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#002「カウント63」

――そして2021年、あの惨劇から8年。

今や学校の授業で習うようなものになっていた。試験に出るから、とノートを取る彼らにとって、それはただの退屈な日常の一コマに過ぎない。

しかし、この世界では、どれだけ簡単に日常が崩れ去っていくのか、彼らはまだ知らない。

「おーい、あれんー」授業が終わり、騒がしくなってきた教室の中で一人の男子生徒が話しかけてくる。ここは千心(せんしん)県顧湖(こうみ)市にある美坂(みさか)高校。今話しかけてきたのは、俺、大塚(おおつか)亜蓮(あれん)の親友である岩瀬(いわせ)真宙(まひろ)だ。

「どうした?」

「次、移動教室だろ?一緒に行こうぜ」真宙が頭の後ろで手を組みながら言う。

二人で教室を出て右に廊下を歩く。窓から見える外は晴天だが、今日の天気予報は午後から雨だったはず。

「あ、そうだ、まひろ傘持ってきた?」

「え?持ってきてない。今日って雨降るん?」

「午後からな」

いつもと変わりなく他愛もない話を続けていた時。

「?」

「どうした?」不思議そうな顔をする真宙に問いかける。

「いや、なんか今揺れなかった?勘違――」

ドォォ――ン!!!!

地面が大きく揺れた。

「うわ!?」真宙が大きくバランスを崩す。

直後、ウィンウィンという警報音が耳をつんざいた。

『死呪です!カウント63!!顧湖市で死呪の発生が確認されました!住民の皆様は、ただちに近隣の地下シェルター、または建物内へ避難してください。

重ねて通知します!カウント63!顧湖市で死呪の発生が確認されました!屋外に出ている方は極めて危険です。速やかに退避してください!』

廊下のあちこちから生徒たちの悲鳴が聞こえる。

真宙の手を掴む、「真宙!走れるか!?シェルター行くぞ!」

「あ、ああ!」

死呪は一時間に推定何人を殺すことができるかで強さを推し量る、カウントというものがある。警報がなりシェルターに避難する、こんな状況は今までも何回かあった。だが、

「カウント63……嘘だろ、カウントが60を超えるのはあのALPHAのとき以来だぞ」

「ちょっ待てよ!じゃあカウント63って、ALPHAと同レベルじゃねえか!!」真宙が事の大きさに気づき、焦り取り乱し始める。

壁を曲がるとそこは、天井のコンクリートが崩落していて通ることができず、迂回するしかなくなった。

「クソッ!他の生徒たちとはぐれてちまった矢先にこれかよ!」

「お、おちつけ相棒!大丈夫だ!俺達なら切り抜けられる!そうだろう!?」息を切らしながら真宙は自分に言い聞かせるように叫んだ。

「…そうだな」深呼吸をする。現在地は第二校舎二階の空き部屋付近…シェルターの位置は第一校舎職員室のとなり、第二校舎一階に行く階段が天井のコンクリートが崩落していて通れない、ならこのまま第二校舎二階の連絡通路を通って、第一校舎二階へ向かうしかない。

「よし、第一校舎二階に向かおう」

真宙が頷く。二人はシェルターに向かって走った。

耳をつんざく警報音の中、俺たちは必死に廊下を走っていると、前方の壁がボロボロと黒い砂になって崩れた。

「___は?」

思考が止まった。コンクリートが崩れ、奥から人型の何かがこちらを見つめていた。

「__死呪」

理解が追いつき、そう口にした瞬間。

「ゴフッ」

血だ、口から血が溢れた。

下を向く。

腹の真ん中を死呪の腕が貫いていた。

視界がかすれていく。

体の内側が破壊されていくのが分かった。おそらくこの死呪の能力であろう。

死呪がゆっくりと貫いた腹から腕を抜く。

貫かれた腹の付近からボロボロと黒くなり、崩れていった。

熱い。痛みを感じられない。その場に倒れ、意識が遠のく。

かすれた視界に、死呪に首を掴まれた真宙が映る。

「ま……ひ…………」声を振り絞る。

真宙の抗う声が聞こえる。

直後、

グチャ

嫌な音が鳴る。

真宙は死呪の圧倒的な握力で肉と骨が、千切れるようにして頭部と胴体が分断された。

ドサリ、と真宙の身体が床に崩れ落ちる。

さっきまで、どうでもいい話をして笑い合っていたのに、両親も、友達もいない俺にとっての親友であり信頼できる相棒は、圧倒的で理不尽な力に一瞬で。もう二度と動かぬ肉塊に変えられてしまった。

死呪がゆっくりと近づき倒れた俺を見下ろしている。

直感的に分かった。死ぬ。それは理解できた。

人間は生まれたのであれば、必ずしもどこかで死ぬことがある。

だが、親友を殺した死呪に殺されることを受け入れることはできなかった。

流れた真宙の血が指に触れる。

俺から両親を奪った次は、唯一の親友まで奪うのか。

消えかける意識の中、絶望を上書きするほどの、後悔、殺意、怒りに満ちる。

「殺す」

意識が途絶えた――――――





ガバッ、と勢いよく上半身を起こす。

死呪がいた。

ただし、もう動いてはいなかった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。コメント欄に感想などを書き込んでいただけると、とてつもなく私のモチベーションが上がります。あと、めちゃくちゃテンション上がります笑。

初めての小説作品なので、読んでいて「ん?」と不可解に思う所があるかもしれませんが、初心者なりに頑張っていくので、どうぞよろしくお願いいたします。

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