1.
これからよろしくお願いします
ああ、私は死んだのか…
死因は何だったかな
ああ、そうだいきなり通り魔に刺されたのだった
仕事に行っている途中だったのに
あの女はしっかり捕まったのだろうか
死んでしまった私には関係ないことか
其れにしても何故こんなにも怠いのだろう
私は死んだのではなかったのか
しかも誰かの声が聞こえる気がする
聞き覚えのない子供の声だ
まぁ、どうでもいい
今はゆっくり眠っていたい
「…き……て…」
うるさいな
私はゆっくり眠っていたいんだ
「起きてよ。シアトル、ねえ」
誰だこいつは
何で涙声で私を起こそうとしているんだ?
「誰だ、お前は…私を起こそうとしないでくれ」
「…シアトル?」
「というかシアトルとは誰のことだ?私の名は白鳥 玲だ。お前は?」
そういうと目の前の子供は大声で泣き出してしまった
「何故泣く?」
「う、ひっく、うぅごめ…ごめん。ごめんシアトルぅ」
意味がわからない
結局シアトルとは誰だ?
もしかして私のことか…?
自分の身体を見ると
?小さい?
私は殺される前は180と少しあったと思うんだが
今は100前後だ
5歳くらいだろうか
「…スクラ様いかがなさいました?シアトル様の目がお覚めになられましたか?」
いきなりドアの外から女性の声が聞こえてきた
今度はいったい誰だ?
「失礼します」
女性は中に入って来るとまず泣いている子供を見て私の方を見た
「シアトル様、お体は痛みませんか?」
と手を私の方へと伸ばしてくる
あと少しで私に触れる
私はその瞬間刺されたときの事を思い出してしまいその手を思いきり払った
「っ、私に触るな!」
女性はとても驚いた顔をしていた
「…スクラ様、旦那様達をお呼びしてきます…失礼します」
と女性は丁寧に私と子供に頭を下げたあと部屋を出ていってしまった
旦那様とやらを呼びに行くよりもこの子供を泣き止ませて欲しかった
そういえばあの女性はメイド服を着ていたな
私達に様付けをしたりしていたし
この子供も髪の色が蒼色にも見える銀だし
異世界、か…
ーキーン
痛っ!
何だこれ
頭の中に誰かの記憶が流れ込んでくる
目の前にいる子供と遊んでいる記憶…
私が目覚める…思い出す前の記憶
この子供は私の兄、私はこの子供の弟
私がシアトルとして育ったこの5年間の記憶
そして、階段から落ちた記憶
「兄さん、おはよう」
混乱している私に代わってシアトルがスクラへと話し掛ける
「シアトル?」
「そうだよ。兄さん」
シアトルは自分の兄で遊ぶようにからかうように言う
「僕以外に誰が居るの?目、見てもらいに行く?それとも頭?」
私は思った
シアトル性格物凄く悪い、と
「シアトルだぁ。良かった」
記憶を見ても思ったがこの兄大丈夫か?