診療中 ユニット2 Case4 ~ パワー系特攻隊長「藤田」~
いつでもどこでも超パワフル!
クリニック内のどこにいようともすぐわかる!
風を切り、凄まじい移動速度で秒で通過!
邪魔だぁー!どけどけどけどけぇぇぇーーーいっ!!
教祖様のピンチには必ず馳せ参じる!
貴様ら!小池様を手伝え!!
逆らうものはこの私が成敗してしてくれるわ!
教祖様の為なら喜んで盾になり、自分が犠牲になることこそ美学!
そんな勝手な正義を振りかざしながら、全てのスタッフを、延いては院長までをも標的にし牙を剝く!
この女性?武将?は、パワー系特攻隊長「藤田」だ!
彼女を一言で表現するならば「素直なおバカさん」だろうか?
小池に褒められたくて、ご機嫌を取りたくて、とにかく小池の期待に応える為なら後先考えず何でもやってしまう。
そんな不憫な人。
小池と上木に
「やっちゃえぇぇ~!いけー!藤田!!」
「マジでムカつくから、院長に無理って言ってきて!」
と、女子高生の悪ノリのようなテンションで煽られ、そのまま院長に特攻してしまう。
だから素直なおバカさん。。。
けれど、小池と上木はその姿を見て楽しんでいるだけなのだ。
その上、小池たちが休日にお出掛けする時には藤田はなぜか誘われない。
いつも小池・藤堂・上木の3人で遊びに行く。
大方、藤田を良いようには使うが、敢えて仲間外れにし、それでも捨て犬や捨て猫のように必死についてくる様を楽しんでいるのだろう。
悪趣味だ。
だが、藤田は気付かないのか、それとも耐えているのか
「今度は藤田も一緒に出掛けたいです!」
とシッポを振り、健気に愛されようとしていた。
永遠に誘われることなどないのに…。
私はその姿を可哀想に感じて、不憫にさえ思っていた。
一番尽くしてくれる相手を人心掌握するのは小池の十八番だが、さすがにやりすぎだと思っていた。
グループ内での藤田のポジションは「仲間」ではなく「下僕」だと思った。
このクリニックで生き抜く為に、藤田なりに得た処世術なのだろう。
前述したように、不憫に思う部分もあったのだが、教祖様小池が関与することになると話は別だ!
ただただ恐怖を感じる。
例えば、処置に入らなくてもいいタイミングで小池がカルテを受け取ったとする。
普通のスタッフは普段から小池がサボっているのを知っているので、代わりに行こうとは絶対にしない。
そんな時、藤田も手が空いていた場合、戦闘機でも近付いて来たのではないかという勢いで
「小池さん!ここは代わりに藤田が行きます!!」
と、すかさず名乗りを上げる。
すると小池は、待ってました!とばかりに、あのニコッ!!という作り笑いをして
「ありがとっ♪」
と告げ、カルテを渡す。
すると藤田は、ご褒美でも貰ったかのようにカルテを受け取り、シッポをブンブン振りながらとても嬉しそうに
「ハイッ!」
と言って、再び音速で駆け抜けて行く。
一番厄介なのは小池を不機嫌にさせてしまった時だと思う。
そんな時は標的を定め
「この藤田が貴様を成敗してくれるわ!!」
という勢いでわざとぶつかって来る。
そして
「ボーっとしてないでもらえますか?小池さんも大変なんだから!」
と言い、教祖様を不機嫌にさせたことに対する「気づき」を与えてこようとする。
また、小池の担当した処置が終わるタイミングが一番ピリピリする瞬間だと思う。
なぜなら、教祖様に一刻も早く休んでいただくんだ!とばかりに、器具などの後片付けに入るからだ。
勿論、診療が押していたり忙しいタイミングでは普通のスタッフも自然と後片付けを手伝うのだが、その必要性がない時もある為、通常時は当然一人で後片付けをする。
だが、藤田はどうしても小池に後片付けをさせたくないのだ。
そして上木もそこに参加して、小池が使用した器具などをせっせと片付ける。
こういったタイミングで、藤田に手が空いているのを見つかろうものなら酷い目に遭う。
音速で近付いて来たかと思うと
「何してるんですか!?」
「手が空いているなら今すぐ小池さんを手伝ってもらっていいですか!」
と詰め寄って来るのだ。
こちらも一瞬空いた時間を活用したく、全くもって暇ではないのだが、そういった時は仕方なく手伝わされる。
すると藤田は満足げになり、小池に褒めていただけるのをシッポを振りながら待っている。
こういった行為は、ある意味で布教活動だと思う。
その様は
「異教徒は許さぬ!」
といった感じだろうか?
