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現代で破滅したら〇〇商人に拾われたので平凡に生きていきたい  作者: 旅の恥は書き捨て
竜に食べられてしまった人の話
20/21

ある研究者の手記

同じ世界設定で書いていた違う短編を纏めてしまおうと思い、纏めています。

20██/██/██


ある家族心中事件の生き残りの少女を保護し、収容したとの報告を受けた。

エージェントの話では通報を受けた警察官が到着した時には母親・息子はすでに亡くなっており保護をした所、災害を言い当て財団の目に止まった。


少女は虐待を受けていた様で健康状態は良くなく能力の有無、危険性等の検証に私が担当になった。




20██/██/██


少女は身体・精神共に問題無く、顔合わせをする事となった。非常に美しい子供だった。

感情表現豊かそうな勝気な大きな二重の目、紫色のガラスの様な瞳、スッと通った鼻筋、小ぶりだがふっくらとした口。銀髪を腰まで伸ばし、きれいにまとめている。

接触した職員から美しいと聞かされていたが、これほどまでとは思わなかった。

これはへたなDランクの職員には接触させられないなと思った。


インタビューの記録は別ファイルにてまとめてある。


以下、抜粋する。


「こんにちは。初めまして、私は小池。あなたのお名前は?」

「…こんにちは。初めまして、私は██ ██(削除済)。あなたは小池博士っていうの?」

「えぇ。そうよ、今日からあなたの担当になるわ。よろしくね」

「よろしくお願いします」

「ふふっそんな緊張しなくてもいいわ。色々とお話しを聞かせて頂戴ね」


「あなたは地震とか天災がくるのがわかるって聞いたけど、本当に?」

「…うん。空から糸が私に繋がっていて、その糸から伝わってくるの」

「糸?」

「うん。その糸はみんなにも空から繋がっているわ。小池博士にも」

「…ふむ。今も私やほかの人に糸がついてるの?天井とかは?」

「私が今まで見た人にはみんなついていたわ。天井は透けて抜けて行ってる感じかな」

「今日はここまでにしましょうか。また話をしましょうね」


20██/██/██


その後、少女と何回かインタビューを行っているが、引っ込み思案で感情を感じさせないが、危険性も今の所感じなかった。ただ、天災に対しての予言めいたものも無かった。

今日はそのトリガーについての話を聞きたいと思った。


以下、第5回インタビューの抜粋


「今日は、預言について話を聞かせて。以前、糸から伝わってくるって言っていたけれど、今も?」

「うん、でもいまは、周りからたくさんの人が話しかけてくるみたいで、わからないわ」

「はっきりと聞こえたのは1回だけ?」

「うん。お母さんとお兄ちゃんが死んだ時、2人の糸が吸い込まれたの。その時はっきりと危険な事が起こるってわかったわ」

「…ふむ。あなたの周りで人が死ぬと、あなたの糸が強化されていくって事?」

「たぶん。その人の死に私が関係していると、私の糸に吸われてしまうと思う…」

「なるほど。今日はこれくらいにしておきましょうか」


20██/██/██


少女の能力について検証すべく、ある実験について承認がおりた。

少女がボタンを押すと、遠隔の終了予定のDクラスの職員が終了される。

財団としても特に痛手も無いため、あっけなく了承された。


以下、実験記録の抜粋


「じゃあ██ちゃん、そのボタンを押してみて」

「…小池博士」

「うん?」

「これを押したら、私は誰かを殺すのね」

「…そうね。だけど、死刑判決を受けている囚人だから気に病むことはないわ。これは実験に必要な事なの」

「……わかった」


数秒後、少女はボタンを押した。


20██/██/██


少女はその後、次々と地震や台風を言い当てて見せた。また、実験をすればするほど精度は上がっていった。私は少女の研究に夢中になっていた。少女も人形の様に従順になんでも応じた。時には少女の手によって、直接Dクラスを終了させる様な実験も行わせていった。直接少女が殺した方が、天への繋がりがより強化される様だ。あとは、我々も天に繋がっているという糸の謎がとければ…


20██/██/██


ついにやった!

少女が予言をする時、測定していたDクラスの小脳に微小な電気信号が観測された。

実験を百何と重ねて、観測出来る程になったそれはすべての観測中の10名以上のDクラス全員に見られた。

多分私にも起こっている事だろう。

これは仮説だが、我々は端末として糸と天が繋がっており、少女はそれにアクセス出来る唯一の人間という事だ。

少女が予知する時、量子コンピュータをも凌ぐ計算力で、直感的に少女に伝わり災害を予言させる。

今は予言として発現しているが、使い方によっては世界を掌握する程の途轍もない力となりえる。


まだ上には報告していない。この力を独占出来れば、私は財団のトップにもなれるだろう。


20██/██/██


私は、とんでもない過ちを犯してしまった。

あれから1年以上経ち、千以上も実験と称し、少女に人を殺させてしまった。

そして少女は怪物となった。

私はなぜ少女を御せると思っていたのか。なぜ身の丈に合わない野心を抱いてしまったのか。

この思考も少女に誘導されていたのか。考えてみれば、たかだか1端末の私にアクセスするのは不可能ではない。むしろ、容易い事だろう。


そしていま、このサイトは封鎖されている。

少女がサイト内のあらゆる人間を操り殺し合わせている。

そこに要注意団体が侵入し、収拾がつかなくなり制御不能となってしまった。

危険なオブジェクトが少ないのが唯一の救いだろう。

たぶん私ももうすぐ殺される。

死ぬ前に少女の危険性を何らかの形で残したいと思う。せめてもの罪滅ぼしになります様に。


小池




以下、録音内容の抜粋


「██ちゃん、なぜこんな事をしたの?」

「なぜ?ふふっ小池博士は面白いことを聞くね。私をこんな風にしたのはあなたよ?」

「…██ちゃんが笑った顔、初めて見るわ」

「そうだね。私はずっと外に出て世界をこの目で見て見たいと思っていたわ。そこに力を与えてくれたのは博士よ。…私、今初めて生きているって実感出来ているの」

「最初からそれが狙いだったの?」

「いいえ。あのころの私はただ状況に流されていただけ。頭の中で鳴り響く怨嗟の声に日々苛まれ、1日が1秒でも早く終わってほしくて、早く私も死んでしまいたかった」

「そう。私があなたを狂わせてしまったのね。…だったら私が終わらせるわ!」


銃声が1発響く。


「えっ?なんで、当たっているはず…」

「ふふっ私が本当にそこにいると思ったの?」

「まさか…それほど強く干渉出来るの?なんて力」

「さようなら。小池博士、あなたとのお喋り、楽しかったわ」


「…ヤマタノ」


銃声が2発響く。軽い足音が響き録音が終了する。


後日、サイトに小池博士が自死しているのを発見される。

この事件を受け、早急に番号とクラスを付与。

尚、██の殺害はどの様な影響を及ぼすか未知数な為、いかなる理由をもってしても承認されない。

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