2話 能力数値
評価、ブクマが付いたら続きを書こうと思います。
僕の儀式が終わった後に神官のノギスさんから成人の義務として、
神様に背く行為、殺人や盗み、人を騙したり貶めたりすることの無いように、と。
その後あれこれと注意事項などの教えを受けてから
そして未来ある君たちに祝福あれ、と締め括り行事は幕を閉じた。
一通り成人の儀を終えた同じ年、同じ季節に生まれたビーターを除く9人は教会を出て全員がそれぞれの思いで気になっていることを確認し合うことになった。
こういう時はまずはヘラケラが決まって流れを作る。
「みんな成人の儀お疲れー!とりあえずこれから大人の一員としてよろしっく!
それで・・・みんなは恩恵貰えた?」
「俺は当然恩恵を貰えたぞ!」
自慢げに言葉を大にして話すのはガキ大将のジャングだ。
「やっぱジャングはすごいね!オレは貰えなかったから羨ましいよ」
ネオスはどうやらスキルの獲得はなかったようだ。
「あたしが恩恵を貰ってないんだからレイも貰ってないわよね?」
「うん、私が貰ってないんだからライが貰えてるはずはないわ」
「そう、残念ね」
「うん、残念・・・」
ライとレイは相変わらず仲がいいのか悪いのか、不思議な会話で確認し合っている。
口ぶりからすると二人も恩恵無しみたいだ。
「私は恩恵を頂くことが出来たわ」
アネットは自分が貰えたことが当たり前のように淡々と発言する。
「実は自分も貰えたんだよねー」
ヘラケラもそれに続く。
「私は貰えなかったみたい、ポーツはどうだったの?」
マルルが僕に流れで聞いてくれた。
でもマルルが貰えてないのに恩恵を貰えたって言うのは少し憚られる思いがして言い淀む。
「えっと・・・貰えた・・・のかな?」
「やったねポーツ!」
自信なさげに答えたがマルルは僕が恩恵を貰えたことを素直に喜んで賛辞をくれた。
スキルを貰えなかった人もいるので簡単な確認だけをして解散することになった。
結果的にはジャング、アネット、ヘラケラ、僕の4人が恩恵を受けることが出来た。
ここに居ないビーターに聞くことは出来なかったけど去っていく時の表情を見た限り恐らくスキルを貰えたと予想している。
村長から5人に1人で恩恵を授かると聞いていたことを思えばかなり運のいい世代なんだと思う。
帰り道、マルルはそわそわしながら横を歩いている。
「どうしたのマルル?」
「えっと、ね。スキルのことはあまり詮索しないようにってノギスさんが言ってたんだけど、
ポーツはどんなスキルを貰えたのかなって・・・」
「ああ、そりゃ気になるよね?僕が貰ったスキルは『算術』っていうみたいだよ」
ノギスさんからは詮索するな、そして安易に教えるなと言われていたが、
簡単に答えてくる僕に対して驚いた後すぐに申し訳なさそうな顔をする。
「ごめん、聞いちゃって。でも算術?って聞いたこともないね」
「うん、どんなスキルなのかも想像つかなくてさ。まぁ、二人だけの秘密にしておいてね」
「二人だけの秘密・・・」
僕の言葉を繰り返して嬉しそうな顔をするマルルは少しだけ頬を紅潮させた。
マルルの家に送り届け、少し歩いたところにある自宅に戻ると両親が家の外で待ってくれていた。
「「おかえりポーツ!」」
「ただいま!恩恵貰うことができたよ」
成人の儀の報告を簡単に済ませると「おめでとう!」と喜んでくれて家の中に入った。
初めてのお酒と普段食べられないようなご馳走がテーブルの上に並んでいた。
お酒は成人になるまでは禁止されているから今日が解禁日だ。
初めてのお酒、エールを飲んでみると、
「うげぇ、苦いねこれ」
そのリアクションを見て父さんは笑った。
「いいかポーツ、エールは飲むんじゃない、流すんだ!」
そういってエールの入ったグラスを口につけて大きく傾ける。
ごくっごくっと喉を鳴らして体内に流していく。
父さんが謎の名言を教えてくれたので見様見真似で僕もグラスを傾ける。
ごくっごくっ。
「ぷはっ!とうさん、喉がヒリヒリ冷たくって苦さも気にならないよ!」
「そうだろう?これがエールの飲み方だ!わっはっは」
「ポーツ、ご馳走も沢山食べてね」
母さんが皿に取ってくれた骨付き肉や具沢山シチュー、柔らかいパンを頬張りお腹いっぱいになるまでご馳走を堪能した。
食事を終え、食器を片付けると家族3人でテーブルに座って改まって話を始めた。
「ポーツ、お前が恩恵を貰えたことは素晴らしいことだ。おめでとう。
それで、これからどうしたい?」
それは大人になった僕に対しての対等な質問だ。
両親であっても簡単にスキルを教えることはしてはいけないとノギスさんに言われているし、
それを常識として知っている父さんも母さんも安易に聞いてはこない。
「僕は・・・自分のスキルがまだどんなものか分からないんだ。
だからすぐにどんな職業に就けばいいかも迷ってる」
自分の素直な思いを告げた。
恩恵で貰えるスキルで聞いたことがあるのは、剣術やそれぞれの魔法、鍛冶とか大工なんてものもあるらしい。
珍しいけど有名なのだと勇者とか賢者といった称号を貰えることもあるって村長は言ってた。
そんな中『算術』ってのは良く分からない。
「そうか。どんなスキルを貰えたのかは聞かないが、冬の節までには決めな。それまでは面倒みてやるからな」
父さんの厳しい言葉を胸に受け止める。
成人するということは大人として自分で稼いでいかなければならない。
季節毎に領主に払う税金だって発生するから親にずっと面倒見てもらうわけにもいかない。
父さんは村の警護隊として活動して僕らを養ってくれている。
その傍らで母さんと一緒に農業もやってるし、それでなんとか多少の蓄えがある程度だ。
決して裕福な家庭とは言えない。
それなのに1節分の税金を代わりに払うと言ってくれているのだ。
「父さん、なるべく早く決めるね」
「おう、それでも決まらないんだったら一緒に警護隊で働けるように頼んでやるよ」
「畑の手伝いもしてくれると助かるわ」
「うん、今まで通り畑も手伝うよ」
特別な1日を過ごし、両親とこれからについて語り、いろいろなことを考えながらベッドの中で目を閉じる。
『算術』ってどんなスキルなんだろう?
そう頭の中で考えていると、真っ暗な部屋で目を閉じているのに何かが視界に浮かぶ。
目を閉じているはずなのに見えているという不思議な状態だ。
目を開けてもそれは動かずに目の前にある。
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☆ポーツ
LV1
基礎体力 10
身体筋力 8
保有魔力 5
精神知力 6
天運気力 12
創造器量 7
スキル:算術LV1
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なんだこれは・・・僕の能力が数値化されている?
僕の名前があるしスキルが表示されているから恐らくそうなのだと思う。
これが算術スキルの能力なのかな?
目の前に映る能力数値をじっと見つめ続けているうちにいつの間にか眠りについてしまった。




