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我が主はいずこに  作者: 柏木椎菜


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十話

 甘い匂いの漂う町だった。通りには様々な店が軒を連ねていたが、特に果物を売る店が多くあった。オレンジやスイカなど、ヒューが見たことのあるものもあれば、とげとげした果実やカラフルな色の実など、初めて見るものも豊富に並んでいる。その物珍しさに目を奪われながら角を曲がった時だった。

「わっ――」

 前から来た何かとぶつかり、ヒューは地面に尻もちをついた。

「……ああっ!」

 慌てた声に顔を上げると、目の前には落ちた何かを拾う男性がいた。どうやら彼とぶつかってしまったらしい。

「あの、大丈夫でしたか?」

 立ち上がりながら聞くと、男性は拾った物を見ながら言った。

「ああ……大丈夫だ。割れてないよ。よかった……」

 男性は安堵の息を吐く。その手には黒い液体が入った小さな瓶があった。

「君のほうこそ大丈夫? 怪我してないかい?」

「はい。僕は平気……です……」

 そう言いながら男性を見たヒューだったが、笑みを向ける顔にふと違和感を覚えた。この人は彼なのか、彼女なのか? 格好はシャツに上着にズボンと男性的な服装で、黒い髪も短く流すように整えられている。だからヒューはこの人が男性だと思ったのだが、顔を見てわからなくなった。そのどこにも男性的な特徴が見当たらないのだ。それどころか女性に見えた。細面に大きな目と長いまつげ、小さな鼻と小さな口……全体的に丸みを感じさせる作りはどう見ても女性的だった。だがよくよく見てみれば、身体もそんなふうに見えた。服に隠れてはいるが、手足は細そうで背もあまり高くはない。発した声も一般的な男性より高いものだ。中性的な見た目の男性もいるだろうが、それにしてもこの顔はあまりに女性を感じさせた。