この敬虔なる信者藤田は、ある意味で小池の為なら無敵だった。
もしも藤田を口腔内の細菌で例えるなら、歯周病原細菌の中の
「レッドコンプレックス」
だろう。
その中でも、ガチでヤバい、ズバ抜けて病原性が高い
「P.g.菌のⅡ型」
俗に言う
「パンチパーマ型」
ではないだろうか?
(クスッと笑ったあなたは、もしかしてDHさん??w)
それではここで…
【歯周病原細菌について知ろう♪のコーナー】
(レッドコンプレックス)
歯周病原細菌のトップに君臨する細菌。
栄養共生している3菌種。
①Porphyromonas gingivalis
P.g.菌
ポルフィロモナス・ジンジバリス
②Tannerella forsythensis
T.f.菌
タンネレラ・フォーサイセンシス
③Treponema denticola
T.d.菌
トレポネーマ・デンティコーラ
このレッドコンプレックスの中でP.g.菌は、歯周病にとってもっとも病原性の高い細菌だ。
むし歯や歯周病が全身疾患に関与していることは広く知られるようになってきた。
脳出血を引き起こしたり、糖尿病を悪化させたり、敗血症になり非常に重篤な状態に陥るケースもある。
たかがむし歯や歯周病だからと放置をした結果、運悪く命を落とされる方がおられるのも事実だ。
また、P.g.菌は内毒素を持ち、ジンジパインと呼ばれる蛋白質分解酵素を産生するが、このジンジパインはアルツハイマー型認知症の悪化に関与する原因因子であることも明らかになっている。
前述した歯周病原細菌以外にも、オレンジコンプレックス(レッドの下の階級)に属する
Prevotella intermedia
P.i.菌
プレボテラ・インターメディア
や、地味に活躍しているタイプの
Aggregatibacter actinomycetemcomitans
A.a.菌
アグリゲイティバクター・アクチノマイセテムコミタンス
などの歯周病原細菌がいる。
他にも沢山の種類がいるので、ぜひ検索してみて欲しい☆
(P.gingivalis菌の線毛の型による分類)
P.g.菌の外側には、タンパク質が結合してできた繊維状の構造が存在し、それを線毛と呼ぶ。
その線毛にはf imAとMfalという2種類が存在し、そのうちf imA線毛のタンパク質には6つの型が存在する。
Ⅰ 型:直毛型
Ⅰb型:束毛型
Ⅱ 型:パンチパーマ型 ← 藤田w
Ⅲ 型:剛毛型
Ⅳ 型:スキンヘッド型
Ⅴ 型:うぶ毛型
線毛の型別の歯周病発症リスクは
Ⅱ ≫ Ⅳ > Ⅰb > Ⅲ > Ⅴ > Ⅰ
の順にこのようになっている。
Ⅱ型であるパンチパーマ型がズバ抜けて病原性が高いことがわかっている。
P.g.菌のⅡ型は正常者にも2%程度認められる。
歯周病患者では約60%に存在し、その中でも重度歯周病患者においては90%以上に存在する。
では本題に戻ろう。
みなさんにもほんの少し学んでいただいた通り、この
「パンチパーマ藤田」
は強烈なのだ。
その病原性の高さから、院長ですら近付くのを嫌がることがある。
教祖様小池の為なら、自らの犠牲も厭わないその一貫した姿勢には恐怖すら覚える。
まさにレッドコンプレックスの頂点!
