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逆襲のアルテミス  作者: 加藤貴敏
第4章「ウォー・ゲーム・オブ・ハザーズ」

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「魔王の降臨」前編

〈イエーイ!みんな!レッサー&オーエンだ。みんなもニュースで知ってるよな?巨大なドラゴン、そしてもっとデカイ鳥の怪物。オレ達ジュピターズは、そのモンスター共の力を取り込んでやったぜ。そして今日はそのパワーアップした姿を見せてやる。・・・さあ、これが、新しいジュピターズだ!〉

〈どうだ、イケてるよな?しかもだ!ジュピターズは魔法も習得したんだ。この魔法は独立自警団アルテミスに教えて貰ったもので、身体能力が超絶パワーアップする。これでもうこのホールズで、ジュピターズに敵う奴はいないだろうな!〉

そんな動画を観ながら、ササラギは小さな溜め息を吐いた。そしてそんなササラギの隣で、ハイロは呆れるように笑いを溢す。

「コメント、暴走しないの?っていうのが結構あるね。そりゃあ心配だよね」

「心配というより警戒じゃない?怖いでしょ」

そう口を挟むクワイオ。

「まあな。アルテミスに魔法で暴走因子を消して貰ったって、理論的な根拠は無いからな」

「でもむしろ私は魔法の方が信用出来るけど」

「え」

「何で」

「そりゃあ科学より魔法の方が強いからじゃん。何か分からなくても、アルテミスには敵わない。それは認めざるを得ないし」

「そっか。昨日アルテミスのエルフにさ、ソウタの中に封印されてたシーザーの霊気、完全に消して貰ったけど、安心感は?」

「まあ、確かに実感は無いけど、消えたって言われたらそうなのかってなった」

「あのエルフのイエンって人、何か信用出来るよね。可愛いし」

「いや、光ってんじゃん」

「何て言うか、顔は」

「んー」

ベリカニア、海沿いの街トランタ。崖から海を眺めているのはジュピターズのシュウズンとロウタ、マイコウとアロとミスト。

「さて、モンスターはこっから出るんだよな。範囲が広いから、とにかく索敵からだな」

「海から出るのか、海底に何かあるのか、そっから?」

「あぁ」

「大丈夫なのかなぁ」

「ぜってーイケる。負ける気がしないって」

「泳げるんだっけ?」

「いや泳ぐ必要無いだろ」

それから5人が変身すると一斉に海に飛び込んだ。空気と違って、液体は重い。それは壁のように体にへばりついてくる。だから超感覚で色々な物事を感知出来る範囲が少し狭くなる。でもそれは通常の場合。リッショウしたら超感覚ですらパワーアップする。更に“リッショウブースト”となると慣れなかった内は気分が悪くなる者が続出した。今自分達は自信に満ちてる。だから有志で集まった者達が直接、蘇った者を倒しに来たのだった。でもまだ何も正体は分かっていないからとりあえず調べるところから。そう5人が海を泳いでいたそんな時、アロは海の向こうから何かを感じた。



第73話「魔王の降臨」



それはモンスターだった。例によって20メートルくらいの巨体で、首も胴も尾も長い海竜のような外見。だから他の4人もすぐにその存在に気が付いた。真っ先に向かっていったのはアロ。しかし直後に海竜は口から青カビ色のレーザービームを吐き出した。海流も生み出されて広範囲の衝撃波のような勢いになるが、5人はミサイルのように海を突き抜けていって海竜の顔面に突撃していく。重たい衝撃に海竜は怯んだものの、追撃しようと向かっていく5人を阻んだのは、海竜の全身から発射された追尾魚雷だった。その数は30を超えていた。青カビ色の爆発が次々と5人を襲っていく。それでも爆発を突き抜けて海竜の懐に入り込んだのはマイコウ。尾状器官の2本を電気爪状態にして、海竜の脇腹に突き刺し、もう2本を“竜装状態”にした。それは青カビのドラゴンのDNAで“限定強化”させた巨大な尾状器官。竜装状態の尾状器官でも海竜を鷲掴みした後、そして残りの4本は“超重火状態”にした。それは鳥獣モンスターのDNAで限定強化した状態で、本来なら超火力のレーザービームを撃つ為のもの。でもマイコウは超重火状態の尾状器官をブースターにして、一気に上昇していった。20メートルの巨体がザバーンッと海から打ち上げられ、すぐに4人も追いかけて海から顔を出した。