「……ん? 何?」

 見つめられて小首をかしげた相手に、ヒューは疑問をそのままぶつけた。

「あなたは、どうして男性のふりをしてるんですか?」

 ヒューはそう思った。この人は女性には違いないが、きっと何か理由があって男性のふりをしているのだろうと。

 これに相手は目を丸くすると、薄く笑みを浮かべた。

「子供は容赦ないね……僕は男のふりなんかしてないよ。だって男なんだから、そんな必要ないだろう?」

「でも、僕にはあなたが女性に見えるんですけど……」

「君にどう見えようと、僕が男であることは変わらない事実だ」

「本当ですか? 顔も声も女性――」

「君にはどうでもいいことだろう。ほら、余計な考えはやめて、早くお家へ帰りなさい」

「僕に家はありませんから」

 これを聞いた相手は一瞬気まずそうに言葉を詰まらせた。

「え……あ、そうなんだ。ごめん……」

「謝ることじゃありません。野宿は慣れてますんで」

「そんな小さいのに、野宿? じゃあ、今日もどこかで……?」

「はい。……おかしなことを聞いたみたいで、すみませんでした。それとぶつかったことも謝ります。それじゃ……」

 確かにどうでもいい余計な考えであり、本人が男性と言うならそうなんだろうと、あっさり受け入れたヒューはその場を立ち去ろうとした。

「ちょっと待って」

 後ろから呼び止められ、ヒューは振り返る。すると男性は近付いて言った。

「よかったら、うちでお茶でも飲んでいく?」

「……何でですか?」

「何でって、君、時間がありそうだし、お腹も減ってるんじゃないかと思って……」

「時間はありますけど、僕にはやることがあるんで」

「やることって?」

「主を探すことです」

 男性は眉間にしわを作って聞く。

「……君は、誰かの下で働かされているのか?」

「まだ働いてはいません」

「じゃあ主とはぐれたってわけじゃなく……探すって、どういうことだ?」

「僕の主になってくれる人を探してるんです」

 男性はますますしわを深くする。

「つまり、その若さで勤め先を探してるってことか?」

「うーん……そういう言い方もできるかもしれませんね」

 男性は憐れむ目を向ける。

「たった一人で、苦労してるんだね……今夜一晩ぐらいならうちに泊まらせることもできるけど……来るかい?」

「……何でですか?」

「え? だって君には寝る場所が必要だろう?」

「場所は自分で探せます」

「その場所は家じゃなく、屋根も壁もない外なんだろう? もう夜風が冷たい時季だ。野宿は体調を崩してしまうよ」

 親切気からの言葉だったが、ヒューはそんな相手をじっと見つめ返した。

「べ、別に他意はないよ。野宿をしてるって言うから、ただ不憫に思って……」

 妙な疑いを持たれたと思い、慌てて弁明する相手にヒューは聞いた。

「それじゃあ、僕の主になってくれますか?」

「……は?」

「主になってくれるなら泊まります」

 無理に泊まれとは言っていないのに、なぜか条件を付けられた男性は困惑を見せる。

「あ、主にって言われても、僕は君の面倒は見られないし、泊まるのが嫌なら――」

「自分の面倒は自分で見られます。あなたに迷惑はかけません」

 泊まりたい気があるのかないのか、よくわからない言葉に男性は戸惑うばかりだった。

「なってくれますか?」

「主になったところで、僕は給料なんて出せないけど……」

「そんなものは要りません。用を言い付けてくれるだけでいいです」

「君は無償で小間使いになりたいって言うのか?」

「はい。僕はあなたのしもべになります」

「しもべ……?」

 この言葉に男性は驚くも、次には小さな笑いをこぼした。

「おかしな少年だな……でも興味は湧いた」

 そう言うと男性はヒューの頭を一撫でし、笑顔で言った。

「給料も面倒もいらないっていうなら、主になってあげるよ」

「本当ですか?」

「ああ。だから今日はうちに泊まって、いろいろ話を聞かせてくれ」

「そう言うならもちろんです。……お名前を聞いていいですか?」

「ユーリックだ。君は?」

「ヒュー・エメットです」

「ヒュー……じゃあ僕の家へ案内しよう」

 新たな主ユーリックに連れられ、ヒューは甘い匂いが漂う通りから住宅街へと向かった。

 比較的温暖な地域にあるこの町には多くの果樹園があり、開けた道へ出ると遠くに様々な果樹が並ぶ景色が見えた。そこから運ばれて来たであろう果実を満載した荷車も頻繁に通りを走っていた。それが行き着くのは加工工場だ。ジュースにしたり缶詰にしたりジャムにしたり、そんな工場も果樹園と同じか、それ以上に多く見かけられた。この町の主役は果物で、その栽培が町を成り立たせているのだろう。

 住宅街はそれらに囲まれるように町の中央にある。労働者達が住む小さな家々が密集しており、住人とすれ違う道は細く狭い。レンガ造りの民家と民家は風が通り抜ける隙間もないように連なって並んでいる。そこで女性達が井戸端会議をする声はよく響いて聞こえた。

「――ちょっと、ほら」

 にぎやかに話していた三人の女性だったが、ユーリックに気付いた途端、急に声をひそめて視線を向けてきた。その目には不審や嫌悪が感じられる。しかしユーリックはそれを意に介することなく、真っすぐ歩いて行く。気になったヒューは女性達が見えなくなったところで聞いてみた。

「……あの人達は、知り合いなんですか?」

 これにユーリックは鼻で笑う。

「昔はね。でも今は目障りなご近所さんだ」

 目障り……ということは、ユーリックにとってあまりいい知り合いではなくなったようだ。何があったのか聞こうと思ったヒューだが、その前に家に到着したユーリックが口を開いた。

「ここが僕の家だ。さあ、入って」

 他の民家と変わらないレンガの家の玄関を開け、ヒューは招き入れられる。中は一部屋だけで、そこにベッドや机、小さな台所などがぎゅっと詰め込まれたように並んでいた。窓はあるが入る光は少なく、全体的に暗い。するとユーリックはそれを察してすぐにランプに火を灯した。それを柱にかければ、部屋の印象は随分明るく変わった。

「適当に、ベッドにでも座ってて。お茶を入れるから」

 荷物と上着を机に置き、ユーリックは台所へ行こうとする。

「お茶なら僕が入れます。ご主人様は休んでてください」

「ご主人様? ……ああ、僕が主だからそんな呼び方を? やめてくれ。無償の君にそんな呼ばれ方をする理由はないよ」

「この呼び方は、やっぱり嫌な方が多いんですね……」

「? どういうことだ?」

「いえ、何でもありません。ユーリック様、お茶は――」

「様もいらないよ。僕のことはユーリックで。あとお茶は僕が入れる。君は座ってて」

 言われたヒューは仕方なくベッドに腰かける。てきぱきと準備をしてユーリックは湯を沸かし始めた。それを眺めながらヒューは先ほどのことを聞いてみた。

「ご近所さんと、何かあったんですか?」

 コップを用意していた手を止めると、ユーリックは静かに振り向く。

「人は、自分と違うものを見ると、気味悪がるものなんだ」

「気味が悪いと、思われてるんですか?」

 不思議そうに見つめるヒューに、ユーリックは笑みを浮かべた。

「君は僕を女だって疑ったけど、それは間違いじゃない。僕は生物学上は女だ」

 やっぱり、と思いつつヒューはさらに聞く。

「それならどうして男性の格好をしてるんですか?」

「中身は男だからだよ」

 ヒューは首をかしげる。

「今、女性だって言ったばかり――」

「心と身体は違うものなんだよ。大抵の人はそれが一致してるけど、僕の場合は違ったんだ。身体は女だったけど、心は男で生まれてきた……本当の性別なんてわからない。でも僕は自分が男だと思ってる。だから男の服を着て、男として生きて行くと決めたんだ」

