災害
「よし。何とかセーフだった。」
「半分アウトだけどな。」
長い沈黙。乗組員は少し冷静になった。
「一体俺達に何が起こってんだ?」
「謎のラジオ放送、演説、死んだはずのナポレオン。」
今まで起きたことを振り返ると改めて謎だった。
「まさか……タイムスリップ?」
ナカムラがそう言うと、二人の顔は濁った。
「おいおい、撃たれてイカれちまったのか?そんなの、映画の世界だろ。」
アレックスはナカムラの考えに否定的だった。エドワードも口を開いた。
「でも……ナカムラが言ってることが本当なら、ナポレオンがいたことも……」
「おいおい頼むよエドワード!お前までイカれちまったのかよ!」
エドワードの表情は歪まなかった。
「アレックス、お前もよく考えてみろ。あのラジオの正体もあの黒人が誰なのかもわからないから何とも言えない。だが、ナポレオンがいただろう?あれは明らかに演劇なんかじゃねえ。普通演劇で客を撃つか?」
アレックスは苛立ち始めていた。
「するとなんだ?あの機械が時間を巻き戻しているとでも?」
「わからないが……そんなとこだろう。」
しばらく三人を沈黙が襲った。
ナカムラが沈黙を破った。
「今考えるべきなのは、こんなことがあり得るのかではなく、どうやって元の時代に戻るか、そして今どこの時代の何処にいるのかを突き止めることだ。」
するとアレックスが言った。
「帰り方なんてないだろ。きっと俺たちは死ぬまでこれを繰り返すんだ…」
客観的なアレックスと反対に楽観的なエドワードが口を開いた。
「ここに来たということは、必ず帰る方法もあるはずだ。」
「わかったよ…。じゃあ今どこいるか考えるか。」
三人が今立っている場所は少し低い山の上で、枯れた針葉樹が広がっていた。気温も低い。男たちが辺りを見渡していた。奥の方にはかなり近代的な町並みが広がっていた。その時、とても奇妙で、恐怖を覚えるようなサイレンが鳴り響いた。
「な、なんだこの音!?」
「世界が終わるのか?」
その音が鳴り終わった後、ナカムラが喋りだした。
「!?」
「どうしたナカムラ?」
「日本語だ……」
「日本語!?なんて言ってる!?」
ナカムラの顔はかなり動揺しているようだった。
「大津波警報………。」
「津波!?」
数分後、数人の人が男たちのいる山へと登ってきた。その人たちの目は恐怖に染まっていた。町からは煙があがっていた。茶黒い波は走る消防車や逃げ惑う老人、家々を飲み込んでいった。その光景はまさに地獄絵図だった。三人は言葉を失い、立ち尽くしていた。そんな時、あの閃光が三人を包んだ。