「2人共!行け!」

「オッケー!」

それは作戦通りだった。海に行けばきっとモンスターが出てくる。どこから出てくるのかを確りと観察すれば、蘇った者の居場所も分かるかも知れない。そしてもしモンスターが出てくれば、足止めはマイコウ達がやるという事も。だからシュウズンとロウタはまた海底に潜った。それからモンスターが来た方向にとりあえず進んでみる。超感覚で感じるのは、海流のぶつかり具合。つまり地形。海底洞窟を見つけるのは簡単だった。

「ふう、やっと空気があるところに出た」

「絶対何か出るよね」

「あぁ。常に警戒だ。けど、かっ飛ばす。守るより攻める」

尾状器官でかっ飛ばせば、やがてたどり着いた広い空間。真っ暗闇でも超感覚であれば、微かな風が草原を撫でてるのも分かるし、空気の流れが一軒の住宅を型どっているのも分かる。

「シュウ、ここって、前にやってた“鉱山広場”だよな?」

「あぁ。レジャー施設としての鉱山の中にあった民泊風の宿泊施設。崩落事故からそんなに日は経ってないから、まぁこんだけきれいなのは不思議じゃないとして、まさかだろ」

「ここに、蘇った奴が。どうする?行く?」

「・・・ふうっ。よし、行くぞ」

海竜の全身から追尾魚雷が発射されると、それは空中でも目標を追尾していき、3人に突撃していく。爆発に吹き飛ばされてミストが海に墜落する最中にも、口から吐かれたレーザービームにアロが吹き飛ばされていく。

「この野郎!」

マイコウが空から超火力のレーザービームを放つが、海竜は海に逃げていく。

「くそっ水中の戦闘は苦手なのによ。いや、あいつのDNAを取り込めば、いや、どっちにしろ、水中じゃレーザービームは威力が無くなる。ちっ」

洞窟内の家屋の入口の前で深呼吸したシュウズンとロウタ。突撃する前の警官隊ようにアイコンタクトすれば、それからシュウズンはドアを開けた。目の前には奥に向かって真っ直ぐ伸びた廊下があって、右手に階段があった。1階はリビングとダイニングキッチン、2階は部屋が3つ。そこは至って普通の家屋だった。

「おい、ロウタ!」

2階から声がしたので、ロウタは階段を上がる。シュウズンが居たのは寝室だった。その寝室だけ、生活感があった。少し乱れたベッド。微かに残った動物の匂い。食べ物の匂いからしてそれは恐らく人間の匂い。

「誰か住んでるな」

「ていうか、どうやって来たんだろう。入口は封鎖されてるのに」

「泳いできた、ならダイビングスーツや酸素ボンベ、それを管理する為の道具とか、色々あるだろう。なのに何も無い。あと、家は濡れてない。そもそもこの民泊は営業時は発電機で電気を供給してたはずだ。濡れて来たとして乾かすものの電源が無い。タオルも無いし、あったとして洗濯機は動かせない。まぁ海から来てるような痕跡は無いな」

「名探偵」

「それくらい分かるだろ」

「じゃあ、どうやって」

「蘇った奴なら、ワープでもするんだろうよ」

縦横無尽に海を飛び回るジュピターズと追尾魚雷。その追尾能力は人知を超えたもので、あえて受けるか、衝撃波で迎撃するかしないと逃れられない。だからマイコウはあえて魚雷を受けた。その直後に超重火状態の尾状器官を吹かして海竜に向かっていき、電気爪状態の尾状器官と竜装状態の尾状器官を海竜に突き刺した。同時にマイコウと同じ状態のアロ、ミストも次々と海竜に突撃していき、巨体が波を打っていく。

