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荒らされた花壇

学校から帰ると悲惨な光景が広がっていた。思わず目を見開いて、絶叫を抑える為に口を覆う。

ぐしゃぐしゃに乱された花々。花弁が辺り一面に散っている。足で蹂躙されたのだろう。土の上には足跡があった。

今朝まではあんなに綺麗に咲いていたのに..............。気が付いていたら駆け出していた。石畳を蹴りあげて、急いで呼び鈴を鳴らす。お願い.......出て.......貴方が育てた花が滅茶苦茶にされてる。

現れた崇島さん。でも彼も散らされた花々と同じように生気がなかった。穏やかで品のあるいつもの雰囲気はなく、あるのは仄暗い悲しげな気配だけ。体調が悪いのだろうか。思わず息を飲む。

「あ、満輝さん」

こんな状態の彼に追い打ちをかけて良いのだろうか.......。花壇にある花が滅茶苦茶にされているなんて.......。しかし、その思いは表情に出ていたのだろう。彼は自分の事を棚に上げて、心配そうに此方を見詰めてくる。

「花壇が..............」

「ん.......?」

下を向いたまま、黙って藤袴が咲き誇っていた場所を指差す。崇島さんは玄関を出て様子を見に行った。私は着いていく事が出来ない。言わない方が正解なんじゃないかって気がしてくる。でも.......何時かは必ず気付く。気付いてしまう。だから、きっと悩んでも最後にはこうしていた。

「教えてくれて有難う御座います。随分と酷い有様ですね.......」

戻ってきた彼は一際苦しそうな顔をしていた。さっきの辛さなんて序の口だとでも言うように。私はどうすれば良いのだろうか。何か励ましの言葉でも言えば良い? でもどの言葉も貴方を傷付ける事しか出来ない気がした。

此処で一番注目して欲しいのが、荒らされたのは藤袴の植えられた花壇だけという事。


崇島さんはまだ大丈夫。きっと最後の一線は絶対に超えません。

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