ダークエルフちゃんマジ天使~極限羞恥プレイ激怒魔力覚醒~
だが、先ほどの影響が大きいので足がもつれて転びそうになっていた。
「……いったい、これは、どういうことだ? か、体がおかしいっ……ふわふわするっ……お、おまえっ……いったい、我になにをしたのだっ……?」
なお、催眠状態のときになにがあったかという記憶は本人には残っていない。
だから、あえて映像に残しておいたんだけどな。俺ってば、優しい。
俺は魔王のような邪悪な笑みを浮かべて、メサに向って口を開いた。
「くく……メサ、おまえが意識を失っている間、なにがあったのか知りたいか? なんなら教えてやってもいいぞ?」
「うぐっ……な、なんだ、この嫌な予感は……我の中の第六感が、絶対に教えてもらってはならぬと訴えかけている……!」
ほほう、さすがはダークエルフ。
完全に催眠状態にかかっていたはずなのに、危機を察知するとは。
「まあ、せっかく記録を残してやったんだから遠慮せずに視聴しろよ。これは俺にとっても永久保存版って感じだしな!」
「や、やめろっ! なんだか知らぬが、とても嫌な予感がするっ! 我の本能がそれを見たらいけないと叫んでいるのだ!」
メサは激しく拒絶する。
だが、そんな反応を見せられると――ますます視聴させたくなるのが俺であった。
「いや、意地でも見てもらうぞ。もちろん逃げても無駄だ。束縛魔法で身動きできないようにしてやる」
と言ったときには、すでに神速のスピードで束縛魔法を発動してメサの動きを封じている。
俺はやるときはやる男なのだ。容赦しない。
「うぐっ!? は、放せっ! 我を解放しろ!」
「あんなに素晴らしい傑作動画なんだから見てもらわないとな。俺は感動すら覚えたぞ。催眠状況下といっても本人の心の奥底にある欲求って言うのは如実に現れるんだ。だから、おまえは深層心理では、ああいうキャラになることを望んでいるってことだ」
俺は投影魔法を使って、超大画面のスクリーンを空に向けて作った。
もちろん、メサの視界の真正面にだ。
「ううっ、こ、こんな魔法まで、あるとは……」
「俺に不可能はないからな。どうだ、特等席だぞ? ちなみに今つけたタイトルは『囚われのダークエルフ~お兄ちゃんは時々変なおぢさん~』だ」
我ながら、酷いタイトルだ。
「それじゃ、上映スタート!」
俺の声に反応して、動画が開始される。
せっかくなので俺もメサの横に移動して視聴することにした。
『ふえっ!? お、お兄さん、耳を撫でてくれるのっ? う、嬉しいっ……! で、でも、恥ずかしいよぉ……』
画面の中のメサは、俺に媚び、酷い姿を晒している。
それをメサは驚愕の表情で見ていた。
「なっ……なんなのだ、これは!? ひっ、ひぃいっ……! こ、こんなもの我ではない! やめろっ、こんなものフィクションだ!」
予想どおり、メサは羞恥のあまり騒ぎ始めた。
「これは完全なるノンフィクションだぞ。さっきのおまえは本当にかわいかったからなぁ~。ほれ、そろそろクライマックスに入るぞ!」
そして、映像では――。
『ふぁあっ、はぁあっ! メサ、こんなの初めてぇ!』
画面の中のメサは放送禁止ギリギリレベルの表情を晒していた。
「やめろやめろやめろぉおおおお!」
そして、絶賛強制視聴中のメサは束縛魔法を断ち切るような勢いで叫ぶ。
というか、危うく打ち破られそうだ。
「おいおい、最後まで見ろよ」
なので、さらに束縛魔法をかけ直してやる。
二重で夜も安心。
『やぁん、もう、らめぇえ、なんかきちゃうっ、怖いよぉ』
『大丈夫だよ。しっかりとメサちゃんが大人になるところ見ててあげるから! このまま、いこう! いけるところまで、いっちゃおう!』
……というか、我ながら迫真の演技すぎて気持ち悪いな……。
まぁ、催眠魔法というものは演技力も必要なのだから致し方ない。
俺は、魔法のためには妥協をしない男なのだ!
そして、画面の中では、いよいよクライマックス中のクライマックスが訪れる――。
『きゃうぅううううううう! だめっ、らめぇええええ! メサ、どこかにいっちゃうぅう! とんじゃうぅううーーーーーーー! ふあぁーーーーーーーーーーーーーーっ!』
うん、ダークエルフちゃんマジ天使。
これは眼福だわ。
「くくく……どうだ? おまえのこと最高にかわいく撮れてるだろう? 俺の魔法をもってすれば全世界同時放映も可能だ。なんなら宇宙空間にも写すことができる。いやぁ~、本当に素晴らしい。全宇宙に共有したい」
「…………殺す」
「ん? なんだ? 俺は主人公特有の難聴気味でな。なんて言った?」
「ぶっ殺す! 貴様は絶対に殺す! バラバラにしてくれる! 八つ裂きだ!」
どうやら誇り高きダークエルフのプライドをひどく傷つけてしまったらしい。
魔力が一気に跳ね上がり、せっかく二重にかけた束縛魔法がまとめて打ち破られてしまった。
「おー、やるな。とはいっても、おまえの魔力を引き出すためにあえて極限羞恥プレイをしかけたんだが。お兄ちゃんは嬉しいぞ?」
「うるさいうるさいうるさい! 死ねぇえええええええええ!」
怒りに駆られたメサは強弓を使うことなく、素手で魔法矢を放ってきた。
火・風・雷・毒の四属性を混合した凶悪なやつだ。
「おぉうっ」
さっきまでとは比べ物にならないほど、威力もスピードも段違いだ。
これをくらったら、ちょっと危ない。
「死ね死ね死ねぇええええええええ!」
しかも、両手を使って連続で魔法矢を放ってくる。
そのどれもが多重属性かつ、強烈。いや、凶悪――。
「いいぞ、いいぞ! もっと撃ってこい!」
俺は両手に魔力バリアを展開して、襲いかかってくる魔法矢を相殺していく。
手のひらを使って弾いたり、威力が強いものは殴って消し飛ばしたり。
ボクシングをしているような感じだ。
「くそっ、くそっ! なんでこちらの魔法が通らない!」
「そりゃ、俺が史上最強の魔導騎士だからだ。おまえも、いい線いってるからな。なんなら俺がこれからも定期的に稽古してやってもいいぞ?」
俺としては、敵だろうと味方だろうと強い奴と戦えればどうでもいい。それにエルフは大好きだし。あとは、あんまり魔王軍が雑魚だとサキやミナミのためにもならないだろう。
「ふざけるな! なんで敵のおまえに稽古されねばならんのだ! 殺す! 絶対に殺す! おまえを亡き者にして、あの映像を抹消する!」
「まったく、あんなにかわいく撮れてるのになぁ~。おまえ怒った顔より笑った顔のほうが絶対にかわいいぞ? せっかくかわいいんだからイライラするのはやめろよ」
「おまえが我をイライラさせておるのだろうが!」
ごもっともである。
まぁ、俺もちょっとやりすぎたかもしれない。




