植え付け
「おはようございます。崇島さん」
「あら、おはようございます」
崇島さんは庭先に出て、藤袴に水をやっていた。ホースから放たれた水が光を反射してキラキラしている。近寄って見てみると、やはり可愛かった。小さな実を凝縮させたような花が風に靡いて微かに揺れる。
そう言えば。と思う。橘は植えないのだろうか。昨日植えたいと言っていたらもう準備しているのかと思ったが、鉢植えがない。チラリと崇島さんを見ると、疑問に答えるように口を開く。
「橘はまだ植え付け時期ではないので、一つは部屋の中に。庭先に植えるのは今から準備をしようかと」
そう言って、足元にある積み木のような煉瓦を指さした。そう言えば植えられているのは藤袴のみ。昨日紹介されたヤツデも植えられていない。恐らく今言ったとおり、植え付け時期ではないのだろう。
彼は藤袴の真隣から遠く離れた土を掘り返し、煉瓦を埋め込んだ。境を入れているのかも知れない。
「お手伝いしても?」
いそいそと準備をする彼に向かって声を掛けると、驚いたように目を見開いた。それから動転した気を落ち着けるように、ざんばら髪を撫でる。土の着いた手であった為、泥が僅かに付着してしまった。対応がぎこちない。迷惑だったかな.......。
「あの..............迷惑でしたら.......」
「いえ、とんでもない。ただその.......手が汚れてしまいますよ?」
自分が戸惑った反動で、人のことをからかわないのが崇島さんの良いところ。本当、良いところ!!
可愛いなぁ。




