世界の終焉と新世紀
「人間の歴史は戦争の歴史」という言葉がある、
この言葉からも分かる様に人間は事あるごとに戦争で物事を終結させてきた。
そして、世界が終焉する世紀末でもやはり戦争で終結させたのであった。
人間はこれまで小規模な国内の紛争や宗教戦争から大規模な世界大戦まで様々な争いを繰り返して来たがその度に復活してきたのだ。
だが、世界に終焉を齎した最終戦争ではそうも行かなかった
ついに残念なことに、もしくは嬉しいことに”世界は完全に滅亡した。”
の...はずだったのだが、人間はこれまでと同じく復活した。
ただ復活といっても今までの人類が再繁栄する訳ではなく本当の復活.... つまり蘇りだった。
ついでに最終戦争で汚れた大地や海までもが浄化され全てが新しくなっていた、
これを見て人類は驚き慄いた そして大きな疑問を持った、「誰がこんな事をしたのだろう」
「何がこんな事をしたのだろう」と。
人類は科学とテクノロジーに囲まれて生きていたので殆どの人は科学的に考え、あらゆる理論を使って解明しようとした。
だが少数の人々は「これは神の御業だ、主なる神にしか成せない事だ」と言った。
そういったのは現在に蘇った中世ヨーロッパ生まれの昔の人だった。
正にそれが真実という事を認めざるを得ない事が起こった、天に穴が開き一瞬の光の後に主なる神の化身である天の使徒..つまり天使が舞い降りた。その天使は息を飲むほど美しく、老若男女すべての人間がその美しさに魅了された。
天使はゆっくりと口を開き「あなた方は祝福されました、あなた方に従来の様な罪はありません。
人よ不安を捨て安心なさい、全てを主なる神に委ねなさい、主なる神の慈愛によってあなた方は救われたのですから」と言った。
人々は感嘆し、歓喜し、畏怖した
これを境に全ての人間は神への信仰を取り戻した。
それから数百年がたった頃、
新人類の活動の中心地は「エルサレム王国」といわれる最も主なる神に近い場所になっていた、そこから兄弟国のサクリエス王国が誕生し、新人類は徐々に活動地域を拡大していった。
特にサクリエス王国では国益の為に聖術と呼ばれる技術を扱える人間、聖術師を多く産出していた。
そのサクリエス王国の王都から東へ93マイルの地点に聖術師を育成する学園や学院が立ち並んだ「学術都市」
がある。
そして学術都市第三地区にある「王立聖ヨハネ学院」に通う二年生のマリア=ヨハネスは今日も聖堂でお祈りをしていた。
「主なる神よ、今日も穏やかに過ごす事が出来ました.. 明日も私に栄光と幸福を齎してください」
日課の祈りを終えたマリアは聖堂を出て寮へ帰ろうとした、その時だった。
近くに置いてある汲み置きのグラスが僅かに揺れ、グラスが台から落ちた
マリアはそれを拾おうとしてグラスが落ちた台に近づこうとしたが今度は天井に大きなヒビが入り直後に、
衝撃と共に天井が崩れ落ちた。
「...!?」
マリアはその事の重大さ気づき、すぐに飛びのいたが既に遅く崩れ落ちた天井には巻き込まれなかったものの崩れ落ちた時の衝撃で聖堂の端まで吹き飛ばされてしまった。
普段天井が崩れ落ちるなんてことはまずないし、衝撃を伴って崩れ落ちるなんてこともあり得ない
だが、もし上から重みのある何かが降って来たとすれば....
マリアはすぐに崩れ落ちた中心へ駆け寄り、覗き込んだ。
「ひ、人!?」
それは紛れもない人間に見えた、だが少し奇妙な点があった それはその人間には美しい純白の翼が生えている事だった。
「だ、大丈夫ですか? 今助けますから」
マリアは少し奇妙に思ったが迷わず助けようとした
するとその奇妙な生命体がゆっくりと体を起こし何とか自分で立とうとした、だがその生命体には槍や剣が何本も刺さっていて 体が血だらけだった。
「....ッ」
マリアは余りに無残な光景を見て言葉を失ってしまった この国では基本的に戦争が無いためこういう光景に慣れていないのも無理はない。
マリアははっとしたように槍を抜こうとしたが、その生命体は唇を震わせながら細く美しい声で
「この位自分で出来るから...」
そういったかと思うと突然倒れ、
「ごぅはぁッ」
何かを吐き出した
「血!? 大変、直ぐに手当てしないと。」
マリアは少し深呼吸をして、
「偉大なる癒しの天使ラファエルよ、我が願いを聞き入れたればこの者の血肉を癒し給う。」
瞬時に空間に複雑な円が描かれ光が謎の生命体に降り注ぎ、肉体が再生していった。
槍や剣を取り除ぎ全てが再生した後、謎の生命体は深い眠りに落ちてしまった。




