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悪役令嬢はショタ王子に溺愛される  作者: サウスのサウス
3/3

3 好きなのが伝わったようです

思いの外読まれていることに驚きの作者・・・ありがとうございます!



「こほん・・・そろそろよいかな?」


レイズ様と見つめあっていると、そんな声が聞こえてきた。

声の方向に視線を向けると、そこにはレイズの父親でありこの国の国王陛下であるベスター・グリーフ様と、レイズ様の母親であり、この国の王妃であるレオノーラ・グリーフ様がドアの前で立っていた。


も、もしかして聞かれていたのかな?


「お父様、お母様。お待たせいたしました」

「うむ・・・それで?話はついたのか?」

「ええ。良い返事がいただけましたよ」


そう言って微笑んでくるレイズ様。思わずそれに先ほどのことを思い出して顔を赤くすると、それを見て陛下は少し驚いたような表情を、そして王妃であるレオノーラ様は面白そうな表情をして言った。


「お邪魔するわよレイズ。それにしても・・・ふふ。アーシャがそんな表情をするなんて、どんなことを言ったのかしら?」

「僕の素直な気持ちを告げただけですよ」

「素直な気持ちねぇ・・・」


そう言いながら部屋に入ってくると、レオノーラ様は突然私を抱き締めて言った。


「ごめんなさい。アーシャ。あなたに辛い思いをさせてしまって・・・」


抱き締められているせいで表情はわからないが、声からは悲痛なものが感じられた。レオノーラ様は多分さっきのエドワード様の一件のことを言っているのだろけど・・・


「あの・・・レオノーラ様。私は気にしていません。確かにエドワード様からあのようなことを言われて公衆の面前で婚約破棄を告げられた時には少し悲しかったですが・・・でも、私はレイズ様に救っていただきました」

「アーシャ・・・」


ぎゅっと抱き締められる。レオノーラ様の柔らかい感触に同性なのにドキリとしつつも、レイズ様が今のまま美しく成長したらこうなるのかなーと、少し考えてしまう。


今現在のレイズ様は、レオノーラ様が幼くなって髪を切ったらまさにそうなのではと思えるほどにそっくりで、完全に母親であるレオノーラ様に似ているのだが・・・その、やっぱり触れた時の感触とかは、レオノーラ様からは凄く柔らかくて気持ちいい感触で、レイズ様は幼くもどこか男の子なんだなーと思えることからも、やっぱりレイズ様は素敵な・・・って、いやいや。私。変なこと考えるな。


ダメだ。レイズ様のことを考えると凄く変な方向に思考が行く。


先日まではなんともなく普通に離せていた上に特に意識してなかったのに一度意識してしまうと、もうダメだ。


「私からも謝罪させてもらいたい。すまなかったなアーシャ」


そんな風にレイズ様のことで思考がめちゃくちゃになっていると、いまだに抱き締められている私に対して陛下はそう言って頭を下げーーーって!


「へ、陛下!?頭を上げてください」


この国の国王陛下であり、レイズ様のお父上であるベスター陛下に頭を下げて謝罪されるなんて、恐れ多くて思わずそう言うが、陛下はそれに首をふってから言った。


「私の愚かな息子のせいで君に迷惑をかけたこと・・・そして、それらを承知で君を巻き込んだことを、一人の父親として謝罪させてほしい」


その言葉に私はなんとなく納得してしまった。

陛下は『一人の父親として謝罪したい』と言った。それはつまり、国王としてではなく、エドワード様のお父上として責任を感じての言葉なのだろうとわかった。

国の主としての判断を間違いとは思わないが故にあえて父親として謝罪をしたのであろう陛下に私は戸惑いながらも静かに頷いた。


「陛下・・・私にも非はあります。婚約者としてエドワード様の心に寄り添えなかったことも、女としてエドワード様に見てもらえなかったことも私の責任です。ですので、あまりお気になさらないでください。それにーーー」


チラリと視線を先ほどから黙っているレイズ様に向けてから私は少し恥ずかしいけど、思いきって言ってみた。


「その・・・そのお陰で、私はレイズ様に救っていただけました。例え仕組まれていたことであろうと、私を欲してくれるレイズ様に、私は、その・・・こ、答えたいと思います・・・ので・・・」


そう、仕組まれていたことだろうと、そこまでしてレイズ様が私を欲してくれているならそれはとっても嬉しいし、何よりそれに精一杯答えたいというのが私の本心だ。


まあ、口にするのは恥ずかしいけど・・・きっと、私はレイズ様のことを異性として完全に意識してしまっているのだろう。


まだ子供のレイズ様にそんな感情を抱くなんて、凄くおかしいことだとわかってはいるけど・・・一度意識してしまうとどうしようもないものだとわかった。


そんな私の言葉に陛下は顔を上げて驚いた様子でこちらを見ていたが・・・ふっと、表情を柔らかくして言った。


「そうか・・・今後ともよろしく頼む」

「・・・はい」


ちなみにこの時、私はいまだにレオノーラ様に抱き締められている状態な上に、レイズ様が、それはもう微笑ましくこちらを見ていたことを知っていたので、なんとも混沌とした状態になっていたのだけど・・・レオノーラ様はいつになったら私を離してくれるのかしら?


あと、子供のレイズ様にそんな風に微笑ましく見つめられるのは凄く恥ずかしいのだけど・・・










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