私は小池の子分たちが大嫌いではあったが、この藤田だけは仕事に関する部分においては頑張っていることを知っていた。
それは、小池の為に倍以上働いても、疲れたなどの愚痴は一切こぼさず、代わりに入った処置もきちんと責任感を持って丁寧に取り組んでいたからだ。
手抜きは一切なかった。
藤田の持つ能力を最大限発揮して患者さんと向き合っていた。
だからこそ、小池の手先になり、汚れ役を引き受ける藤田を残念に思った。
そして、優しい一面も知っていた。
同僚の歯科衛生士が妊娠初期で悪阻が酷くフラついていた時、それを見兼ねた藤田が
「大丈夫ですか?!藤田が代わりに行きますよ?」
と声掛けをしていたのを偶然見掛けたことがあった。
また、妊娠後期でお腹が大きくなってきて動くのが大変そうなその姿を見つけて
「藤田がやるんで!座ってできる作業をして下さい!」
と言い、優しく愛おしそうにお腹を撫でながら
「藤田を覚えているんだよ~♪」
と言ったそうだ。
その時は本当に助かったとその本人から聞いたこともあった。
思いやりもあり、きちんと目配りや気配りのできる子なのだ。
きっと藤田は、ただただこのクリニックでの生き方、自分のあり方が分からなかっただけで、根は優しい子であったと今でも思うことはある。
だが逆に、忘れられないほどイヤな気持ちになったことも沢山あった。
主任として全体に出した指示に藤田が従ってくれず、わざと逆のことをして院長を怒らせた。
その結果、私に全責任があるとして裏に呼ばれ、院長から恫喝を受ける引き金になったりした。
ミーティング中も小池の代わりに不必要に逆の意見を出してきて、わざと進行を妨げられた。
その日のうちに全体で決定しなければならない内容であったにも拘らず、それを知った上で藤田一人が反対をして、そこに小池たちが便乗する形でゴネられたこともあった。
藤田は直接的に幾度となく私の主任としての業務を妨害し、小池の指示の下、院長に怒られるのも覚悟の上で様々なことを仕掛けてきた。
その度に私は院長から個室に呼び出され
「主任としての君の能力不足だから!」
「あまりにも酷いなら主任手当カットだからな?!」
(ケチなので、当初の主任手当は3千円だったwww)
と怒鳴り、不当な給与の未払いをちらつかせた。
こちらの言い分は全く聞いてもらえず、一方的に院長に責めたてられた。
その上、他のスタッフも小池からの報復を恐れていたのか見て見ぬふりをし、全く擁護してはもらえなかった。
それでも時々見兼ねた笠原さんが、何となく全体の流れを良い方向へ修正してくれたことはあったのだが、みんな小池の顔色を窺っていて、味方をしてくれることはなかった。
本当にツラい日々だった。
私のせいではないのに小池を不機嫌にさせたとして、わざと藤田にぶつかられたり時には足を踏まれたり、そんな嫌がらせを受ける度に私のライフゲージは削られていった。
後にある病気を発症したのだが、それもこの藤田からの衝撃が悪影響を及ぼしていたのではないかと思えるほどに、ジワジワとボディーブローのように効いていった。
パンチパーマ藤田をヤられる前にヤらなければ…。
そんな風に思う夢をよく見ていた。
私はこの頃からずっと、心の奥底ではそう思っていたのかもしれない。
目標でも計画でもなく、いつか予定に変えて実行しなければ…と。
いつも自分を励ます時、こんなことを心の中で思っていた。
「逆境に負けない華になれ!」
無下に踏み潰されても、根を張ったその場所で頑張って咲き続けたら、必ず見ていてくれる人はいるのだと…そう信じて。
藤田にも実際のモデルがおります。
こんな感じで挑戦的・好戦的な方でした(笑)
全く以て後輩とは思えませんでしたwww