 心と身体の性別が違う人がいるというのを初めて知ったヒューだったが、仕えるのに性別は無関係であり、主が自分は男だと言うのなら、それに従うだけのことだった。

「それが、どうして気味悪がられるんでしょうか? ユーリックさんは普通に暮らしてるだけなんですよね?」

「普通っていうのは、人によって違うものなんだよ。僕にとってこの格好をすることは普通だけど、ご近所さんからすればおかしな格好にしか見えないんだ。女が、男の格好をするなんてね」

「その人達はユーリックさんを女性だと思ってるんですか? それなら自分は男性だって言えばわかってもらえるんじゃ……」

「そう簡単ならいいんだけど……僕がこの格好をし出したのはほんの数年前からで、それまではスカートをはいて、髪も長く結ってた。でも女の格好は物心が付いた時から嫌だったんだ。自分らしくないっていうか、強い違和感があった。それでも気持ちを押し殺して女を続けてたんだけど、もう限界だった。実家を飛び出して一人暮らしを始めた機にすべて男になるって決めたんだ。最初こそご近所さんも挨拶に来て親切にしてくれたんだけど、僕の違和感に気付くと次第に奇異な目を向け始めて、今じゃまともに口もきいてくれなくなったよ。人は、一度そうだと思い込んだことは、なかなか変えられないんだ。あの人は女なのに、男として振る舞う変人……きっとそんなふうに思われてるんだろう。僕の事情なんか考えもせずに」

 諦めた笑みを浮かべたユーリックを見て、ヒューはしもべとしてできることを考え、言ってみた。

「それじゃあ、僕がご近所さんに説明して回りましょうか? ユーリックさんは変人じゃなく、男性の心を持った――」

「やめてくれ。そんなことされたらもっと白い目で見られるよ。これ以上変に騒がれたくはない。このままでいい」

「でも、誤解されたままなんて……」

「どう思われてたっていいさ。所詮関係のない人達だ。僕の人生に入り込んでくるわけでもないし、そういう人達は無視するのが一番なんだ。今さら理解されようなんて考えてないよ。それに、理解者ならもういるからね」

「どこにいるんですか?」

 聞くと、ユーリックはにこりと笑う。

「この町だ。オレンジ農園の娘さんで……僕の、恋人だ」

「大事な人がすでにいるんですね」

 ユーリックは照れたように頬をかく。

「ああ……彼女、メルシナと出会ったきっかけは詩でね。僕はこう見えても詩人をしててさ、詩集にしたり、都会にある同好会とかで発表したりしてるんだ。さっき君とぶつかった時も、そのためのインクを買いに行ってたんだよ」

 ヒューは机に置かれた荷物に目をやった。あの時、液体の入った小瓶を落としていたが、あれは詩を書くためのインクだったのだ。

「メルシナは詩を書かないけど、読むのは好きみたいで、町の本屋で手に取ってるところを見かけて、僕が声をかけたんだ。それで意気投合して親しくなって……」

「気持ちが通じ合ったんですね」

 ユーリックは嬉しそうに微笑む。

「本心を伝える時は本当に怖かった。彼女は僕が女だってことをわかってるから、受け入れてくれるのかまったくわからなかった。でもそんな心配は全然要らなかった。いつ告白してくれるのか待ってたって、彼女も僕と同じ気持ちだったんだよ。こんな幸せなことは生まれて初めてだったな」

「それなら、確かにいい理解者ですね」

「ああ。彼女以上の理解者なんて他にはいないよ」

 笑顔で言ったユーリックだったが、その表情はふと暗く変わった。

「……でもね、彼女の親御さんが僕のことを知って……今は会うことを禁止されてるんだ」

「どうして……恋人なのに」

 ユーリックは苦笑いを浮かべた。

「それが周りの反応なんだ。おかしな女が娘をたぶらかしたって。お互いが思い合ってるなんて想像もしてない。だから恋人であるわけがないってね」

 本人達が恋人だと言っているのに、なぜ信じようとしないのか、ヒューにはただただ不思議だった。

「残念な状況だけど、メルシナとはこっそり手紙のやり取りなんかもしてたんだ。だけど最近それも見つかってね。もう簡単には手紙を届けられなくなった。このまま動けないと、彼女との計画も進められない……」

「計画?」

「僕の詩人の活動が軌道に乗ってきたから、同好会のある街へ一緒に行こうって話し合ってたんだよ。そこで二人で暮らそうってね。この町はいろいろな意味で狭すぎる。僕もメルシナも、息が詰まるんだ」