とりあえず家屋を出たシュウズンとロウタ。他に目に付くものは無い。あるとするなら封鎖された入口への道。

「まさか別に隠れ家とかあるんじゃ」

「かもな。けど、恐らく、逃げ足は速いだろうな。あのモンスターを出した時点でここが拠点なのは間違いない。けど居ないって事は、このまま捜し続けても捕まえられるかは分からない」

「まぁ相手はワープだし。でもどうする?」

「・・・・・どうすっか」

「え」

「でも相手は戦う気はあるんだ。待ち伏せしてもいいけど、ここでモンスター出されてもなぁ」

「とりあえず戻る?」

「・・・そうだな」

そう2人が海へ歩いていたそんな時だった、空気の乱れを感じたのは。振り返ると、空間には青カビ色の光があり、そこからすごくビシッとした気迫の初老の男性が現れた。2人を見れば、男性は隙の無い鋭い眼差しで小さく首を傾げた。

「遅い」

「・・・は?」

「今まで我の力の欠片を退けてきただろう。それとも、我の力の欠片の相手で満足か」

「・・・何だとこら」

「いや、我が求める強者は、お前達ではないのだろう」

「何でモンスターなんか出すんだよ」

ロウタがそう聞くと、男性はどこかの一点を見つめ、そして微笑んだ。

「お前らも、戦いたいからそんな身なりなんだろう」

「戦う為の存在か。なら話が早い。ロウタ、さっさとぶっ殺すぞ」

瞬間的加速。シュウズンがそう言った直後にはもう、シュウズンは男性を殴っていた。それでも2人が目を見開いたのは、まるで普通の人間が普通の人間を殴ったかのように、少しだけ後ずさった男性の様子にだった。

「まるで、鋼みたいな体だな」

瞬間的未来予知。シュウズンはとっさに上半身を捻るように反らした。青カビの衝撃波が顔スレスレを通り過ぎていった。それからロウタが尾状器官を伸ばしていくと男性はそれを手で振り払い、シュウズンが連続パンチを繰り出しても、最終的に殴り飛ばされたのはシュウズンだった。

「速ぇ・・・」

「中々の手練れだ。退屈はしなさそうだ」

「調子に乗んなよ?」

尾状器官の2本を竜装状態にしたシュウズン。5倍ほど巨大になった尾状器官でまた殴りかかるが、それは拳から放たれた青カビの衝撃波で弾かれた。更に男性が連続パンチを繰り出せば、連続衝撃波がシュウズンを襲っていった。それを阻むようにロウタが電気爪状態の尾状器官で飛びかかるものの、まるで瞬間的未来予知かのように、そして瞬間的加速のように、男性はロウタを蹴り飛ばした。

「お前らの戦い方はすでに知っている」

「まさか、モンスターとの戦闘データが」

「まぁ、だろうな」

「我の力の欠片を纏ったお前らに、劣るものか」

「くっ・・・けど、こっちには仲間がいる」

「有象無象でなければ良いな」

「くそったれ!」

大量の血液が海を染めていた。やがて海竜という巨体は力無く海面に浮かび上がった。それからマイコウ達も海面から顔を出していく。

「やっと倒した」

「おかしくない?こんな強いっけ?」

「2人は?」

「蘇った人と会えたんじゃない?」

「戦ってるなら加勢しないと」

「あぁ」

マイコウ達3人が海底洞窟に向かうと、やがて広場で見つけたのは倒れているシュウズンとロウタだった。

「ん?」

「おい!2人共!何だよ、そのダメージ、誰にやられた!」

「・・・はぁ、はぁ、いや、あいつだ」

「蘇った人?」

「あぁ・・・・・」

ようやく2人が回復したところで、家屋を眺めていたミストが戻って来たり、入口への道からアロが戻って来たりした。

「で、名前は」

「聞く暇無かった」

「リッショウボール使ったんだよな?こっちまで気配が来てた。でも負けたんだな」

「あいつは、まるで、鏡だ。どんなに強くなっても同じような力で返してくる」

ベリカニアの海沿いの街トランタ。少し高いビルの屋上からササラギとハイロとクワイオが街を眺めていた。リーダーとして、シュウズン達が蘇った者と戦う為に海に向かったのは知ってるので、何となく様子を見に来たのだった。でも来たはいいものの、特にモンスターは出てないのでただ眺めているだけ。そんな一方、蘇った者である男性は森の中にあるキャンプ場に居た。木々が生い茂り、川が流れていて、ちらほらと客も居る。そんな静かな場所で蘇った者は川を眺めていた。そしてまた一方、マイコウ達は適当に地上に戻ってきた。

