どうやら助けられたようだな……」


 あと少しで、まことにアホらしい理由で生涯を閉じるところだった。


 死因:おっぱい。


 それは、あまりにも情けなさすぎる。


「……俺も、どうやら修行が足りなかったようだ」


 これまでの戦いで俺はひたすら、剣と魔法を鍛えてきた。

 そのため、女性に対する免疫が低いのだ。まさか、ここまでとは思わなかったが……。


「えへへ♪ センセーの弱点見つけちゃったね!」

「むしろ、そんなご主人様に調教していただけるのが興奮します!」

「わたしも、どちらかというと経験豊富な先生よりも、そっちのほうがいいですわ」


 なんかすっかり立場が逆転してしまった。教師としての威厳にかかわるが、もう知るか。

 あれだけ強力な止血魔法を使っても打ち破られてしまうんじゃ仕方がない。

 魔王の魔法を防ぐよりも困難なレベルだったのだ……。


「ふ、ふん……戦う上で、そういう耐性が低くても問題ないからな。まったくの無問題だ」


 強がる俺だが、三人の攻勢は終わらない。


「でも、センセー! 魔族にはサキュバスだっているじゃないですか! そういうのと戦うときって、どうするんですか!?」


 それはもっともな意見である。


「……俺もこれまでサキュバスと戦ったことはある。そのときは、あえて目を閉じて心眼を以て制した」


 もう服装からしてキワドイので、見ているだけで心の毒なのだ。

 だから、対処法はひとつ――見ない。


「筋金入りですわね……」


 ナナミが呆れたように言う。


「で、でも、そんなご主人様のことをわたくしはかわいく思います!」


 ドM露出性癖の変態姫騎士から「かわいい」と言われても、微妙な心境である。

 そして、同年齢とはいえ生徒たちからそんなふうに言われるのも複雑な気分だ。

 史上最強の魔導騎士である俺の株が、一気に暴落していた。世界恐慌だ。


「ね、センセー! 魔法を鍛えてもらってるお礼に、あたしたちがセンセーのこと鍛えてあげるよ! もう一度見せるも二度見せるも変わらないし!」

「それは名案です! ぜひ、わたくしたちにお任せください、ご主人様! いつでもどこでもわたくしのおっぱいを見てくださいね!」

「……もしサキュバスなんかに先生を獲られちゃったら嫌ですしね……わたしも、協力することについて、やぶさかではありませんわ……」


 なんだか話がおかしな方向に進んでいる!

 しかし、俺にとって克服しなければならないことなのも確かだ。

 史上最強の魔導騎士の俺、唯一の弱点なのだ。これをそのままにしておくわけにはいかない。


「ま、まぁ……考えておこう」


 これで「ぜひよろしくお願いします!」と応えるのは、男としてどうかと思う。

 というか、人としてどうかと思う。

 それはそれとして――。


「三人とも温泉には入ってないんだろ? せっかくだから、あったまっていけよ。ここまで来て温泉に入らないんじゃもったいないしな」


 俺の言葉に、三人は笑みを浮かべた。


「さっすがセンセー! ちゃんとあたしたちのこと考えてくれてる!」

「わたくし、ご主人様に一生ついていきますわ!」

「そうですわね、せっかくここまで来たのですから」


 まぁ、俺が鼻血を出してしまったせいで待たせてしまったわけだしな。

 帰りは転移魔法ですぐに帰れるわけだし、温泉に浸かっている時間はあるだろう。


「んじゃ、ゆっくり浸かってくれ。俺は少し頭を冷やしてくる」


 と、そこで――俺は自分が全裸であることに気がついた。タオルだなんていう気の利いたものは持ってないので、もろに俺は大事な部分までさらしていたことになる。


「ふふっ、センセーのって、こんなにかわいかったなんて思わなかった♪」

「いやああああああ!? もうお婿にいけないぃいいいーーーーーーーー!」


 俺の叫びは虚しく露天風呂に響き渡っていったのだった……。



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