1日目『夜①』
満天の星。
少し小高い丘から眼科を見下ろすと、闇。
そこに人工的な明かりは全く見当たらない。
唯一の明かりは俺の愛車、キャンピングカーから漏れる薄明かりと、この焚き火だけ。
折り畳み式のアウトドアチェアーにもたれ掛かり、冷めてしまったコーヒーを口に運ぶ。
少し酸味があるが、俺好みの苦味の強い味。
その味覚が、ここは現実だぞと、俺を畳み掛けてくる。
おかしい。
どうしてこうなった。
何度考えても、思い出しても、答えは出てこない。
朝、俺はいつものようにキャンピングカーで目を覚ました。真冬で時期外れということもあり、このキャンプ場のにはほとんど人はいなかった。
誰とも関わることなく、俺は次の目的地を目指す。
地図を開き、道沿いに人差し指を這わせていく。
ここ。
車でのんびり走って、途中で休憩いれても10時間ほどでつく高台。
ここは、キャンピングカーで車中泊しても問題ない場所だったし、この時期なら誰もいないと思ったのだ。
休みながら11時間ほどで、目的の場所へ着く。
眼下には木々が広がるも、遠くの方では民家もちらほら見える。そんな場所だった。
現時刻は15:30。
この運転に腰が悲鳴をあげた俺はちょっとばかり仮眠をとろうと、キャンピングカーの中にあるベッドソファーに寝転んだ。
そして2時間ほどして目を覚ますと、辺りは闇一色だった。
急いで車内の電気をつけ、車から外に出る。
そこには変わらない、闇。
遠くに見えたはずの民間は、人が住んでいなかったのだろうか。いや、そんなはずはない。
運転中に歩く村人や、畑で何かの作業をしている老人を幾人も見たのだから。
時刻も16:25と、冬だとしても民間全ての灯りが消えるのも早すぎる。
何より、空。
満天の星は理解できる。
周りに灯りがないのだから、その分星が輝くのはわかる。
しかし、あの月はない。
もたれ掛かったチェアーから、上空を見上げると、そこには生まれて初めて拝む緑色の月が、あったのだから。
よろしくお願いいたします。