「あいつどこ行った」

「どうする、会社に戻る?」

「いや、あいつを捜す」

「どうやって。さすがに超感覚でもワープは追いかけられない」

「あ、じゃあアルテミス呼んだらいいんじゃない?」

「うん、そうだね」

ミストの提案にロウタが同意した直後、ただ溜め息を吐いたのはシュウズン。

「効率的だな」

そう言ったマイコウが人間に戻り、スマホを使い始めたところでシュウズンも人間に戻り、適当に座り込む。そんなシュウズンの背中を見たのはロウタ。

「どうかした?」

「・・・勝てると思ったのに。こんなにも差があるのか。リッショウボールだって使ったんだぞ」

「でも、もっと、強くなれるでしょ、オレら」

「どこまでだ。どこまで強くなればいい」

「それは・・・」

「おーい!」

マイコウやロウタ達が皆振り向けば、空を飛んでやって来たのはササラギ達だった。

「どうだった?」

少し期待を込めて問いかけたハイロを前に、マイコウ達はどんよりした空気を返す。

「シュウズンとロウタが蘇った者と戦闘したが、惨敗だった。リッショウブーストでもだ」

「そっか」

「今アルテミスを呼んだ。蘇った者は今、住み処の海底洞窟には居ないはず。もし地上に居るなら、叩きどころだろ」

「なら他のメンバーも呼ぼう。あとリッショウボールの補充も」

ササラギがそう言えばマイコウは頷いた。ササラギの連絡がジュピターズ達のスマホに届いていく最中、マイコウは上空を見上げた。一瞬空気が歪んだのだ。つまりそれはアルテミスがやって来たという事。

「急に呼びつけて済まない。オレ達じゃ手に負えない」

「大丈夫です」

とは言えやって来たのはルアとヘルだけで、シュウズンは内心で首を傾げる。それからジュピターズがもう5人ほど集まったところで、ルアは(スーヴェ)を追いかけた。13人のジュピターズと一緒に空を飛び、そしてルアとヘルがやって来たのは、自然豊かなキャンプ場。上下に揺れた(スーヴェ)に頷いてルアがポケットに(スーヴェ)をしまう最中、すでに13人のジュピターズが蘇った者を包囲していた。上空のジュピターズを見上げる蘇った者。自然溢れる場所で、静かに殺気をぶつけ合う蘇った者とジュピターズ。するとその直後だった、その男性は青カビ色の光に包まれ、5メートルほどのドラゴンになったのは。大きな翼を広げ、青カビの鱗に全身が覆われたその姿はまるで以前に戦った青カビのドラゴンのようで鳥獣モンスターのようで、でもそれよりももっと強そうな存在だった。

「(あ、カンディアウスみたいな変身系なんだ)」

「我の名はシルヴェル・ゴラー!どうやら、時は満ちたようだな!」

「シルヴェル・ゴラー・・・って確か、1000年前のホールズに居た、王の名」

「我を伏せんとする勇敢な者共!その命、この我が試してやろう!」

「行くぞおお!」

ジュピターズの怒号と、シルヴェルから放たれた青カビ色の光の剣が、戦いの合図となった。頷き合うルアとヘル。ルア達も精霊に憑依して貰い、リッショウと魔法の鎧を纏った。シルヴェルの周囲を舞い踊る13本の光剣がザクザクとジュピターズを斬り倒していく。その中で、シュウズンは尾状器官をそれぞれ電気爪状態と竜装状態と超重火状態に強化し、リッショウボールを使った。

「うおおおおお!!」

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