黒猫のお話・がいでん
アタチはサビ猫。
最初はマンションの敷地内で野良猫やってたのよ。
地域猫、ってやつね。ある程度の食事と寝床は確保出来てたから、こんな生活でも良いな。って思ってた。
そしたら、どっかのかーちゃんにとっ捕まって、哀れ飼い猫になっちゃった。そこにはね、アタチよりもでっかいクマみたいな黒猫が居たのよ。
えーアタチ、こんなヲッサンと番になれっての?
聞いたら、すでに「玉抜き」されてて、番うどころじゃなかったわ。それから約2年はその黒猫と一緒に暮らしてたの。
アタチと追っかけっこしてたら、猫のクセにドジな落ち方してね。それからあっという間に死んじゃったんだ。
最初は「これからアタチの天下だ!」って喜んでたけどね。でも気が付いたら、寂しいって感じる様になったの。
だって、同じ猫だったのよ。仲間が居ないのってこんなに寂しいとは思わなかったわ。
それから随分と時間が経ったわ。
かーちゃんもとーちゃんもいつの間にか死んじゃった。
ここの息子と二人っきりになっちゃった。
今まで誰かが居た家、かーちゃんととーちゃんが居なくなったら、お留守番ばっかり。一人と言うより独りなの。息子が帰ってくると、ずっとそばで寄り添ってる。
思い出した。あの黒猫ともこうやって寄り添ってたなぁ。って。一緒に居てくれるだけなのに、なんか嬉しいのよね。
そうよねぇ、アタチももうすぐ20歳。口の悪い息子には「もうすぐ猫又にでもなるのかな?」って言われるけどさ、アタチは猫のままよ。
一人と一匹、そんな生活。どっちが先に召されるかは判らないけど、ずっと続くんだ。
そう思っていた時期がありました。
ある日突然、黒猫がやって来ました。
息子曰く、アタチが召されて、猫ロスにならない様にですって?!
そー簡単に殺してもらっちゃ困るわね(怒
こうなりゃ、あんたを看取るまで生きてやるぞぉ!




