黒猫のお話・そのご
僕ね、前はたくさんの仲間と一緒に暮らしてたんだ。
でも、ちょっとビビりなトコもあってさ、あんまり仲良く出来なかったんだよね。
そんな生活がいつまでも続いていく・・・そんな風に考えてたこともありました。
ある日、僕らの飼い主が「もう貴方達を飼えないの」と言って、僕達は動物愛護センターへと連れられて行きました。なんかね、寂しかった。
僕達の事を最後まで見続けてくれると思ってたのにね・・・。
ビビりな性格は大きくなっても変わらなかった。
僕はセンターのケージの中でひっそりと暮らしていた。
ビビりだから、愛想を振りまくなんて事は出来ない。
おまけに黒猫だから、だーれも見向きもしてくれなかった。
ひょっとしたら、僕はこのままこのセンターから出られないんじゃないか?
そんな風に考える事もあったよ。
ある日、一人の男がセンターにやってきた。
そしていきなり僕のトコに来て、こう言った。
「ウチ、来る?」
センターの人もびっくりしてた。だって、人間に慣れようとしなかったし。今まで誰にも声をかけられなかったのにね。
でもその男の人、こう言ったよ。
「昔居た、黒猫によく似てる」って。
聞くと、ずいぶん昔に「お星様」になったんだけど、なかなか帰ってこないなぁ。と思ってたんだって。
そしたら、ふと見たホームページで僕を見て、帰ってきてくれた!って思ったんだって、
そこからはあれよあれよという間に、トライアルの日になった。
キャリーバッグに詰められて、僕と男の人はセンターを後にした。
家に着くまでの間、キャリーバッグの中から外の世界を見てたよ。
今度はどんなところに行くんだろうってね。
大きなマンションの一室が僕の新しい家らしい。
中に入ると、猫の匂いがする。この家、もう一匹猫がいるみたい。
で、キャリーバッグ越しにご対面したのは、僕より小さいサビ猫。でもなんか僕より年上っぽい。
『アンタ、なにもんなの?!』
『え、えっと、今日からお世話になる・・・』
『あたしゃ、そんな事は聞いてない!』
うわぁぁぁ、この猫。おねーちゃんどころじゃない、大ばあさまじゃないか。
僕、このばーちゃんと仲良く出来るのかな?
これじゃ、ビビりな性格は治りそうもないや・・・。




