不穏-2
本拠地の建物に入ったレギウスは、レオルンドを探す。彼はすぐに見つかった。レギウスが呼び止める。
「レオルンド!聞きたいことがある!至急だ!」
レオルンドが少し嫌そうな顔をしながら、答える。
「先ほども言いましたが、今は忙しいのです。後では駄目でしょうか?」
レギウスが言う。
「それだ!何がそんなに忙しいんだ?」
レオルンドが言い淀んだ様子で、答える。
「説明が、難しいのです。少なくとも、レギウス様たちにご迷惑をお掛けする話にはならない、はずです……」
レギウスが追及する。
「格納庫を見て来た。それに、それ以外の情報を踏まえると、どう考えても戦争準備だ。これで迷惑を掛けないわけがないだろう!」
レオルンドが困ったようにレギウスに言う。
「申し訳ござらんが、私からレギウス殿に説明することが出来ません。言えるのは、ここまでです……」
レギウスがそれを聞いて、確信した。ザルツが極秘で何かをしようとしている。レギウスがさらに言う。
「これだけの兵力を動員して、極秘になんて出来ないだろう。ザルツは一体、何を考えている?」
レオルンドが、疲れた様子で、それに答える。
「おっしゃりたいことは分かります。でも、本当に、説明が難しいのです。その時が来たら、理解できると、思います……。ですから、これ以上は、御勘弁を……」
レギウスは、これ以上レオルンドを問い詰めても無駄だと分かった。レギウスがレオルンドに言う。
「分かった、ザルツに直接聞く!アイツは今、どこに居る?」
それにレオルンドが答える。
「ザルツ殿が今どこに居るのかは、私も知りません。ザルツ殿は、私よりも、もっと忙しい。レギウス様とて、会うのは難しいかもしれません」
そう言うと、レオルンドは話を打ち切って、足早にその場を去った。レギウスの謎は、全く解消されなかった。
レギウスが、本拠地の建物から出て来た。レギウスにルーカス近づいて、聞く。
「どうでしたか?」
レギウスが、首を振ってこたえる。
「分からなかった。ただ、ザルツが何かを企んでいる事だけは確からしい」
ルーカスがザルツの顔を思い浮かべる。ザルツはドラゴンに拘っていたが、もうドラゴンは脅威でも何でもない。レギウスが続ける。
「もう、これ以上は調べようがない。だが、もうすぐ霊祭だ。ザルツの事だ。何かを仕出かすなら、きっと霊祭で何かをするはずだ」
霊祭当日が来た。久しぶりの霊祭で、人が賑わっている。出店が並んでいて、レムル達は楽しんでいる。レギウスとルーカスは、神殿の近くまで来た。
以前の霊祭では神殿は公開されていたが、今年からは入れないようになったらしい。墓の中で祈りを捧げたあとの、屋上で行われるクライマックスだけが観覧できるようだ。
レギウス達が空を見上げている。そこに例の巨大なドラゴンがやって来た。今回は、一騎だけのようだ。
いつものように、ドラゴンがその巨体で、ドームにとぐろを巻いていく。そしてその垂れた頭に、アエリアスが祝福を与える。その後で、頭をもたげたドラゴンが、そのまま上空に飛び立った。どこかの方向、とかではなく、ただ高度を上げて飛び上がっていく。そして地上からは小さくしか見えなくなった辺りで、ようやく方向転換をして、どっかに去っていった。
ルーカスが呟くように言う。
「一体……どういう意味なんだろう?」
レギウスが言う。
「とにかく、あの方角に行ってみよう!適当なドラゴンに乗って、追いかけてみるぞ!」
レギウスとルーカス、そしてアントニウスが黒鉄のドラゴンに乗って飛んでいる。格納庫へ向かった先にアントニウスが居たので、彼の操作でザルツを追いかけることにしたのだ。
ルーカスが言う。
「この方角は、例の建物が作られたという谷間の方です!」
レギウス達の目の前に、その谷間が見え始めた。そこには、ザルツの巨竜以外にも、多くのゴーレムが列を組んで並んでいる。例の新型のドラゴンも並んでいた。
アントニウスが目を輝かせて言う。
「凄い、凄い!こんなに並んでいるなんて!絶景だ!」
ルーカスが、部隊の後方を見て言う。
「補給部隊も揃っています。どう見ても行軍の様子なんですが、谷間からどこに向かうのでしょうか?」
レギウスが、正面を見て言う。
「あれが、ザルツが造っていたっていう建造物か?なんかすごく大きい、平べったい板みたいな感じだけど……」
全員がその板を見つめる。それは、どこか、門のようにも見えた。
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