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緋の扉  作者: 緋龍
彼女、あるいは彼等のそれなりに通常ではない日常
31/61

余話  彼の日常が通常ではなくなった事情

ダレスさん視点で過去を振り返ってます。読まなくても全く支障はないです。読むと彼のイメージが…あははは(滝汗

 彼女を初めて近くで見たのは、俺が第三騎士団団長になったときだった。




 一騎士であったときも、何度か遠目には見たことがあったが、その時は彼女が仕えているフェリシア様に意識を向けていたので、特に気にしたことはなかった。




 だが、団長の任命式で間近に見たとき、俺はその存在に目を奪われた。同じく間近にいたフェリシア様の黄金に光り煌めく美しさよりも、彼女の後ろにそっと控える白銀に淡く輝く月光のような存在にどうしようもなく心惹かれたのだ。


 俺はひどく動揺したが、幼少のころより、無表情、何考えてるのか分からない、怖いなどと言われ続けてきた顔のおかげで、誰にも気づかれることはなかった。この時だけは表情が顔に出ないことを神に感謝した。



 彼女のことを知りたいと思ったが、どうすればいいのかわからなかった。彼女の名前と、フェリシア様専属侍女ということは知っているが、それだけだ。俺に、ヴォードやグレアスのような社交性があれば話は違うのだろうが…。


 そんなもやもやとした気持ちを抱えながら、無情にも月日は過ぎていく。その間、騎士相手の訓練で多少の憂さを晴らしたりはしたが、一時的なものでしかなかった。



 稀に彼女を遠目に見ることはあったが、それだけで満足できるわけもなく、どうにか接触することはできないかと、色々考えていると、ある日陛下が俺の執務室に来られた。突然のことで、さすがに少し動揺したが、陛下は気にする様子もなく俺に話しかけられた。


 「突然訪ねてすまぬ。しかし公の場で話すわけにもいかなくてな…。最近城下で悪事を働く騎士の噂が広がっていると耳にした」


 「はい。私も聞き及んでおります」


 その噂は俺も耳にしていた。真実なら二度と日の目を拝めぬようにしてやると思っていたところだ。


 「騎士では城下で身動きがとり難いだろうと思うてな。ある人物に内密に調査を依頼した。報告をお前にするよう言ってある。いつどこで誰に話かけられても驚くでないぞ」


 「承知致しました」


 「あれは優秀だからな。すぐに結果を出すであろう。報告を受けた後の対処はお前に任せる」


 頼んだぞ、そう言い残して陛下は部屋を後にされた。


 おそらく陛下が直々にここに来られたのは、調査を頼んだ人物のことを公にしたくなかったからなのだろう。その人物のことを俺に明かしたということは、陛下に信用されてると思っていいのだろう。


 信用に応えるべく俺は、噂について調べたりしながら、夜遅くまで起きていた。


 そろそろ終わりにしようかと思って机の上の書類を整理していると、そっと扉を叩く音がした。


 こんな時間に人が訪ねてくるなど、普段ならあり得ないことだったが、昼間陛下に言われたことを思い出し、多少警戒しながら声を出した。


 「誰だ」


 「夜分遅くに申し訳ございません。陛下よりご依頼を賜った件で、取り急ぎご報告がございます」


 外から落ち着いた声が返ってくる。女のようだ、と思いながら俺は中へ促した。


 ところが意外にも入ってきたのは黒髪の綺麗な顔をした男だった。初めて見る顔だったが、前にどこかで…としばらく記憶を探りながら彼を見ていると、彼が詫びながら一礼をした。その姿を見て彼女だと気がつき、俺は驚愕した。まさか、彼女が現れるとは…!


 それからのことは正直よく覚えていない。彼女の報告を受けて、子爵の屋敷に行ったような気もするが…まあどうでもいいことだ。



 

 彼女ともっと話したいがために、陛下に無理なお願いをしたところ、彼女が俺の従者となった。部下をノディークに送ることになってしまったが…死にはしないだろう。


 従者としてのため、彼女はずっと男装していたがそれでも俺は満足だった。気分が高揚しすぎて、彼女に戦いを挑んでしまったが、戦う姿も綺麗で、そして強かった。俺の攻撃を完璧に防ぎきる人間などそうはいないだろう。ますます彼女のことが好きになった。


 

 訓練で原初の森に行くと言った時はさすがに驚いたが、フェリシア様の傍に地の民殿がいるのを思い出し許可することにした。


 城下で彼女が俺のために、菓子を買ってきてくれたのは本当に嬉しかった。フレイエが二人だけのお茶の時間を邪魔しようとしたのを、思わず睨んでしまったのも仕方のないことだと思う。あの菓子は美味かったので、また買ってきてほしいと言いたかったのだが、結局口にすることはできなかった。




 彼女が城下から戻らなかったときは心配ですぐにでも城下に向かいたかった。フレイエたちの手前、なんとか自制したが。


 戻った彼女は遅れた理由をけして話してはくれなかった。俺は信用されてないのだろうか。彼女に相応しい男になるためにはどうすればいいのだろう。


 ノディークに送る騎士も決まり、彼女は役目を終えてフェリシア様のもとへ戻っていった。


 次に話せるのはいつだろう、そんなことを考えながら今日も俺は騎士を相手に剣を振るう。   

ヴォードさんとグレアスさんは第一と第二の騎士団長です。


第三騎士の方々は日々苦労しているのです・・・。

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