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「佐藤くん…」


ソファに座ったままの私。

佐藤くんは床に跪く。


「俺と結婚して下さい。」


佐藤くんの目は、真っ直ぐこちらを向いていた。

サラリとした手が私の左手にのせられた。


今、私はどんな顔をしているのだろう。


佐藤くんは、はっきりと言った。

疑問形ではない、はっきりとした意思表示。


不覚にも、私は佐藤くんの顔に見惚れてしまった。

白い肌のキレイな人。

この人が私のものになる…。

もう、ひとりでいなくてもいいんだ。


「はい。」


泣くかと思った。

でも、すごくうれしかった。

うれし過ぎて、ひとことしか言えなかった。

きっと今、わたしはすごく笑顔だ。

こんなに口角を上げたことなんて、なかった。


佐藤くんの手が私の左手を取る。

薬指にはめられて行く指輪。

するすると指をすべり、はめられた。

ぴったりと薬指におさまり、小さな石が大きさ以上に輝いて見えた。


「…サイズ。何で知ってるの?」

「最初から決めていたんだ。」


最初から??


「のんちゃんとずっと一緒にいようって。だから指輪のサイズなんて、ずっと前に確認済みだよ。本当はクリスマスにプロポーズする予定だったんだけどね。」

「私、全然気付かなかった…。」


ずっと、私は何を見てきたんだろう。

卑屈になって、目も耳も半分塞いでいたのかもしれない。

傷つかないように、期待しないように。


「でも、それエンゲージリングだから。」

「うん。」

「今度は2人で選びに行こうね。」

「ん??」


佐藤くんは自分の左手を指差した。


「俺、約束だけじゃ満足しないから。エンゲージは約束でしょ。ちゃんと結婚指輪欲しいじゃん。」


笑顔の佐藤くん。

誰よりも優しい…。


「ありがとう!」


佐藤くんに抱きついた。

もうこの手は離さない。


「のんちゃん。俺たちもう、ひとりじゃないんだよ!3人になるんだよ!ありがとう。のんちゃん。俺、ずっと大切にするから…。」


背中に回された手、こんなに強く抱きしめられたのは初めてだ。

妊娠がわかってから、すごく不安だった。

否定されたら…。

そう思うと相談すらできなかった。

最悪の事ばかり考えて、ひとりで何もかも決めて…。


『佐藤くんはそんな人じゃない。』

そんな思いに目をつぶって。


大切な事は、もっと簡単で。


もう、疑うのはやめよう。

過ぎた日に縛られるのはやめよう。


「佐藤くん。キスしていい?私、今なんだかとっても幸せなの。」

「もちろん。」


佐藤くんは優しい。


優しくて・・・甘い。


完結しました。

「ひとりっ子の話を書こう」と、勢いだけで書き上げた初めての小説です。

そのうち見直していこうと思ってます。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

感想を頂けたらすごくうれしいです。

次はまた違う話を書きますので、よかったら読んでください。

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