「誰の邪魔もない、新天地で二人だけの生活を始めるんですね」

「そうしたいんだけどね……彼女と会えなきゃ、それも夢で終わってしまいそうだ」

 ユーリックは深い溜息を吐き、うなだれる。唯一の理解者であり、恋人でもある人とずっと会えない苦しさは、ヒューにも何となく想像ができた。主が見つからず、あるいは離れて見えない時の、寂しさや心細さ、苛立ちやはがゆさ……そんな気持ちに近いものなんだろうと思えた。

 カタカタカタという音がして、振り向くと火にかけたポットの蓋が小刻みに震え、隙間から湯気を吹き上げていた。ユーリックはすぐに火から下ろすと、その蓋を開け、茶葉を入れる。

「今お茶を出すから。……何か、僕の身の上話しかしてなかったね。こんなつもりじゃなかったんだけど」

 苦笑いを浮かべながら熱々のお茶をコップに注ぐ。そこからほんのりと爽やかな茶葉の香りが広がった。

「火傷、しないように気を付けて」

 手渡され、ヒューは慎重に受け取り、口を近付ける。そして赤茶の上品な色のお茶をゆっくり飲んだ。子供にはまだ味わい切れない苦味が舌を滑り、喉の奥へ流れて行くと、そこが一瞬のうちにじんわりと温かくなった。味はともかく、香りと熱はヒューの心を一時休ませてくれるようだった。

「……とても、美味しいです」

「気を遣わなくたっていい。そうでもないって顔に書いてあるよ」

 え、とヒューは思わず自分の顔をまさぐる。それを見てユーリックは笑う。

「安物の茶葉だから、僕でも少し苦味がきついって感じてるくらいだ。子供のヒューにはなおさら苦いかもな。無理して飲むことはないよ」

「いえ、そんなことは……確かに、ちょっと苦いですけど、それでも本当に美味しいです」

 普段食べている草花の苦味に比べたら、このお茶の苦味は断然美味しいほうに入るだろう。

「ふふ、やっぱり君は面白そうだ。他の子供達とは何か違うね」

「子供が好きなんですか?」

「いや、そういうわけじゃないけど、僕は偶然の縁や閃きを大事にしてるんだ。詩作に活かすためにね」

「そういうことが詩には必要なんですか?」

「これはあくまで僕のやり方だ。自分の気持ちが向いたほうへ動くと、いい詩が作りやすいんだよ。だからヒューとも話してみたいと思って家に招いたわけさ。それなのに自分のことばっかり話して……」

「僕はもっとユーリックさんのお話、聞きたいですけど」

「もう話すことなんてないよ。聞かせたことが全部だ」

「でも、恋人との計画はどうするんですか? このままじゃ進められないって……」

「この状況だとな……しばらく時間を開けないと駄目だろうね」

 残念そうに微笑むユーリックを見つめ、ヒューは言った。

「それじゃあ、僕が手紙を渡すっていうのはどうでしょうか」

「え? 君が……?」

 向けられた丸い目にヒューは頷く。

「はい。あちらが会うのを禁止してるのはユーリックさんだけなんですよね? だったら僕が代わりに会って手紙を渡せばいいんじゃないですか?」

「代わりにって……そんなことをしてくれるのか?」

「僕はあなたのしもべなんです。できることは何でもします」

 思わぬ言葉にユーリックはしばらく棒立ちでいたが、ヒューの真剣な眼差しに笑みを見せた。

「まったく、本当におかしな子だ。さっき会ったばかりの他人に協力してくれるなんて」

「もう他人じゃありません。あなたは僕の主なんですから」

 ユーリックは嬉しそうにヒューの頭を一撫でする。

「ありがとう……協力を頼んでも、いいかい?」

「そんな言葉は要りません。命令してくれればすぐにやります」

 しもべにうかがいを立てる必要はない。できるのかできないのか、その言葉だけでヒューは動くつもりでいる。そしてもちろん、手紙を届けることなど朝飯前の仕事だった。

「頼もしい協力者だ。じゃあ手紙を書いたらヒューにお願いしよう。じっくり考えて書かないと……」

「用意ができたらいつでも言ってください」

「ああ、そうするよ。……それにしても、ますます君に興味が湧いたな。手紙は夜に書くとして、今はヒューの話が聞きたい。君のことを話してくれないか?」

「話すって、何を話せば……?」

「これまでヒューが何をして、どう生きてきたのか、関わった人や印象深いことなんかを聞かせてほしいな」

「印象深いこと、ですか……」

 そんな出会いや出来事はたくさんあった。自分が目覚めた直後から――ヒューは一番最初の出来事から話し始めることにした。そして出会っては別れた主とその候補。ヒューがなぜずっと主を求めているのか疑問に感じていただろうが、ユーリックはそれについては一切触れず、ただ真剣に、時には笑い、ヒューの話を聞き続け、二人の時間は狭い部屋の中で緩やかに過ぎて行くのだった。

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